科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

ReaD&Researchmapとe-Radの統合〜若手研究者の声が政策に

 今週は平成24年度補正予算閣議決定をはじめ、重要なニュースがいくつかありましたが、私達にとって、最も感慨深いのが、以下です。

 これは、若手研究者の声が政策に反映されたケースとして、重要だと思っています。

 2010年、神経科学者SNS事業仕分けコミュニティ」は、「これからの科学・技術研究についての提言」を発表し、総合科学技術会議日本学術会議に送付しました。

http://cbsn.neuroinf.jp/modules/xoonips/detail.php?item_id=24824
http://cbsn.neuroinf.jp/modules/xoonips/detail.php?item_id=25801
http://cbsn.neuroinf.jp/modules/xoonips/detail.php?item_id=25802

研究者IDで経歴・業績など一括管理 ・研究費の申請書・報告書に記載する情報には重複する部分・内容が多い一方で、それぞれの書類のフォーマットが大幅に異なっていることがムダを生んでいる、という意見がある。
ResearchmapやReaDなどとe-Radのような申請システムをそれぞれ改善して統合し、一箇所だけで経歴や業績のデータをアップデートしておきさえすれば各種書類で研究者IDを入力するだけで必要情報が自動入力されるようなものを導入すると多くのムダを省くこととができる。 ・アンケート7では、研究関係者の92%が上記のようなシステムを導入して欲しい、と答えている。

 提言を中心になってまとめた宮川剛藤田保健衛生大学教授は、その後総合科学技術会議の科学・技術ミーティングin大阪
http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/syutyo/100320osaka.html

 や、文部科学省の研究費を効果的に使用するための予算制度の在り方に関する意見交換会
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/05/1294374.htm

当日資料
http://jukugi.mext.go.jp/archive/162.pdf

 に出席され、こうしたことがきっかけになり、文科省関係者と議論を重ねててきました。宮川教授の意見を受けた文科省の各部局の担当者の尽力もあり、今回のJSTの発表に至ったわけです。関係者の皆さんに御礼申し上げたいと思います。

 国のシステムなどに不満のある研究者は多いと思いますが、それを提言にまとめ、関係者に伝えるという仕事を行う人はまだまだ少ないのが現状です。声をあげることで、様々な批判を浴びることさえあります。

 そういう意味で、今回のケースは、動いた研究者と、それを受け止めた政府担当者の方々の連携がうまくいった事例として、私達にとっても大いに勇気づけられるものです。

 現場のことは現場の人間が最も知っているわけで、研究現場から声をあげることはとても重要だと思います。ただ、予算には限りがあり、様々な利害がからむ現実のなかで、声をあげるだけでは不十分です。

 現場と政府がお互いの言い分を理解し、両者の意見を統合した、よりより「第三の案」を作るといいうこと、つまり、現場と政府のコミュニケーションが不可欠です。

 今回のケースをきっかけに、現場と政府との交流が活発化していくことを期待したいですし、そのためには、意見をまとめる主体となる組織が必要です。

 神経科学者SNSの提言のなかには、分野横断的な科学者組織、いわば日本版のAAAS(全米科学振興協会)を作るという案もあります。これは、まさに私達が目指していることでもあります。

 まだまだ未解決な問題は多く、前途は多難ではありますが、私達も動きつづけたいと思います。

E.E
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