科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

国際人権規約 保留撤回、人文社会科学系博士の進路など

■革新的エネルギー・環境戦略
http://www.kantei.go.jp/jp/topics/2012/pdf/20120914senryaku.pdf

が発表されました。報道にあるように、2030年代に原発依存率をゼロにするというものです。

わずか20ページであり、肉付けはこれからということでしょう。政権交代がまた起こったらどうなるかなど実現するかは不透明に思いますが、私達はしっかりとみて、意見を言っていく必要があります。

日本学術会議が「高レベル放射性廃棄物の処分について」について回答しました。

審議依頼
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-k159-1-shingi.pdf

回答
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-k159-1-kaito.pdf

回答「高レベル放射性廃棄物の処分について」
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-k159-1.pdf

■人文社会科学系の博士の進路動向が話題になっています。

●「我が国における人文・社会科学系博士課程修了者等の進路動向」[調査資料-215]の結果公表について
http://www.nistep.go.jp/archives/5432

●博士課程修了者にも険しい非常勤から常勤職への道
http://scienceportal.jp/news/review/1209/120914.html
http://news.mynavi.jp/news/2012/09/14/107/index.html

科学技術政策研究所が行った調査です。

大学教員として就職する者の割合が約45%(専任および専任以外を含む)であり、理系の19.7%に比べて高いことが分かりました。
博士課程修了直後にポストドクターとなった者のうちポストドクターの職に留まる者は博士課程修了から時間が経つにつれて減少し、博士課程修了5年後に専任の大学教員になった者は人文科学の場合56.6%、社会科学の場合74.4%まで増えていることが分かりました。これはポストドクターから専任の大学教員になるというアカデミックなキャリアパスが開かれていることを示しています。
また、博士課程修了直後に大学の非常勤職等に就いた者は、博士課程修了から5年後にもそれぞれ65.7%、46.1%が非常勤職等に留まっていました。

とのことです。

■アクションプランの対象施策が決まりました。

●平成25年度科学技術重要施策アクションプランの対象施策について
− 社会的課題の解決に向けた科学技術最重点施策 −(PDF:472KB)
http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/h25ap/h25_tokutei.pdf

科学技術政策担当大臣・総合科学技術会議有識者議員は、平成25年度科学技術予算における最重点化の対象となるアクションプラン対象施策を特定するとともに、これらの施策に期待される成果を取りまとめるに至ったところである。

今回、アクションプラン対象施策として特定する施策は、7省による123施策で、概算要求総額は約2,870億円である。これらの施策は、いずれも、アクションプランに掲げる政策課題を達成する上で重要な施策であり、最重点で取り組むべきものである。

■平成25年度 概算要求における科学技術関係予算の全体ヒアリング概要
http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/hearing_h25.html

各省庁の概算要求がまとまっています。

OECDから
Education at a Glance 2012: OECD Indicators
http://www.oecd.org/edu/eag2012.htm

が出ました。

Education spending rising but access to higher education remains unequal in most countries, says OECD
http://www.oecd.org/newsroom/educationspendingrisingbutaccesstohighereducationremainsunequalinmostcountriessaysoecd.htm

日本は教育への公的支出がOECD加盟国中最下位であるとのこと。

カントリーノート 図表でみる教育:OECDインディケータ 2012 日本
http://www.oecd.org/edu/EAG2012%20-%20Country%20note%20-%20Japan%20(JPN).pdf

日本において経験のある教員の給与は、他のOECD加盟国と比べて高いが、初任給は低く、また労働時間は長い。さらに、OECD加盟国における傾向とは異なり、日本においては2000年から2010年の間に教員の実質給与は減少している。

日本は、外国人学生、特にアジアからの学生にとって人気のある留学先となりつつある。

日本の高等教育の授業料は高いが、学生の財政的支援へのアクセスは未だに限られている。

2010年において、日本の4歳児の97.2%が就学前教育を受けており、これはOECD加盟国中7番目に高い水準となっている。しかし、就学前教育に対する支出は低く、その費用のうちかなりの割合を家計が負担している。

日本の公財政教育支出は、対GDP比においても一般政府総支出に占める割合においても、他のOECD加盟国に比べてかなり低い。その一方、在学者一人当たりの教育支出は高い。これは、チリ、韓国に次いで3番目に高い水準となっている私的部門からの支出が多いことに依るところが大きい。教育支出全体の31.9%が私的部門により賄われているが、これには学校外の教育にかかる家計負担は含まれていない。

■上述のOECDの調査にも関連があるニュースです。「歴史的」ニュースと言えるかも知れません。

(NEW)昨日、ついに国際人権(社会権)規約13条2(b)(c)項の留保撤回!
http://www.miyamoto-net.net/column2/new/1347417118.html

高校・大学無償 留保を撤回
国際人権規約 日本政府が通告
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-14/2012091401_01_1.html

国際人権規約については外務省のページ参照。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/index.html

13条とは、以下のようなものです。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2b_004.html

十三条
1 この規約の締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。締約国は、教育が人格の完成及び人格の尊厳についての意識の十分な発達を指向し並びに人権及び基本的自由の尊重を強化すべきことに同意する。更に、締約国は、教育が、すべての者に対し、自由な社会に効果的に参加すること、諸国民の間及び人種的、種族的又は宗教的集団の間の理解、寛容及び友好を促進すること並びに平和の維持のための国際連合の活動を助長することを可能にすべきことに同意する。

2 この規約の締約国は、1の権利の完全な実現を達成するため、次のことを認める。

(a) 初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとすること。
(b) 種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。
(c) 高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。
(d) 基礎教育は、初等教育を受けなかった者又はその全課程を修了しなかった者のため、できる限り奨励され又は強化されること。
(e) すべての段階にわたる学校制度の発展を積極的に追求し、適当な奨学金制度を設立し及び教育職員の物質的条件を不断に改善すること。
3 この規約の締約国は、父母及び場合により法定保護者が、公の機関によって設置される学校以外の学校であって国によって定められ又は承認される最低限度の教育上の基準に適合するものを児童のために選択する自由並びに自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由を有することを尊重することを約束する。
4 この条のいかなる規定も、個人及び団体が教育機関を設置し及び管理する自由を妨げるものと解してはならない。ただし、常に、1に定める原則が遵守されること及び当該教育機関において行なわれる教育が国によって定められる最低限度の基準に適合することを条件とする。

このうち2(b)(c)項について日本政府は長らく保留していました。

赤旗の報道によると

同規約は1966年に採択され、日本は1979年に批准しましたが、中・高等教育への「無償教育の漸進的導入」の規定については留保。締約国160カ国(2012年8月現在)のうち、留保しているのは日本とマダガスカルだけになっていました。

とのことですが、ようやく保留が撤回されたとのことです。

OECDの報告にあるように、日本の教育は家庭負担が大きいのが現状で、家庭の経済力、あるいは文化の違いによって、高等教育へのアクセスが異なる傾向が強いと言われています。

こんな例もあるくらいです。

新生児取り違えで提訴「60年人生狂った」
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20120911-1015340.html

訴状によると、男性は1953年、産湯の後、別の母親の元に戻された。2歳で戸籍上の父を亡くし、工場で働きながら定時制高校に通った。その後は運送会社に勤務した。一方、男性の生みの母親に渡された新生児は大学まで進学した。

これを緩和できるのか、財源は、政権交代したらどうなるのかなど、いろいろ論点があります。

■日本の科学技術政策が政治に翻弄される様子が報道されています。

Japan's Political Turmoil Threatens University Funding and Delays New Energy Policy
Impending election complicates budget issues
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/09/japans-political-turmoil-threate.html

■「地域の医師確保対策2012」のとりまとめについて
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/09/1325567.htm
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002jej2.html

厚労省文科省から同時発表されました。医学部定員規制を緩和するけれど、医学部新設はないということです。

■以下ご案内いただきました。

「科学技術と人間」研究開発領域
「科学技術と社会の相互作用」 第5回シンポジウム
〜関与者の拡大と専門家の新たな役割〜

○開催日時: 2012年 9月29日(土)10:00〜17:35
○会 場: TEPIAホール
(東京都港区北青山2丁目8番44号 TEPIA 4階)
○参加費:無料(事前登録制)
○主 催:JST社会技術研究開発センター
○申込・詳細:
http://www.ech.co.jp/jst-sth05-sympo