科学・政策と社会ニュースクリップ

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若手、女性研究者に関する緊急要望

研究者ネットワーク準備MLにて、以下の要望書を作成し、政府関係者に手渡した。一部抜粋し、掲載する。

若手研究者を救うために研究費そのものを残せ、という主張とはことなり、事業仕分けの意義を認めつつも、首切という緊急事態を避けなければならないと思い作成した。

政府関係者からも、若手研究者は重視するという声が聞かれている。若手や女性を活かす科学技術政策を望む。

先の行政刷新会議事業仕分けにおいて、科学技術予算の非効率な使い方が指摘され、多くの事業が予算の縮減、廃止に至ったことを深く受け止めています。私たちは、効率のよい予算の使い方や、社会の要請に応える研究システムの構築に向け、自らを厳しく見つめなおしながら、積極的に関与していかなければならないと考えています。
しかし、事業仕分けの結果を受け、若手を中心とした研究者、学生の間で不安が急速に高まっています。科学技術、学術の発展には、高いポテンシャルを持つ人材を確保し、着実に養成することが不可欠です。科学技術、学術の基盤を確固たるものにし、これを志す学生に希望を与えるため、国家成長戦略、科学技術政策策定の際には、以下の点をご考慮いただけますと幸いです。

若手・女性研究者の能力が十分に発揮される研究環境を整える施策
科学技術、学術による国の成長戦略を考える上で、最も創造性の高い時期である20代、30代の研究者及び、人口の半分を占める女性が、のびのびと持てる能力を発揮できる研究環境を整えることは不可欠です。研究の創造性を阻害する業務専念義務の廃止、研究支援員の充実化など、個々の研究者の能力が十分に発揮できる施策を要望します。
予算縮減が安易な研究者、研究支援者の「首切り」につながらないようにすること
 予算の縮減に対し、非正規雇用の研究者、研究支援者を雇い止め、解雇することで、これに対処しようとする研究機関が出現する可能性を懸念しています。国民が要望する効率的な予算執行と目に見える科学技術、学術研究の成果は、現場の第一線で活動する研究者の雇い止め、解雇という形では決して成しえるものではありません。日本学術振興会特別研究員事業における「内定予定者切り」や「現採用者切り」も、大学院生や若手研究者を路頭に迷わせます。研究機関等を監視し、場合によってはペナルティを課すなど、安易な「首切り」が起こらない施策を強く要望します。
新たな活躍の場を見つけるための支援
 高度な知識、技能を持った人材が活躍の場を失うことは、日本の社会にとって大きな損失です。雇い止め、解雇された研究者、研究支援者が、大学や公的研究機関にとどまらず、社会の様々な場で新たな活躍の場を見つけるために、情報の提供等を含めた多角的な支援の拡大を要望します。
現場の研究者の声を政策に反映させる仕組みを継続的に設けること
上述のように、若手・女性研究者が不安定な立場に置かれ続けているのは、こうした研究者の声を政策に反映させる仕組みが乏しいのも一因と考えます。ノーベル賞受賞者など一部の研究者だけでなく、若手・女性研究者の声を聴き、政策に反映させる継続的な仕組みの創設を要望します。

日本および世界の将来を創り出す若手・女性研究者に対して、不安を軽減し、希望を与える力強いメッセージが政府から発信されることを心から期待しています。現状の財政状況からは、予算措置を伴うメッセージを発信することは難しいことだと認識しています。それだからこそ、科学技術、学術が日本の将来にとって重要であるというメッセージを、早急に日本国内に限らず、世界に向けることをお願いいたします。