科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

2、大学の基盤的経費を充実し、大学間格差をただします
 わが国の大学・大学院は、学術の中心を担い、地域の教育、文化、産業の基盤をささえる役割をはたしています。大学改革への国の支援は、こうした大学の役割にふさわしいものであるべきです。

 国立大学法人独立行政法人研究機関への運営費交付金は、毎年1%削減する方式を廃止し、基盤的経費を十分に保障するように充実します。政府が検討している競争的資金化を中止し、財政力の弱い中小の大学に厚く配分するなど、大学間格差を是正する調整機能をもった算定ルールに改めます。また、大学の地域貢献をきめ細かく支援するとともに、国による一方的な再編・統合に反対します。

 高等教育における私立大学の役割を重視し、経常費の2分の1助成を実現するための年次計画を確立します。定員割れした大学への助成金を削減するペナルティをやめ、定員確保の努力を支援する緊急助成をおこなうなど、私立大学の二極化の是正をめざします。大学の設置審査を厳格な基準でおこなうとともに、まともな教育条件を保障できない株式会社立大学の制度は廃止を検討します。

 学費の漸進的無償化を求めた国際人権A規約13条2項B、Cの留保を撤回し、学費の引き下げと、私立大学生への学費助成や私立大学の学費減免への特別助成をはかります。欧米諸国の半分にすぎない高等教育への公費負担(GDP比0・5%)を大幅に引き上げます。

3、大学・研究機関の国家統制を強める独立行政法人制度と大学間競争を見直します
 独立行政法人制度を根本的に見直し、国が各大学・研究機関の目標を定め、その達成度を評価し、組織を再編するなど、大学・研究機関の国家統制を強めるしくみを廃止して、大学・研究機関の自主性を尊重した制度に改めます。

 トップ30の大学院に数億円の資金を投入する「21世紀COE」など、大学・大学院を単位に国が交付する競争的資金は、国の財政誘導による大学間競争を強めるものであり、大学の自主性を尊重するものへ切り替えます。大学、学術関係者などからなる独立した機関を確立し、配分計画を決めるようにします。

4、業績至上主義をやめ、競争的研究費の民主的改革と研究不正の根絶をはかります
 個々の研究者に対して交付される各種の競争的研究費については、科学研究費補助金の採択率を高めるとともに、次の方向で改革します。(1)特定分野や旧帝大系大学に集中するのでなく幅広く大学・研究機関の研究者に配分する。(2)業績至上主義の審査ではなく、研究計画も十分考慮した審査に改める。(3)そのためにも日本学術会議と連携した専門家による十分な審査体制を確立し、審査内容を公開する。

 研究における不正行為は、科学への社会の信頼を裏切る行為であり、根絶しなければなりません。不正の温床となっている業績至上主義の競争を是正するとともに、大学における外部資金の管理を厳格におこない、科学者としての倫理規範を確立し、研究機関や学術団体が不正防止への自律的機能を強めるよう支援します。

6、大学院生、ポストドクターなど若手研究者への支援を抜本的に強めます
 自民・公明政権が、大学院生を急増させる一方で、大学や研究機関の増員を抑制・削減したために、大学院生やオーバードクター(大学院博士課程を修了しても定職につけない研究者)、ポストドクター(博士号取得後の任期付研究奨励制度をうけている人、略してポスドク)の就職難が深刻化し、「高学歴難民」といわれる人々が急増しています。

 この解決のためにも、大学や研究機関での教員・研究員の増員をはかり、研究者の非正規雇用の拡大を抑えます。オーバードクターへの研究奨励制度の拡充、ポスドクの社会的地位向上、テニュア・トラック制(ポスドク終了後に研究職が保障される制度)の導入を促進します。

 日本共産党は政府に働きかけて、独立行政法人研究所のポスドクの公務員宿舎への入居に道を開きました。非常勤講師の処遇を改善するため、「同一労働同一賃金」の原則の順守や均等待遇にもとづく賃金の引き上げ、社会保険加入の拡大、不当な解雇を許さず安定した雇用を保障することなどをすすめます。

 大学院修了者が産業界も含め広い分野で活躍できるよう大学院教育を充実させるとともに、民間企業が博士号取得者を積極的に採用するような支援策をすすめます。大学院生が経済的理由で研究を断念しなくてすむよう、無利子奨学金の拡充と返還免除枠の拡大、給費制奨学金の導入を実現します。

 女性研究者への昇進差別やセクハラをなくし、出産・育児における休職・復帰支援策の拡充、大学内保育施設の充実など研究者としての能力を十分に発揮できる環境をつくります。大学院生の出産・育児のための休学保障と奨学金制度をつくります。

【19】子ども・子育て
安心して子育てできる社会環境をつくり、経済的保障の充実をはかります

教育費、学費の父母負担の軽減、奨学金制度の拡充をはかります
 「私立の幼稚園の入園料、教育費、高すぎます」「家計が苦しく泣く泣く高校中退」など教育費負担は深刻です。私学助成の拡充をすすめ、私費負担の軽減をはかります。修学旅行費や給食費などの父母負担の軽減措置をとります。削減された就学援助の国庫負担を復活し、実態に見合った拡充をはかるなど、抜本的に増額します。家計急変などの場合の授業料免除や教育資金の無利子貸し付けなどの制度を拡充します。高校や大学、専門学校の学費の値上げを抑えます。無利子奨学金の拡大、返還義務なしの給付制の導入など、奨学金制度の充実をはかります。

【22】若い世代
若い世代が人間らしく働き成長できる社会をめざします
学費負担を軽減し、奨学金制度を拡充します
 高すぎる学費が、学生や父母、子どもたちに重くのしかかっています。貧困と格差が家計をおびやかすなか、誰もがお金の心配なく学び成長できるよう対策が急がれます。

 日本では、初年度納付金が、私立大学で平均130万円、国公立大学で80万円をこえ、国際的にも異常な高さです。ところが政府は、高等教育予算をへらし、学費値上げへの圧力を強めています。この間、学生や大学人らの声と運動が広がり、国立大学では数十年ぶりに学費が値上げされませんでした。学ぶ権利が保障されるよう、いっそう力をつくします。

 高等教育の学費無償化をかかげる国際人権規約の条項は150カ国以上が批准し、OECD諸国の半数は授業料がタダです。日本もこの条項の留保を撤回し、学費負担を軽減します。欧米の半分程度の高等教育予算を大幅にふやし、私立大学では私学助成増額を通じた学費値下げと学費直接助成制度の導入をはかり、国立大学では学費標準額を値下げします。専門学校の職業教育ではたす役割を重視し、学生の経済負担軽減をはかります。

 無利子奨学金枠を拡充し、給付制奨学金を導入します。私立大学での学費減免への助成や国立大学での学費減免制度を拡充します。学生寮を、寮生負担をふやさず拡充します。入学料支払い猶予や融資制度を拡充します。