本ブログに書いたこととかなり重なりますが、メールマガジンに以下のような巻頭言を書きました。
【補正予算見直し、将来への投資は減らすな】深島守
10月2日までに報告指示 鳩山首相補正予算執行の是非
http://scienceportal.jp/news/daily/0909/0909183.html
これを受け、文部科学省でも、連休を返上して見直し作業が進んでいる。
9月23日、文部科学省は川端文部科学大臣に、研究者海外派遣基金224億円や学校の理科設備費43億円の見直しを提示したことを報道で知った。
アニメの殿堂「建てぬ」川端文科相、脱ハコモノを指示
http://www.asahi.com/politics/update/0923/TKY200909220259.html
最先端研究開発プログラムの2700億円は、文部科学省側の提示には入っていない。
この報道を聞いて思ったのは、未来の世代への投資が削られようとしているということだ。
研究者海外派遣基金は、常勤研究者が中心であり、かつ、派遣期間も短いという問題点がある。そうした意味で、決してベストの制度とは言えない。
しかし、私のもとには、この制度で留学をしようとしている人たちから、せっかく準備に時間を費やたのに、取り消されると残念だ、という声が届いている。
もちろん、ハコモノだろうが、なんだろうが、中止になれば困る人はいる。そういう声を聞いていたら、大胆な改革ができないのは理解できる。
留学したからと言って、素晴らしい研究者がすぐ生まれるということにはならないだろう。投資効果という点からは、すぐに投資の結果が回収できるというものではない。
しかし、たとえベストの制度とは言えないものの、未来を担う若手研究者や子供たちに対して投じられる、一度決まった基金を中止するのは、将来の日本にとって損失ではないのか。
若手研究者や子供たちは、利権がない存在だ。中止したところで、票に影響はないだろうし、たぶん報道もあまりされないだろう。評価は未来にゆだねられる。
だからこそ、新政権が本当に利権から自由なのか、教育や学問を重視しているのかが、これらの事業を中止するか否かで分かるように思う。
10月2日までまだ時間がある。私たちには、意見を伝えるしかできないが、賛成、反対どちらでもいいので、民主党や議員などに意見を送ってみてほしい。
私も送ってみた。
http://d.hatena.ne.jp/scicom/20090923/p1
学生やポスドクを政局の犠牲にしないよう民主党にロビイングしよう
http://d.hatena.ne.jp/sivad/20090903/p1
も参照にされたい。