津波襲来からしばらくたち、人々の行動が明らかになってきた。報道から拾ってみたい。
●チリ大地震、東北3県に大津波警報 低い避難率、課題残す
http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20100301cfb0105s01.html
●津波「避難」対象者、実際に避難は6・2%
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100228-OYT1T01019.htm
●避難指示応じず、津波到達予想時刻にサーフィン
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100228-OYT1T00957.htm
●サーファー、津波警報無視 全国で確認
http://www.asahi.com/national/update/0304/TKY201003030535.html
●津波第1波で油断?避難住民の大半が帰宅
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100302-OYT1T01282.htm
このような記事から分かることは、一般市民が津波とは何かということを正確には理解していないのではないかということだ。
それをよりよく表しているのが、週刊新潮の記事だ。神奈川県の江ノ島の商店主の話。江ノ島と片瀬海岸を結ぶ橋が通行止めにされたことに対して「でも、到達した津波はたったの40センチだったんですよ」。
津波は普通の波と違い、たとえ40センチでも人が流されてしまう。たった40センチではないのだが、そのあたりのことが理解されているのか、不明だ。
第一波より第二波、第三波のほうが高くなることがあること、局所的には験潮所より高い津波が襲来することも含め、津波に対する基礎知識が、人々の間に広がっていないことが明らかになった。
これが何を意味するのか。理科教育、科学報道、科学コミュニケーションが、多くの人々に届いていないということに他ならない。
地震大国と言われる日本で、このような状況にあるという事実。
科学的知識が生命にかかわる災害に関して、いかに命を守る知識を持ってもらうのか。
大きな課題を突き付けられたように思う。言ってしまえば、繰り返し繰り返し伝えていくしかないのだが、すくなくとも今までのやり方では届いていない。何を変えればいいのか。どうすればいいのか。
少なくとも、今回、津波に関心が高まっている今、さまざまな方法で今回の津波を検証することが必要だ。怒りでも苦情でも、関心を持っているという時期はチャンスだ。
いずれ来る新たな津波に備えて、教育関係者や科学報道関係者、科学コミュニケーションに関係する方々のさらなる行動を期待したい。