科学・政策と社会ニュースクリップ

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2012年衆院選、科学技術政策公開質問状

サイエンス・サポート・アソシエーションでは、以下のような公開質問状を作成しました。各党に送付します。TwitterFacebookなどでのご意見ありがとうございました。皆様のご意見をすべて反映できていないのが心苦しいですが、御礼申し上げます。

原則として、政党要件を満たしており、連絡先を公開されている政党にお送りしておりますが、それ以外の政党からの回答も歓迎しますので、回答をお寄せください

問1
 国際的な潮流にあわせて、日本でも90年代から、大学・研究機関における応用研究の重要性が増してきており、企業との共同研究や、国策的に目標を定めたトップダウン型の資金の配分が増してきています。しかし、近年これが行きすぎではないかという批判も出てきており、ある程度の金額を広く薄く配分し、短期的な社会評価を気にせずに基礎研究を行える仕組みの重要性が再評価されてきています。この点を踏まえて研究資金のあり方について、貴党のお考えをお聞かせください。

a. 近年の既定路線通り、産業応用や雇用創出の可能性の高い課題を研究する競争的資金を増額していく
b. 産業応用にすぐにはつながらない基礎研究への配分を増やしていく方針転換を行う
c. どちらともいえない
d. その他(具体的に  )

問2
 近年、競争的資金の多様化・複雑化、特許の取得に関わる業務、大学・研究機関のコンプライアンスの問題などで、大学教員の事務作業負担が増えている、という指摘があります。一部に、科学技術コミュニケーターや研究マネージメントなどの職を雇用する動きもありますが、任期付きにせざるを得ないことや、本来研究者を採用すべき人員の枠を圧迫するなどの問題がでています。こういった問題の解決策について、貴党のお考えをお聞かせください(複数回答可)。

a. 大学教員の増員を行う
b. 事務と教員(研究者)との中間形態として、科学や法律などの専門知識を持った研究支援職を大学が雇用できるようにする
c. ITなどを利用した申請や報告の簡易化、公的な研究資金における規格の共通化などを推進する
d. 実質的に役にたっていないムダな事務手続・書類を削減する。
e. 特に対策は取らない
f. その他(具体的に    )

問3
 博士号の取得者数は政策的に増やされてきた一方で、それらの人々の就職難が問題となっています。ポストドクター(ポスドク)と呼ばれる3〜5年程度の任期の職を転々とせざるをえないのが一般的になり、かつ40歳をこえるとこうした職に就くのも難しくなっています。また、労働契約法の改正によって、一大学と五年以上の契約を結べなくなり、ポスドクを継続的に行うことの困難は増しています。一方で国立大学法人の常勤職定員は削減の一途であり、この問題は大学・研究機関の自助努力では解決しづらいのが現状です。この問題の解決策について、貴党のお考えをお聞かせください(複数回答可)。

a. 大学教員の増員を行う
b. ポスドクを民間企業に転身させるための職業訓練や企業に対する助成措置を行う
c. 大学・研究機関を労働契約法の例外にする法改正を行う
d. 政府機関(学術振興会や科学技術振興機構など)で研究者を常勤で一括雇用し、各機関に派遣する形式のポストをつくる。
e. 特に対策は取らない
f. その他(具体的に  )

問4
 研究業界は、大学・研究機関や一部の企業による閉じられた環境の中で行われ、その事情が外部からは見えにくいという側面があります。しかし、近年、政府の政策や資金の配分の仕方と大学の研究の関連性は増しており、政策的な決断が大学における研究の方向性を大きく左右することもまれではありません。こうした中で、研究者の意見や要望をどのように政治の現場に伝えるべきか、研究者の多くが悩んでおります。このことについて、貴党のお考えをお聞かせください(複数回答可)。

a. 日本学術会議や主要な学協会などが一般研究者からの意見を集約して政府に伝える仕組みを作ったり充実させることを奨励する。
b. 研究者は広く有権者に対して状況を説明し、有権者が投票活動によって研究を重視する政党に投票すると決断するのが望ましい
c. 政府が一般研究者の意見や要望を集約する仕組みをより充実させるのが望ましい。
d. 各党が窓口をつくって、そこに各政党の政策に近い意見をもつ研究者が意見をよせる等の協力をする
e. その他(具体的に  )

問4−2
 dとお答えの場合、すでにそういった連絡窓口があれば、電話番号やメールアドレス等をお書きください。
 (                  )

問5
 科学技術の発展が人々の生活に大きな影響を及ぼす、という場合はますます多くなっており、それと共に研究開発に伴う倫理的な問題も重要性を増しています。iPS細胞について、ノーベル医学生理学賞を受賞される山中伸弥教授が述べたように、これを「研究者だけ」が決めて良いのかという点に、研究者自身も悩みや恐れを抱いているというのが現状です。そこで、科学技術研究の方向性や優先順位、また研究や応用における規制の問題等について、誰が議論に参加するべきか、該当するカテゴリーをすべてお答えください(複数回答可)。

a. 実際に研究を行う自然科学の専門家
b. 法律、哲学、社会、宗教等についての人文・社会科学の専門家
c. 国民の代表たる議員
d. 科学技術の応用に携わる産業の専門家
e. 患者団体など、広い意味での「ステークホルダー
f. その他、この社会を形成する全ての人々