科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

声をあげよう

 以下、メルマガで書いたことなどを書き換えました。一部以前の記載と重なる部分がありますが、繰り返します。



 鳩山政権が誕生しました。

 閣僚名簿などは以下
http://www.kantei.go.jp/jp/hatoyama/meibo/index.html

 科学技術関連は以下。

★国家戦略担当
内閣府特命担当大臣
 (経済財政政策 科学技術政策) 管直人
内閣府副大臣 大島 敦 古川 元久 大塚 耕平
内閣府大臣政務官 泉 健太 田村 謙治 津村 啓介

文部科学大臣 川端 達夫
文部科学副大臣 中川 正春 鈴木 寛
文部科学大臣政務官 後藤 斎 高井 美穂

厚生労働大臣 年金改革担当 長妻 昭
厚生労働副大臣 細川 律夫 長浜 博行
厚生労働大臣政務官 山井 和則 足立 信也
 
農林水産大臣 赤松 広隆
農林水産副大臣 山田 正彦 郡司 彰
農林水産大臣政務官 佐々木 隆博 舟山 康江

経済産業大臣 直嶋 正行
経済産業副大臣 松下 忠洋 増子 輝彦
経済産業大臣政務官 近藤 洋介 高橋 千秋

環境大臣 小沢 鋭仁
環境副大臣 田島 一成
環境大臣政務官 大谷 信盛

内閣府特命担当大臣 (消費者及び食品安全 少子化対策男女共同参画) 福島 瑞穂

理系議員も散見されますが、理系、文系はともかく、この政権がどうなっていくのかを見つめていく必要があります。


 ここ数週間最先端研究開発プログラムが話題になっています。それは民主党補正予算の見直しを述べているからです。

最先端研究開発支援プログラム:支給対象者、再検討へ−−鈴木副文科相
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/09/19/20090919dde001040027000c.html

 補正予算は13兆9,256億円あります。科学技術が影響を受けるのは、決して2700億円だけではありません。

 ここで、平成21年度の補正予算について概観します。

財務省のページより
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/h21/hosei210427.htm

文部科学省関連はこちら
http://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/h21/yosanan/002.pdf

 文部科学省関連だけで1兆3,174億円使われる予定であり、2700億円以外で、若手研究者が関係するのは、以下のようなものです。

(3)留学生の受入れ促進、若手研究者等の海外への留学支援

473億円
・留学生宿舎の整備53億円
[財投103億円]
・大学生・高校生等の海外留学、外国人留学生の受入支援の拡充120億円
・若手研究者・大学院生等の海外派遣支援
(5年間1.5万人〜3万人)<独法に基金を設置> 300億円

 これに基づき、日本学術振興会は以下の募集を行っています。

優秀若手研究者海外派遣事業の公募について
http://www.jsps.go.jp/j-wakatekojin/index.html
 
1. 常勤研究者(平成21年度:100から200名)
2. 特別研究員(平成21年度:300から550名)

 となっています。

 これらの予算は未執行であり、見直しの可能性があります。

 このプログラムで留学を希望している大学院生から不安の声があがっています。せっかくの留学が取り消されるのではないかという声です。

 少なからぬ研究者、院生が不安を抱えた毎日を送っています。

理科教材の補助金、一時停止
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20090917-OYT8T00394.htm

文科省が教育費交付を一時停止
http://www.fukuishimbun.co.jp/modules/news2/article.php?storyid=8445

というニュースも出ています。

 これを座して見ていてよいのでしょうか?

 民主党の議員は、医療政策に絡み、以下のような発言を繰り返している。

●「"良い"と思った議員のことを地元議員に伝えて」―民主党・梅村聡参院議員
http://lohasmedical.jp/news/2009/09/09031832.php

●議員へのメールは「官僚の独善を砕く手段」−民主党鈴木寛参院議員
http://lohasmedical.jp/news/2009/09/08012332.php

●「医療現場の声だけが極端に届いていないと知って」−民主党鈴木寛参院議員
http://lohasmedical.jp/news/2009/09/08011342.php

●政策形成のため、医療界の整理された情報を届けて−民主党鈴木寛参院議員
http://lohasmedical.jp/news/2009/09/08011009.php

 こうしたことを、科学技術に関しても行うことができないでしょうか?

 先週お伝えしたように、ブロガーsivad氏が行動をおこしています。

学生やポスドクを政局の犠牲にしないよう民主党にロビイングしよう
http://d.hatena.ne.jp/sivad/20090903/p1

 sivad氏は、議員や民主党に送るメールのひな形を公表し、行動を呼びかけています。


 政治を動かすために取りうる手段は、これだけではありません。

 この欄でも何度か取り上げられている
アメリカに学ぶ市民が政治を動かす方法
http://www.amazon.co.jp/dp/4535583129?tag=nposciencec0d-22

には、取りうる多様な手段が紹介されています。

 メール、署名、投書、その他、様々な手段を用い、自らが直面する問題を訴えること…

 今まで政治とのかかわりは、陳情など、自己利益を目的とした醜いもの、というイメージがあったように思います

 しかし、選挙で若年層が不利、という状況が示すように、正しく利益を表出しないと問題が無視されてしまいます。声を上げること自体は批難されるべきではないと思います。民主主義とは、一部の団体だけではなく、問題を抱える人たちが等しく声をあげることにあり、集まった様々な意見を公共の利益のもとに優先順位を決めるのが政治なのではないかと思います。

 ポストドクターや若手研究者が不利益になることは、将来の科学技術に負の影響を与えます。それはこの国の未来、科学の未来にとって大きな問題です。

 科学は政治に背を向けるべきだ、という声はまだ強いようです。研究内容そのものが政治介入を受けることは絶対に避けなければならないと思います。

 しかし、研究環境、とくに若手に関する部分は、黙っていても改善されません。

 まずは、自分の選挙区の議員でもいいと思います。メールを送ってみませんか。

 科学研究がここまで政治の問題になることはありませんでした。戸惑いもあります。けれど、自分たちが状況を変えようと思わなければ変わらないのではないでしょうか。

10月2日までに報告指示 鳩山首相補正予算執行の是非
http://scienceportal.jp/news/daily/0909/0909183.html

という記事があります。時間はありません。みなさんの行動を期待します。