科学・政策と社会ニュースクリップ

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研究不正は終わらない

 ディオバンの臨床試験データねつ造、東大教授逮捕…研究不正、研究費不正が止まりません。

 このメルマガを発行して10年になりますが、研究事件簿の欄に載せる記事は絶えることがありません。

 もちろん、これは日本だけのことではなく、世界各国で発生しています。

 早稲田大学松本和子教授の研究費不正流用事件の際、私は、研究者コミュニティの自助努力を発揮すべきだ、そうでないと研究者は社会から信用を失うと書きました。

 今回も日本学術会議が談話を発表し、この問題に取り組む姿勢を見せています。

日本学術会議会長談話
科学研究における不正行為の防止と利益相反への適切な対処について
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-d4.pdf

 しかし、それでは甘いのかもしれません。(外からみれば)研究者コミュニティの、みんなやってるよ、見つかるのがアンラッキーだよ、と言わんばかりの状況に、正直いって失望しています*1

 ただ、失望するのは、研究者の自助努力に期待しすぎていたためで、研究者は不正をするものだ、という観点でどう対策をとるか、冷静に考えることが必要でしょう。それは悲しいことではありますが…

 JSTが研究倫理教育を行う計画だと言います。遅きに失していますし、どこまで効果があるかわかりません。けれど、やるべきことです。少なくとも私は、研究倫理を教わったことはありません。

●研究者に倫理研修義務化 論文不正防止へ科技振興機構
http://digital.asahi.com/articles/TKY201307280002.html

 研究者個人の倫理観の向上も重要ですが、研究不正を誘発する構造(アーキテクチャ)そのものにメスを入れないと、こうした事件は続いていくでしょう。

 日本版研究不正庁(ORI)の設置も検討されるべきことだと思いますが、研究データねつ造を暴いてきたのは、草の根のサイトなどです。
http://retractionwatch.wordpress.com/

 捏造に限らず、政策も含め科学を監視していく第三者も今後ますます重要になります。

 監視社会がよいものか、議論はありますが、データをオープンにして第三者が議論できるようにすることは、研究にとって必須です。今後もしっかりと状況をウォッチしていきたいと思います。

*1:もちろん、多くの研究者が真面目に研究に取り組んでいるのはよく知っていますが