科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

2. 小児科・産科医をはじめ医療従事者不足を解消

日本の医師数は人口10万人あたり200名です。OECD加盟国平均の290名とするためには、約10万人不足しています。特に小児科・産科医不足は深刻です。20代の医師は毎年男性が100人減り、女性は350人増えていますが、小児科・産科の女性医師の半数が妊娠・出産・育児を機に病院勤務をやめざるを得ない状況におかれています。看護師は1病床あたり欧米の3分の1から5分の1の人数しかいません。しかも過酷な労働条件のため、新規就職者の1割近くが1年でやめています。女性医師や看護師が働き続けられる支援策が最優先です。院内保育所の整備や復職のための研修の支援等を進め、女性医師や看護師が仕事を続けやすく、復職しやすくします。

小児科では開業医が地域小児科センターで時間外外来を担当するといった協働作業による集約化をさらにすすめます。産科医は勤務が過酷なだけでなく、訴訟リスクなども高いことから、無過失補償制度と医療事故原因究明のための医療安全委員会を設立します。

特定機能病院では先進・先駆的な医療開発とともに、専門医教育・研究者養成を行います。地域がん診療拠点病院では国立がんセンターと協力しつつ、化学療法専門医・放射線治療専門医を養成します。臨床研修病院ではより専門的な能力を高めるための研修を担い、優秀な臨床医を育成します。

医療費抑制と称して10%削減された医学部定員を元に戻し、地域枠、学士枠、編入枠とします。各診療科の必要医師数を明示し、医療圏ごとの数値目標を提示します。

良質なチーム医療の実現のため、各学会等の認定資格制度等を活用しつつ、看護師や薬剤師などの専門教育を支援します。

3. がん対策の拡充

民主党が主導し、2006年、「がん対策基本法」が成立しました。この法律に基づき、がん患者や家族も加わった「がん対策推進協議会」が民主党の提案で設置され、このほど「がん対策推進基本計画」が策定されました。今後も、どこにいても最善のがん治療が受けられる体制、そしてがん患者への最新のがん関連情報の提供や相談支援体制を充実させます。

4. 医療事故の原因究明と再発防止

医療事故に際して、「真相の究明」、「医療側の誠実な対応」、「事故の再発防止」を実現するため、民主党は以下の3点を提案し、有機的に機
能するよう立法措置を講じます。

①医療メディエーターを養成します。医療事故が発生した場合、早期に患者側に十分な知識・情報を提供し、医療側との対話をサポートし、更に家族に適切な心理的ケアを提供する役割を担い、一定規模以上の医療機関に配置します。

②訴訟以外に、医療事故被害者のニーズに弾力的に応じる「裁判外紛争処理機関」を設置します。相談機能、合意型紛争解決手続、仲裁型紛争解決手続を複合的に備え、全国の主要箇所に配置します。

③国の機関として「医療安全委員会」を設置します。医療機関の管理下における事故の申立を受け、独自の調査と医学的検査(解剖・各種検査とその保全を含む)により事故原因の究明を行い、再発防止策を提案します。