昨日の記事は多数のアクセスを頂きました。
私が言いたかったのは、決して小保方博士(もう博士でなくなるかもしれませんが)の擁護ではありません。人格攻撃やプライベート攻撃で問題は解決しないし、やってはいけないということです。
大げさに聞こえるかもしれませんが、炎上で自死した人はいます。社会的に抹殺されることがあってはいけません。
小保方博士が一身に批判を浴びていますが、指導教員や共著者の責任はどうなるのでしょう。機関の責任は?
結局のところ、結果として小保方博士個人が報道などされたことにより、スケープゴートになるのではないかと危惧しています。トカゲの尻尾切りになってはいけません。
重大なニュースがありました。
文部科学相 STAP細胞の客観的調査を
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140311/k10015882671000.html
理化学研究所を所管する文部科学省の下村大臣は、11日の閣議後の記者会見で、「このようなことになり残念だ」と述べたうえで、「客観的な調査をして再度、論文を出すことを期待したい」と話し、事実関係の調査を行うよう求めました
STAP細胞論文で「すみやかに事実関係の説明を」 菅長官、理研に
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140311/plc14031111310005-n1.htm
この記事を読んで、多くの人はその通りだと思ったと思います。
しかし、このことは非常に大きな問題を提起しているように思います。科学コミュニティの自律が失われている、ということです。
監督官庁の文部科学大臣や官房長官が、基礎研究の論文に対し、説明を要求し、論文の撤回を期待すると発言していることの重大さを、政府が基礎研究の内容にまで関与するということの重大性を、科学コミュニティは自覚すべきです。
(追記:公的資金を使用している以上、研究機関が社会や政府に説明責任があるのは当然です)
政府が、そして多くの人たちが、科学コミュニティに自浄能力がないと思っているのです。
残念ながら、今回の件やディオバンの事件をはじめとする捏造事件をみて、私もそう思わざるを得ません。
日本分子生物学会が声明を出しましたが
http://www.mbsj.jp/admins/statement/20140311_seimei.pdf
日本学術会議や関連学会からは今回の件についての発言や行動が聞こえてきません。
このままでは、日本版の研究不正庁(ORI)の創設は避けられないでしょう。
科学コミュニティ、研究者の方々には、一部の人間がやったこととして他人ごとととらえるのではなく、「自分ごと」としてこの危機感を自覚し、行動していただきたいと思います。失われた信頼を取り戻すにはもう遅いかもしれませんが…