横山 雅俊 NPO 法人 市民科学研究室(理事)
いまや秋の風物詩になりつつある、科学コミュニケーションの祭典「サイエンスア
ゴラ」。
今年もいよいよ今週末、11/9, 10 の2日間にわたり、日本科学未来館とその周辺
で開催されます。
「アゴラ」とはギリシャ語で広場の意。そこは、科学にまつわる様々な人たちが、
立場や垣根を超えて集う広場であり、その垣根を超えた科学にまつわるやりとりとし
ての科学コミュニケーションの“見せ方の見本市”でもあるわけです。
今年でサイエンスアゴラも8年目。その担い手はいまや全国に広がり、北は北海道
から南は沖縄まで全国各地から出展者もお客さんも集います。
毎年この時期には、サイエンスアゴラで筆者が関わるイベントに関して、ご紹介を
させていただいています。
今年も2つの企画と、それに関連する企画を幾つか併せてご紹介します。
サイエンスアゴラは、複数の出展企画が集う、一種の“メタフェスティバル”です。
そんなメタフェスティバルとしての科学祭を街全体で実施している主体も、今や全
国に幾つかあります。
今年で5回目を迎えた“東京国際科学フェスティバル”(TISF2013)
http://tokyo.sci-fest.net/2013/ja/index.php
...は、そうしたメタフェスティバル的な科学祭の一つで、その拠点を三鷹など多摩
地区に置いていますが、今年はその TISF 2013 がハブとなって、全国各地の科学祭
の担い手の方々が交わるような企画を組みました。
Aa-104(未来館3F会場)
広がりゆく科学のひろばの担い手たち-各地の科学祭をつなぐ-
http://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/program/2699532193.html
ブース出展にて TISF 2013 の理念紹介や開催報告をすると共に、日本各地の科学
祭の紹介も合わせて実施します。
また、例年他団体で主催している“サイエンスカフェポスター展”も、今回は
TISF 2013 が引き受けて実施します。
更に、サイエンスアゴラに集う科学祭関係者や地域で活動する科学館関係者、地域
の草の根科学コミュニケータの方々のための交流企画も、2日目午前に実施します。
科学の広場を担う方々同士のネットワークを作り、新たな流れを作るきっかけが出
来ればと願っています。
未来館3Fの会場には、全国各地の科学フェスティバルや科学館の取り組みを紹介
するブース群がたくさん集まっています(かがわ源内ネットワーク、千葉市科学館、
あいちサイエンスフェスティバル、静岡科学館る・く・る、サイエンスサポート函館
、他多数)。それらの方々とも、巧くつながって良い流れを作りたいと考えています
。
もう一つ。
筆者が長く続けている、研究問題...科学研究や高等教育における負の側面や陰の
部分にある問題群...に光を当てるワークショップ「本音で語る」を、今年もサイエ
ンスアゴラの場で開催します。現 SSA 代表の榎木さんをはじめ、何人かで立ち上げ
たこの企画も、8年連続8回目になりました。
今年は、史上初めて、研究題材そのものがはらむ問題を取り上げます。それは、動
物実験の問題です。
特に、その是非や功罪と向き合いながら、動物実験への態度が賛成ないし推進にせ
よ、反対や廃絶であるにせよ、その前提のもとで生命科学の研究の未来像がどうある
べきなのかを、研究者や意識の高い市民、反対運動の担い手といった様々な立場の皆
さんが垣根を超えて共に考えます。
Bb-705(産総研臨海センター会場)
研究問題ワークショップ「本音で語る生命倫理-動物実験なぜ必要?なぜ反対?-」
http://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/program/2698868957.html
http://stsfwgjp.seesaa.net/article/369816172.html
動物実験の是非や功罪と向き合う営みは、生命科学における一種の ELSI(倫理的
法的社会的問題)への取り組みと言えると共に、特にその是非と云うところに注意す
ると、一種のリスクコミュニケーションとも考えられます。そうした試みは、少なく
ともこれまでの日本の科学研究の世界でも科学コミュニケーションの世界でも、非常
に稀なものだったと思います。
多くの方々のご協力やご支援を頂き、こうしてどうにか形にすることが出来そうで
す。
今回の企画は、国立情報学研究所のバイオポータルサイト Jabion でもご紹介いた
だきました。
http://www.bioportal.jp/ja/?p=1339
その Jabion も、今年もサイエンスアゴラにやってきます。
http://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/program/2697383494.html
そして、関連する内容の企画として、女性技術士の会によるシリーズ企画「おもし
ろいまちづくりシンポジウム」の一環として、今年は生物多様性に関する取り組みが
行われます。そちらもご都合が許せばご検討下さい。
Bb-704
生きもののいるまちづくり(生物多様性は必要か?)
http://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/program/2697043651.html
他にも、それこそたくさんの企画が2日間目白押しの、今年のサイエンスアゴラで
す。
楽しいだけは全てではないとは言え、楽しいことも、楽しくなくても大事なことも
、同じように大切にしていく。それがサイエンスアゴラだと筆者は考えます。
今年も、1人でも多くの皆さんと会場でお目にかかれることを、楽しみにしており
ます。
〈トピックス〉サイエンスアゴラ、9-10日東京・お台場で
http://scienceportal.jp/news/daily/1311/1311011.html
●サイエンスアゴラ2013
http://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/
私たちとサイエンス、そして社会との関係について考える「ひろば(アゴラ)」、
それがサイエンスアゴラです。
今回のサイエンスアゴラ2013では、多様な科学コミュニケーション活動の
見本市として、身近な科学技術から最先端研究まで網羅し、シンポジウム、
サイエンスカフェ、実験工作教室、ブース・ポスター展示など、230件ほどの
イベントが集まります。皆様のお越しをお待ちしております。
[日時]:平成25年11月9日(土)〜10日(日)10時〜17時
[会場]:東京・お台場地区 (日本科学未来館ほか)
[参加費]:無料 ※一部企画で材料費などの実費が必要
[プログラム]:下のURLよりダウンロードできます。
http://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/pdf/program.pdf
<注目企画>
主催シンポジウム:「科学技術のあたらしい伝えかた」
http://www.jst.go.jp/csc/investigation/sakura/scienceagora.html
[日時]:平成25年11月10日(土) 13時〜14時40分
[会場]:日本科学未来館 7階 みらいCANホール
[プレゼンター]:
福地健太郎(ニコニコ学会β)、斉田智明(ブリティッシュ・カウンシル)、
永山國昭(生理学研究所)、パトリック・ニューウェル(TEDxTokyo)
[ファシリテーター]:佐倉統(東京大学)
[問合わせ先]:(独)科学技術振興機構 科学コミュニケーションセンター
サイエンスアゴラ事務局
TEL03-5214-7493 E-mail agora@jst.go.jp