科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

地方でできること

 わがサイコムジャパンは東京都から認可を得たNPO法人であり、事務所も東京にある(会員の方の自宅)。会員や理事も首都圏在住者が多い。

 そんな中、代表理事の私が神戸に住んでいる。

 実のところ、私の生活の拠点も東京にあったほうが都合がよい面は多い。

 産官学の中心は東京だし、科学コミュニケーションも含め、さまざまな行事は圧倒的に東京で開催されることが多い。人脈つくりにも、行事参加にも、少々不利だといわれても仕方ない。

 だから東京に戻れ(もともと東京の大学出身だし)という声は多い。


 しかし、地方でできることもまだたくさんあると思っている。


 首都圏出身者があえて地方に数年住んでみて、東京がいかに特殊な場所かわかるようになった。

 さまざまな施設があり、豊富な人材がいる。

 そんなところは日本のなかにそうない。

 そんな東京だけでいろいろな活動をしてたって、日本の現実は見えてこない。

 主要な産業にも乏しく、高齢化が続く都市。僻地。雪の降る場所。さまざまな地域があり、人が住んでいる。神戸はまだまだ都会だ。

 そんな現実のなか、日本科学未来館東京大学、科学博物館等豊富なインフラのある東京を基準にした活動が、各地域に通じるはずもない。

 神戸を地方というのちょっとはばかられるが、非東京で活動をし、発信していくことは、日本の現実を踏まえて発言していくことでもある。決して意味がないわけではない。


 最近旭山動物園が熱い。珍獣もいない地方の動物園が、なぜ入園者日本一になったのか。全国から注目を集めている。

 旭山動物園のように、地域に根ざしてできることをやっていく、これは非常に重要なことだと思っている。

 東京にいなければ何もできないなんてことはない。今はウェブという強力な表現手段もある。

 サイコムジャパンの科学政策プロジェクトでは、どうしても永田町や霞が関の方々とお会いする必要もでてくるので、確かに神戸在住では辛い面もある。東京に協力してくれる人がいるのは不可欠だ。

 しかし、政府の文書をきっちりと読みこなしたり、書籍を買って勉強したり、ウェブを使って情報収集するなど、できることはある。丹念に情報を読みこなして分かることもある。

 日本は世界の辺境なのだから、東京かそうでないかをごちゃごちゃ言う前にできることをしたい、というのが私の今の心境だ。