科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

財務省財政制度分科会の指摘、医学部入試不正

2018年10月23日~2018年10月30日

 


 財務省の財政制度分科会が開催されました。

 


★財政制度分科会(平成30年10月24日開催)資料一覧

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia301024.html

 


 報道されたとおり、科学技術政策に厳しい指摘をしています。

 


配付資料 

資料1 文教・科学技術(PDF:3571KB)

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia301024/01.pdf

 


 要点は以下です。

 


●日本の科学技術関係予算は、対GDP比でも実額でも、主要先進国と比べて遜色のない水準

●科学技術関係予算額はトップ論文数上位国よりも多いにもかかわらず、トップ論文数が4000本前後にとどまっている

●日本の論文生産性は低い(ドイツの1.8倍のコストがかかる)

●論文生産性の低さは、国際的に注目を集める研究領域への挑戦意欲に乏しいことが一因か

● 論文生産性の低さは、伝統的な分野に固着していることも一因か                                   

●新陳代謝を妨げているのは、大学の硬直性ではないか

 


 以上の分析を元に以下のように述べます。

 


     検討の方向性

科学技術(科技関係予算)

○ 日本の科学技術関係予算は主要先進国と比べて遜色のない水準であるにもかかわらず、質の高い論文の数は主要先進国に大きく劣る。研究開発の生産性が低いことが真の課題ではないか。

 この生産性を高めるためには、科学技術分野における戦略やプロジェクトにおいては、

・ 予算の「量」の多寡などのインプットを目標とするのではなく、研究開発の中身や質などのアウトカムを目標とする

・ いわゆる「ハリ」の分野のみを提示するのではなく、「メリ」の分野も明確化し、旧来分野から新たな分野への転換、新陳代謝を促す

といったことが必要ではないか。

 


 大学に対しても厳しい指摘をしています。

 


補助金等もあわせた公的支援全体は約600億円増加している

●諸外国では、運営費交付金に依存しなくても成果をあげる大学は多い

国公立大学への学生一人当たり公的支援主要先進国の中でトップクラス

●研究費の執行に非効率があるのではないか

●教員数を増加させる中で定年延長やシニア採用などにより、65歳以上教員は増加

●外部資金も含めた教員一人当たり研究費は増加

●フルタイム換算の研究者数(=総研究時間数)は主要先進国並み

●「博士課程在籍者数」は高い水準で推移

●「博士課程在籍者数」の問題は、社会が求める学生を育成できるかどうかの問題

●論文生産性には大学間で10倍もの開きがある

●運営費交付金はおおむね教員数に応じた配分。法人化後も大きな変化は見られない

●運営費交付金は成果に応じて配分されないことが問題

●単なる「インプット指標」や「無関係な指標」で評価

●アウトカム指標が設定されていたとしても大学間での相対評価が行われていない

 


 このほか、指摘は多岐に渡り、研究不正についても触れています。

 


我が国の企業部門の研究開発投資の水準は主要先進国の中でトップクラスにある中で、民間企業が自己資金で実施することが可能と考えられる分野に公費投入するのではなく、むしろ大学や公的研究機関の知恵やノウハウに対し、企業が資金投入することで、社会のニーズにあった研究の充実が期待できるのではないか。

また、執行面では、

基金方式については、適切な評価やPDCAサイクルの構築がおろそかになりがちであることから、その利用を厳に慎む必要があるのではないか。

・ 研究不正の防止については、不正行為が起きた場合の予算返還の徹底、大学等の研究機関の管理責任の強化が必要ではないか。

 


 詳細は資料をご覧いただきたいですが、非常に厳しい指摘です。もっとも財務省はこうした主張を繰り返しており、4月の財政制度分科会でも指摘があり、今回の資料と重なっている部分があります。

 


財政制度分科会(平成30年4月17日開催)資料一覧

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300417.html

 


資料3 文教・科学技術(PDF:2004KB)

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300417/03.pdf

 


 指摘をうけて反省すべき点はありますが、こうした指摘には、そももそ諸外国と比較している予算が異なっており、意味がないとの反論があります。

 


 財務省が公的支出としているものには、政府支出以外に公的支出とも研究開発費とも言い難い研究機関の自前の予算が加えられており、比較すべき額として不適切だと言います。これを差し引けば、日本の研究生産性は決して諸外国に劣っていないと。

 


牧野淳一郎 科学 Vol 88, No.7 704-707, 2018. 

小林信一 科学 Vol 88, No.8 838-845, 2018.

 


 研究力低下が研究者の挑戦意欲の問題とするなど、納得し難いと思わざるを得ません。挑戦しづらい、あるいは挑戦しても報われない仕組みにも問題あるはずです。

 


★政策が足を引っ張っている日本の科学技術力?

研究者だけでなく政策決定者が問われなければフェアでない

https://webronza.asahi.com/science/articles/2018102300003.html

 


 と言いたくなるのも分かります。

 


★最近の「大学改革」論議がどうでもいいと思えるのは一体なぜ…?

青くさい理想論だが机上の空論ではない

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58164

 


 宮野 公樹さんはこう言います。

 


「ここ10年来の大学や科学技術に関わる政策で一番気になるのは、それがいいかどうかはともかく、論文を増やそうとしながらも結果的に増えてないという決定的な事実です。

 


それをトップダウンマネジメントが働かせられない大学が悪いというなら、それを踏まえて作らなかった政策こそ反省したほうがいいように思います。ある商品が売れなかったことを消費者のせいにする会社はだめでしょう。」

 


 とはいえ、大学は政策サイドからの指摘に答えざるを得ません。

 


★大学、求められる「稼ぐ力」 大型の産学連携模索

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36972080W8A021C1TJM000/

 


 大学ランキングを無視しよう、と思っても、次から次へと発表され、報道されるわけです。

 


★QSアジア大学ランキング発表 1位はシンガポール国立大学、国内首位は11位東京大学

https://univ-journal.jp/23273/

 


 厳しい批判にさらされる大学ですが、希望はあります。宮野さんは言います。

 


「そのように各個人が抗わない限り学術界がよくなるわけありません。政策だって結局は個々人の研究者を変えたいのでしょう? であれば政策や法令の前に大学人が自分たちの手で自分たちの学術界を変える方がかっこよくはないでしょうか。」

 


 政策が悪い、大学が悪い、研究者が悪いといがみ合うのではなく、建設的に、前向きに、普通の人々が幸せになるための大学を、大学人自らが行動し作り出してほしいと思っています。

 


★医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査について

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senbatsu/1409128.htm

 


 先週報道のみご紹介しましたが、資料がでました。

 


 大学名を公表しなかったため、混乱が生じています。

 


入試不正、どの大学で? 医学部受験生ら困惑

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO36847090U8A021C1CC1000/

 


 慶應義塾大学では、ホームページで公正な入試を行なっている旨を公表しました。

 


慶應義塾大学医学部の入学者選抜に関して

https://www.keio.ac.jp/ja/news/2018/10/26/27-49032/

 


 各大学とも早急に受験生、社会に向けメッセージを送るべきでしょう。

 


安倍総理は第197回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説を行いました

https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement2/20181024shoshinhyomei.html

 


 冒頭で本庶博士のノーベル賞受賞決定について触れています。

 


安倍総理は第36回国家戦略特別区域諮問会議を開催しました

https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201810/23senryaku_tokku.html

 


第36回 国家戦略特別区域諮問会議 配布資料

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/dai36/shiryou.html

 


資料3 「スーパーシティ」構想について(PDF形式:158KB)

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/dai36/shiryou3.pdf

 


★超スマート社会の実現に向けたデータサイエンティスト育成事業 選定状況について

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/miraikachisouzou/1409532.htm

 


★「ヒトES細胞の樹立に関する指針」案、「ヒトES細胞の使用に関する指針」案及び「ヒトES細胞の分配機関に関する指針」案に関するパブリック・コメント意見公募手続)の実施について

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/10/1410395.htm

 


★第3期中期目標期間における指定国立大学法人の追加指定について

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/10/1410263.htm

 


 大阪大が追加されました。

 


★平成29年度におけるがん教育の実施状況調査の結果について

http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1410244.htm

 


★人材委員会(第81回) 配付資料

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu10/siryo/1410454.htm

 


議題

 


卓越研究員事業の改善について

科学技術・学術審議会人材委員会・中央教育審議会大学分科会大学院部会合同部会の審議状況について

 


★市民科学の発展

No PhDs needed: how citizen science is transforming research

https://www.nature.com/articles/d41586-018-07106-5

 


★First analysis of ‘pre-registered’ studies shows sharp rise in null findings

https://www.nature.com/articles/d41586-018-07118-1

 


★Federal officials pause trial testing stem cells for heart disease

https://www.sciencemag.org/news/2018/10/federal-officials-pause-trial-testing-stem-cells-heart-disease

 


 サイエンス誌とリトラクションウォットが共同で撤回論文データベースをつくりました。

 


★What a massive database of retracted papers reveals about science publishing’s ‘death penalty’

https://www.sciencemag.org/news/2018/10/what-massive-database-retracted-papers-reveals-about-science-publishing-s-death-penalty

 


Rethinking retractions

By Jeffrey Brainard

Science26 Oct 2018 : 390-393 

The largest-ever database of retracted articles suggests the burgeoning numbers reflect better oversight, not a crisis in science.

http://science.sciencemag.org/content/362/6413/390

 


One publisher, more than 7000 retractions

By Alison McCook

Science26 Oct 2018 : 393 

Thousands of abstracts of conference presentations, most by authors in China, were declared flawed.

http://science.sciencemag.org/content/362/6413/393

 


A scientist's fraudulent studies put patients at risk

By Adam Marcus

Science26 Oct 2018 : 394 

A physician with nearly 100 retracted papers may have misrepresented risks of an intravenous fluid.

http://science.sciencemag.org/content/362/6413/394.1

 


Fallout for co-authors

By Alison McCook

Science26 Oct 2018 : 394-395 

When a scientist has papers retracted for scientific misconduct, collaborators can suffer career damage.

http://science.sciencemag.org/content/362/6413/394.2

 


Volunteer watchdogs pushed a small country up the rankings

By Ivan Oransky

Science26 Oct 2018 : 395 

Romania has among the highest retraction rates, thanks partly to oversight by volunteers.

http://science.sciencemag.org/content/362/6413/395

 


Retraction Watch Launches Its Database of Papers

https://www.the-scientist.com/news-opinion/retraction-watch-launches-its-database-of-papers-65003

 


★Move over, Hubble: Discovery of expanding cosmos assigned to little-known Belgian astronomer-priest

https://www.sciencemag.org/news/2018/10/move-over-hubble-discovery-expanding-cosmos-assigned-little-known-belgian-astronomer

 


★米国:日本への渡航、妊婦は自粛を 風疹警戒で勧告

https://mainichi.jp/articles/20181024/dde/007/030/039000c

 


Rubella in Japan

https://wwwnc.cdc.gov/travel/notices/alert/rubella-japan

 


 麻疹の感染が拡大中。

 


★政府、動物で人の臓器作製解禁へ

来春までに指針改正

https://this.kiji.is/428522656867550305?c=39546741839462401

 


動物で人の臓器作製解禁へ 来春までに指針改正

https://www.sankei.com/life/news/181027/lif1810270004-n1.html

 


ヒト臓器:「ブタ」解禁 移植用作製・創薬研究へ 指針改正後、来春にも

https://mainichi.jp/articles/20181027/ddm/002/040/042000c

 


★Threats to timely sharing of pathogen sequence data

http://science.sciencemag.org/content/362/6413/404

 


★THE ‘POLITICAL’ SCIENTISTS

Dozens of scientists ran for U.S. Congress. On the eve of the general election, 18 are still standing

https://vis.sciencemag.org/midterm-science-candidates/

 


Kathleen Williams wants Montana voters to help her restore civility and science

https://www.sciencemag.org/news/2018/10/kathleen-williams-wants-montana-voters-help-her-restore-civility-and-science

 


Meet the Scientists Still in the Running for Congressional Seats

https://www.the-scientist.com/news-opinion/meet-the-scientists-still-in-the-running-for-congressional-seats-64987

 


Numerous Life Scientists Seek Election to State Legislatures

https://www.the-scientist.com/news-opinion/numerous-life-scientists-seek-election-to-state-legislatures-64988

 


 米国議会中間選挙直前。民主党候補として出馬している科学者たちの動向が中も祈雨を集めています。果たして何人当選するでしょうか。

 


★次世代加速器の日本誘致求め「テキサス宣言」 物理学者の国際会議

https://www.sankei.com/life/news/181026/lif1810260057-n1.html

 


科学の森:どうなる次世代加速器誘致 国際リニアコライダー、課題多く

https://mainichi.jp/articles/20181025/ddm/016/040/014000c

 


★S&T Policy Fellowships find a home in the judiciary

By Becky Ham

Science26 Oct 2018 : 412-413 

Fellows work on independent research topics during their year at the Federal Judicial Center

http://science.sciencemag.org/content/362/6413/412

 


 AAASのフェローシップ。2014年から連邦司法センターに送っています。

 


★The National Science Board today released a statement on security and science

https://www.nsf.gov/news/news_summ.jsp?cntn_id=297039

 


★Leading cancer-research charity takes tough stance on bullying

https://www.nature.com/articles/d41586-018-07162-x

 


★When you’re the only woman: The challenges for female Ph.D. students in male-dominated cohorts

http://www.sciencemag.org/careers/2018/10/when-you-re-only-woman-challenges-female-phd-students-male-dominated-cohorts

 


★Survey reveals highs and lows of a life in science

Nature の調査から、科学者の大半は自身の職業に満足しているが、ハラスメントや差別、メンタルヘルス問題など、解決すべき課題があることも浮き彫りになった。

https://www.nature.com/articles/d41586-018-07149-8

 


 Natureの調査。

 


★西沢潤一さん死去 半導体の世界的権威

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36962480W8A021C1CZ8000/

 


「ミスター半導体」西沢潤一さんが死去…92歳

https://www.yomiuri.co.jp/science/20181026-OYT1T50110.html

 


愚直な実験主義者 西沢潤一さん死去

追い求めた独創性

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO37014720X21C18A0CC1000/

 


 一度だけですがお会いしたことがあります。ご冥福をお祈りいたします。

 


ノーベル賞「小野薬品も貢献」 社長が本庶氏に反論

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36949540W8A021C1000000/

 


本庶氏の指摘「心外」 オプジーボ開発の小野薬品社長

http://www.asahi.com/articles/ASLBV4TVVLBVPLFA00F.html

 


 アカデミアvs民間企業…

 


ノーベル賞本庶佑さんの肩書「特別教授」は京大に4人だけ

https://www.sankei.com/life/news/181026/lif1810260014-n1.html

 


 記事では若手研究者の目標になると言われていますが、年齢にかかわらず才能あるものをフェアに評価する大学であってほしいです。

「サイエンスアゴラ2018 」11月9日(金)~11月11日(日)開催

https://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/

 


日本最大級の科学と社会のオープンフォーラム「サイエンスアゴラ」。会場には、AIからファッションまで幅広い話題を取り上げた、科学者との対話、シンポジウム、ワークショップや展示など、誰もが参加できる120の企画が集います。

11月9日(金)の基調講演では、航空事業の枠を超え、新しい価値の創出に取り組む「ANA Avatarアバター)」プロジェクトチームが世界中の多様な人々と共創を進める事業について語ります。続くキーノートセッションでは、SDGs達成の先にどのような未来社会の幸福をデザインするか、国内外からの多様なパネリストと共に探ります。

 


■基調講演「あらゆる制限を超えて75億人をつなぐ挑戦」~一企業に閉じない、グローバルでチャレンジングな共創~

https://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/program/session/102/

■キーノートセッション「SDGs達成の先に何を見るかー未来の幸福をデザインする社会の共創」

https://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/program/session/103/

▼下記から全プログラムがご覧になれます▼

https://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/program/booth/

 


●日時:11月9日(金)~11日(日)

●会場:東京・お台場地域 日本科学未来館(9日)、テレコムセンタービル(10日、11日)

●費用:入場無料(一部、実費徴収あり)

●問合せ先:サイエンスアゴラ2018運営事務局

株式会社工芸社内

E-mail:agora@kogeisha.co.jp

2018年11月11日 サイエンスアゴラ2018企画 「本音で語るハラスメント ~ 今のままでいいんですか? ~」 へのご招待

「本音で語る」ワークショップ実行委員会

 

 10月とは思えないほど冷え込む朝方があったり、逆に10月とは思えないほど暖かな日中があったりする今日このごろですが、皆様、お元気でお過ごしでしょうか?

 

本年2018年も、「サイエンスアゴラ」の季節がやって参りました。

 そして本年も、毎年おなじみの「本音で語る」ワークショップを企画しております。

 本年のテーマは、「ハラスメント」。

秋の一日、ハラスメントを根本から知り、考え、発見し、ほぐすための糸口を探しましょう。

 

●企画タイトル 本音で語るハラスメント ~ 今のままでいいんですか? ~

●開催日時11/11(日)13:00-16:00 (サイエンスアゴラ最終日)

●会場 テレコムセンターゆりかもめテレコムセンター」駅直結) 

8階 会議室C

●参加費用 無料

●内容 話題提供者3名による講演+全員参加型ワークショップ

●話題提供者(敬称略)

 

北仲千里(広島大学ハラスメント相談室准教授)

大坪久子(日本大学男女共同参画学協会連絡会)

錦光山雅子(ハフポスト日本版ニュースエディター)

 

プログラム前半では、3名の話題提供者に、大学で長年にわたってハラスメントに取り組んできた経験・学協会で「無意識のバイアス」に取り組んできた経験・東京医大の入試操作など差別やハラスメントに関する取材報道を行ってきた経験を踏まえて、「ハラスメント」を語っていただきます。

後半は、全員参加のワークショップで「いま」「ここ」「私たち」のハラスメントを考え、具体的な解決の可能性を探ります。

 

●イベント情報ページ

 

Facebookページ「本音で語るハラスメント ~ 今のままでいいんですか? ~」

https://www.facebook.com/honne2018/

 

●参加申し込みページ

 

こくちーず「本音で語るハラスメント ~ 今のままでいいんですか? ~」

https://kokucheese.com/event/index/541120/

 

(FBを利用されていない方、および科学研究とふだん深く関わられていない方のご利便を考慮しました。ご理解とご協力をお願いします)

 

●話題提供者紹介(敬称略)

 

北仲千里(広島大学

1998年、名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程修了。1997年ごろより「キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク」設立にかかわる。2007年から広島大学ハラスメント相談室准教授。NPO法人全国女性シェルターネット共同代表。NPO法人性暴力被害者サポートひろしま代表理事を務める。共著に『身体、性、生―個人の尊重とジェンダー』(尚学社)など(Amazon.co.jp 著書ページより)。

 

大坪久子(日本大学男女共同参画学協会連絡会)

現職は日本大学薬学部薬学研究所上席研究員. 専門は「動く遺伝子とゲノム動態」。また日米における女性研究者支援の違いとその背景にも関心を持つ。

1970年九州大学薬学部薬学研究科修了。 1975年薬学博士(九州大学)。1974~1982年、ニューヨーク州立ストーニーブルック大学博士研究員を経て研究准教授。その後、東京大学日本大学上智大学九州大学で研究および女性研究者支援に携わる。第7期・第8期男女共同参画学協会連絡会提言委員会委員長(researchmapより)。

 

錦光山雅子(ハフポスト日本版ニュースエディター)

朝日新聞科学医療部、特別報道部などを経てハフポスト日本版ニュースエディター。公衆衛生、ジェンダーが関心領域。公的手当のまとめ支給問題、公立中学の制服価格調査報道で「貧困ジャーナリズム大賞2016」受賞。2012-2013、米ハーバード公衆衛生大学院フルブライト研究員。

 

●タイムテーブル(予定)

 

12:30 受付開始

13:00 開会挨拶・趣旨と進行の説明

13:05 話題提供および質疑(1)

13:35 話題提供および質疑(2)

14:05 話題提供および質疑(3)

14:35 休憩

14:45 グループワーク開始

15:45 まとめ

16:00 終了

 

話題紹介者が3名とも女性のため、男性2名にコメンテーターをお願いすることを検討中です。当日は、タイムテーブルが若干変更される可能性があります(開始・終了時刻が変更されることはありません)。

 

●ワークショップ「本音で語る研究問題」とは

 

 本ワークショップシリーズは、「サイエンスアゴラ」第一回(2006年)より毎年、故・横山雅俊さんを中心に開催されてきました。

気になる社会課題であり重要な研究問題ではあるけれども、語ろうとすると語りにくい話題の数々を「本音」で語り、関心ある皆様のご参加、話題提供者の皆様のご協力、スタッフの皆さんの素晴らしいファシリテーションにより、毎年、好評を博してきました。

過去のタイトルは以下の通りです。

 

2006 本音で語る研究倫理問題

2007 本音で語るポスドク問題

2008 本音で語る研究問題~研究問題 ML 10 周年に寄せて~

2009 本音で語る“大学とは何か”

2010 本音で語る科学技術政策 - Our Future and STS -

2011 本音で語る“夢の薬”

    ~2010 年問題(特許の期限切れ)をぶっ飛ばせ~

2012 本音で語る"専門職学位"―薬学6年化は成功するかー

2013 本音で語る生命倫理動物実験なぜ必要?なぜ反対?

2014 本音で語る研究倫理問題リターンズ

2015 本音で語る研究費問題 ~幸せに研究するために~

2016 本音で語る生命操作~基礎と臨床の距離どうする?~

2017 本音で語るデュアルユース~幸せになれる科学研究とは?~

 

 横山雅俊さんは、2017年4月に急逝されましたが、2017年以後は友人知人有志たちが実行委員会を立ち上げ、横山氏が掲げ続けてきた灯火を引き継ぎ、「本音で語る」ワークショップシリーズを開催しつづけています。

 どうぞ、今年もお誘い合わせの上、ご参加をお願い申し上げます。

 

 

大学vs財務省、技術者流出

2018年10月16日~2018年10月23日


 メルマガ編集中に飛び込んできたニュースです。


医学部不正入試問題、文科省が全国81大学対象の中間報告公表 具体的な大学名明かさず

https://www.sankei.com/affairs/news/181023/afr1810230008-n1.html


 詳細は来週号以降に取り上げますが、先週もすでに具体的大学名があがっていました。


★医学部入試、得点操作明るみに

人気背景、不明朗な選抜

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO36704280Z11C18A0EA5000/


昭和大の入試不正、文科相「大変遺憾」 調査に当初否定

http://www.asahi.com/articles/ASLBJ3DGCLBJUTIL008.html


昭和大学

医学部入学試験における文部科学省の指摘事項について

http://www.showa-u.ac.jp/admission_info/2018/20181015_001.html


順天堂大医学部も…女子と2浪以上受験生差別か

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6300818


順大、医学部入試で第三者委を設置

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO36650150Y8A011C1CC1000/


三者委員会の設置について

https://www.juntendo.ac.jp/news/20181018-01.html


 擁護する意見も聞かれますが、許されることではありません。とにかくこの機会に、長らく続いた慣習をあらためて、公正な入試を実現させること、医療界における働き方改革に取り組むことが必要です。


★研究分野の新陳代謝促す

財務省、若手の処遇改善提言へ

https://r.nikkei.com/article/DGKKZO36744680R21C18A0NN1000


★日本の研究力低下、悪いのは…国立大と主計局、主張対立

http://www.asahi.com/articles/ASLBD56JXLBDPLBJ006.html


 財務省が大学などに対しいろいろ言っています。大学も反論。


 朝日新聞にはいつもの神田さんが発言していますが、大学の実情を理解しているのかと思います。一方で、大学も「基礎研究にバラまけ」とばかり言ってられません。


「研究費をばらまけ」と言ってはいけない本当の理由

研究者の「3大NGワード」対策を教授

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57913


 自分の組織、分野は正しい、価値がある、他の分野はダメ、では世間を納得させられません。


 「ポジショントーク」は重要ですが、対立するのではなく、「第三の道」を探る深い議論ができればよいのですが…難しいですね…。


★技術者を大量流出させた日本 電機の敗因から学ぶこと

http://www.asahi.com/articles/ASLBM33T1LBMULZU004.html


文科省科学技術・学術政策研究所の藤原綾乃さんによると、80年代前半~2015年春までの間、日本の電機や精密機器メーカーから韓国や中国、台湾などの企業に約1千人にのぼる日本技術者が転職したという。


 人材を遇しないのだから当然の結果と言えます。日本はいつになったら学ぶのでしょうか。


安倍総理は第20回未来投資会議を開催しました

https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201810/22mirai.html


未来投資会議(第20回) 配布資料

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai20/index.html


高齢者雇用促進及び中途採用拡大・新卒一括採用見直し

疾病・介護予防


 新卒一括採用見直し、定年の延長など働き方が変わりつつありますが、新卒の流れに乗ってこなかった博士号取得者、なかなかシニア教授が椅子をあけない研究者たちにどのような影響を与えるでしょうか。


★「ヒト受精胚に遺伝情報改変技術等を用いる研究に関する倫理指針」案に関するパブリック・コメント意見公募手続)の実施について

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/10/1410209.htm


★平成30年度国立大学法人等施設整備実施予定事業<補正予算

http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/kokuritu/yosan/1410129.htm


★「IoTやAIが可能とする新しいモビリティサービスに関する研究会」中間整理を取りまとめました

http://www.meti.go.jp/press/2018/10/20181017005/20181017005.html


★Gloomy 1970s predictions about Earth’s fate still hold true

https://www.nature.com/articles/d41586-018-07117-2


★研究室で焼死の元九大院生 中退後も…夜間働き通い続け

https://www.asahi.com/articles/ASLBL632GLBLTIPE02L.html


 少しずつ詳細が明らかになっています。こうした悲しい事件を減らすために、私たちも情報発信等を続けていきます。


★粗悪な学術誌を排除しようという方向は正しいが、その判定基準には透明性が必要だ。

https://www.nature.com/articles/d41586-018-07033-5


 Nature巻頭言。最近私も毎日新聞からの取材にコメントしていますが、何を粗悪とすべきかは慎重になるべきと思います。


★China awaits controversial blacklist of ‘poor quality’ journals

https://www.nature.com/articles/d41586-018-07025-5


★「人種差別に遺伝学使うな」米学会、白人至上主義を非難

https://www.asahi.com/articles/ASLBN2R1BLBNUHBI00B.html


抗生物質の耐性問題について、臨床医、企業、研究者が議論した上で合意声明が出されたことは、大きな進展である。

https://www.nature.com/articles/d41586-018-07031-7


 人類が直面している危機。


★ゲノム編集技術「CRSPR/Cas9」に限界説

警告する報告が相次ぐなか、このまま推進されるのか

https://webronza.asahi.com/science/articles/2018101200002.html


★More Reports of Children Being Paralyzed by Mysterious Disease

https://www.the-scientist.com/news-opinion/more-reports-of-children-being-paralyzed-by-mysterious-disease-64962


Outbreaks of poliolike disease pose a puzzle

http://science.sciencemag.org/content/362/6412/277


 ポリオに似た謎の病気が広がっています。


★Breakthrough Prizes Recognize Aneuploidy Researcher, Biochemist

https://www.the-scientist.com/news-opinion/breakthrough-prizes-recognize-aneuploidy-researcher--biochemist-64966


Revolutionary microscopy technique nets most lucrative prize in science

https://www.nature.com/articles/d41586-018-07079-5


 今年のブレークスルー賞。ノーベル賞ほど報道はされません。


★Scientists who beat the odds seek victory in November

By Jeffrey Mervis

Science19 Oct 2018 : 271-273 

Candidates, all Democrats, learned in the primaries that a science background by itself does not sway voters.

http://science.sciencemag.org/content/362/6412/271


 科学のバックグラウンドがあるからといって必ずしも候補になれるわけではありません。当たり前ですが、世の中にはいろいろな職業の人が生きているのです。


 それは「基礎研究費を増やせ」と言っている研究者たちにも関わる話です。


★Climate change doubters are finalists for Environmental Protection Agency Science Advisory Board

https://www.sciencemag.org/news/2018/10/climate-change-doubters-are-finalists-environmental-protection-agency-science-advisory


EPA Postpones Decision on Rule to Restrict Scientific Input

https://www.the-scientist.com/news-opinion/epa-postpones-decision-on-rule-to-restrict-scientific-input-64973


 気候変動に対し懐疑的なトランプ政権。


★Life after a ballot loss

https://www.sciencemag.org/news/2018/10/life-after-ballot-loss


★Europe’s Nobel laureates step up warnings about Brexit’s effect on science

https://www.nature.com/articles/d41586-018-07146-x


ブレグジットで人材難の英国、産業界にようやく自動化の波

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/10/post-11145.php


British universities set up European outposts as Brexit looms

https://www.nature.com/articles/d41586-018-07121-6


 ブレグジット迫るなか、いろいろな動きが…。


Tsunami scientists clash with Indonesian government over rules on foreign research

https://www.nature.com/articles/d41586-018-07030-8


 先日のインドネシア津波。官僚制に阻まれているようです…。


★旧校舎、IoTなど研究拠点に マキノハラボ代表 福代孝良さん

人呼び込む事業を模索

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO36713360Z11C18A0L61000/


マキノハラボ

https://makilabo.jp/


 注目の取り組みです。


★Real-life stories of online harassment - and how scientists got through it

https://www.nature.com/articles/d41586-018-07046-0


★Gender disparities among independent fellows in biomedical research

https://www.nature.com/articles/nbt.4274


★カブリ数物連携宇宙研究機構長が初代村山氏から大栗氏に

https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2018/10/20181016_01.html


 大物から大物への交代。


ポール・アレン逝く。ゲイツに大学を辞めさせたMicrosoft共同創業者

https://www.gizmodo.jp/2018/10/paul-allen-dead.html


ゲイツ氏がアレン氏追悼「彼なしでは存在しなかった」

https://www.asahi.com/articles/ASLBJ56J9LBJUHBI027.html


 巨星落つ…。


下村脩さん死去 2008年にノーベル化学賞

http://www.asahi.com/articles/ASLBP5QKDLBPULBJ005.html


訃報:ノーベル化学賞受賞、下村脩さん90歳 長崎市内で

https://mainichi.jp/articles/20181022/k00/00m/040/008000c


クラゲ85万匹を使って偉業 下村さん、晩年まで実験

http://www.asahi.com/articles/ASLBP55XVLBPULBJ004.html


下村脩さん死去:核廃絶、平和訴え 長崎で原爆体験

https://mainichi.jp/articles/20181022/ddm/041/040/079000c


 ご冥福をお祈りします。


★母の発病がきっかけ 小学生自由研究「がんについて」が反響

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12180-108721/


 好奇心を伸ばして欲しいですね。