2017年1月3日〜2017年1月9日
先週もニュースは控えめでした。
気になった話題はこれ。
★卓越研究員候補者リスト
http://komodak.wixsite.com/takuetsukouho
開始初年度(平成28年度)は、849名の申請者(研究者)の内176名が卓越研究員候補者として認定されましたが、各研究機関との雇用調整が完了し、安定した研究環境を得た卓越研究員は83名に留まりました(平成28年10月末現在、下記のサイトより引用)。残りの93名については、今もなお来年度以降の職を得るために雇用調整を続けている状態ですが、未だ状況は不透明です。
卓越研究員の候補になった方々が、不安定な立場に置かれているという状況。
この状況に対し、こんなツイートも
https://twitter.com/EnoRyo/status/816841872643526656
最近卓越研究員の就職難でツイートが盛り上がってますが、さきがけ採択者でも次の職がない「先崖」の人たちが結構います。採択率5%以下の領域でも「次どうしよう」なんて話題がが飛び交う時代です。
これは私の弟のツイートなのですが、本当に厳しい状況です。単純に厳しいだけではなく、若手研究者向けの研究費の次の段階の制度があまり機能していない、という問題でもあります。
昨年は大隅良典博士のノーベル賞受賞でこの問題に光があたりました(いったい何度目?)しかし、ではどうすればよいか、というのは難しい問題です。
★The new face of US science
Gary McDowell, Misty Heggeness and colleagues present census data showing how the biomedical workforce is fundamentally different to those of past generations - academia should study the trends, and adapt.
http://www.nature.com/doifinder/10.1038/541021a
は、アメリカの医科学研究者がおかれた状況がデータで示されています。日本だけの問題ではなく(日本特有の事業もありますが)、世界的な問題であり、解決策はまだどの国も見いだせていません。
しかし、ちょっとずつでも何かをやって前進するしかないわけです。
私は文科省のポスドク・キャリア事業の評価委員を務めた経験がありますが、ポスドクや博士のキャリアの問題を阻害している最大の要因は、教員の旧態依然とした意識であることを痛感しています。
ポスドク問題を他人事のように語る教員にいらだつことは数知れず。のみならず、若手の行動を阻害する教員も存在しています。
PIの姿勢も原因の一つ 日本の基礎研究力低下
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/review/2016/11/20161102_01.html
実験系の研究室では、大学院生やポスドクをこき使って働かせ、学内で行われるポスドクや博士課程学生を対象にしたキャリア支援セミナー(企業への就職を促す)へは参加させていないという。
政府がなっていないと声高に批判する人は多いですが、アカデミア内部にも課題は多いわけで、根は深いです…
★Argentina’s researchers occupy science ministry
Young scientists angry at budget cuts say they have been denied permanent jobs.
http://www.nature.com/doifinder/10.1038/nature.2017.21242
アルゼンチンの研究者は大胆なことをするなあと思うかもしれませんが、様々な国の研究者がデモくらいはしています。日本の研究者がおとなしいだけないのかもしれません。
★【ニュース・アメリカ】人文科学専攻博士号保有者、他分野の博士号保有者と比較して大学教官となる確率は高い
http://www-overseas-news.jsps.go.jp/%E3%80%90%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%80%91%E4%BA%BA%E6%96%87%E7%A7%91%E5%AD%A6%E5%B0%82%E6%94%BB%E5%8D%9A%E5%A3%AB%E5%8F%B7%E4%BF%9D%E6%9C%89/
★【ニュース・アメリカ】科学者のキャリアの成功、無作為的要因によるところが大きいことが判明
http://www-overseas-news.jsps.go.jp/%E3%80%90%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%80%91%E7%A7%91%E5%AD%A6%E8%80%85%E3%81%AE%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%81%AE%E6%88%90%E5%8A%9F/
★By students, for students
Events at which PhD students share experiences can pay dividends.
http://www.nature.com/naturejobs/science/articles/10.1038/nj7635-125a
日本では若手の会の運営経験が役に立つかもしれません。
★Why researchers should resolve to engage in 2017
Debates over climate change and genome editing present the need for researchers to venture beyond their comfort zones to engage with citizens - and they should receive credit for doing so.
http://www.nature.com/doifinder/10.1038/541005a
Nature社説。
★NY州が公立大無償化へ 全米初、最大100万世帯に恩恵
http://www.afpbb.com/articles/-/3113038
大きなニュースです。
★The irreversible momentum of clean energy
Barack Obama
http://science.sciencemag.org/content/early/2017/01/06/science.aam6284.full
オバマ大統領がサイエンス誌に寄稿。トランプ政権発足にあたり…
★第8期研究費部会(第9回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/037/shiryo/1380967.htm
議題
科学研究費助成事業(科研費)改革の推進について
★サイエンスアゴラ2016が米国科学誌サイエンスにて紹介
http://www.jst.go.jp/report/2016/170106.html
★危機に立つ日本の科学力(4)実は「研究不正大国」 不安定な雇用・資金 背景
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO11461240Y7A100C1TJM000
榎木のコメントが出ています。
★小保方晴子氏 出来事と心情を書き留めた日記を「婦人公論」で連載開始
http://news.livedoor.com/article/detail/12508689/
小保方氏が何をしようと自由だと思います。そこまで阻害される理由はないわけです。ライターは適した職業かもしれません。
★薬剤耐性(AMR)対策推進月間における普及啓発の取組について
http://www.cas.go.jp/jp/houdou/161228amr.html
★US scientists fear new restrictions on fetal-tissue research
House Republicans conclude that tissue from aborted fetuses is of limited value for research and seek to reduce funding.
http://www.nature.com/doifinder/10.1038/nature.2017.21254
Fact-checking Congress’s fetal tissue report
http://www.sciencemag.org/news/2017/01/fact-checking-congress-s-fetal-tissue-report
議会で多数派の共和党の意向が反映されつつあります…
★Brexit vote drives UK academics to think about leaving
Many researchers also object to proposed higher-education reforms, says survey.
http://www.nature.com/doifinder/10.1038/nature.2017.21259
Scientists should not resign themselves to Brexit
Leaving the European Union is not yet a done deal, and UK researchers must look past a pay-off and take a stand, says Colin Macilwain.
http://www.nature.com/doifinder/10.1038/541006a
英国大学事情英国大学事情 1月4日
2017年1月号「英国における研究と欧州連合 : 英国の研究助成に対するEUの役割」
フリーランス・コンサルタント 山田 直 氏
http://scienceportal.jst.go.jp/reports/britain/20170104_01.html
EU学生に対する資金援助
http://crds.jst.go.jp/dw/20170106/2017010610375/
Brexitの影響。