科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

民主党選挙政策

民主党 マニフェスト2009
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/pdf/manifesto_2009.pdf

12.公立高校を実質無償化し、
  私立高校生の学費負担を
  軽減する
【政策目的】
○家庭の状況にかかわらず、全ての意志
 ある高校生・大学生が安心して勉学に
 打ち込める社会をつくる。
【具体策】
○公立高校生のいる世帯に対し、授業料
 相当額を助成し、実質的に授業料を無
 料とする。
○私立高校生のいる世帯に対し、年額
 12 万円(低所得世帯は24 万円)の
 助成を行う。
○大学などの学生に、希望者全員が受け
 られる奨学金制度を創設する。
【所要額】
9000 億円程度

1₅.全ての人に
  質の高い教育を提供する
【政策目的】
○学校の教育環境を整備し、教員の質と
 数を充実させる。
【具体策】
○全ての人にとって適切かつ最善な教育
 が保障されるよう学校教育環境を整備
 し、教育格差を是正する。
○教員の資質向上のため、教員免許制度
 を抜本的に見直す。教員の養成課程は
 6 年制(修士)とし、養成と研修の充
 実を図る。
○教員が子どもと向き合う時間を確保す
 るため、教員を増員し、教育に集中で
 きる環境をつくる。
○公立小中学校は、保護者、地域住民、
 学校関係者、教育専門家等が参画する
 「学校理事会」が運営することにより、
 保護者と学校と地域の信頼関係を深める。
○現在の教育委員会制度を抜本的に見直
 し、教育行政全体を厳格に監視する「教
 育監査委員会」を設置する。
○生活相談、進路相談を行うスクールカ
 ウンセラーを全小中学校に配置する。
○国際社会の中で、多様な価値観を持つ
 人々と協力、協働できる、創造性豊か
 な人材を輩出するためのコミュニケー
 ション教育拠点を充実する。
【所要額】
600 億円程度

32.食の安全・安心を
  確保する
【政策目的】
○国民が安全な食料を、安心して食べら
 れる仕組みをつくる。
○食品安全行政を総点検する。
【具体策】
○食品の生産、加工、流通の過程を事後
 的に容易に検証できる「食品トレーサ
 ビリティシステム」を確立する。
○原料原産地等の表示の義務付け対象を
 加工食品等に拡大する。
○主な対日食料輸出国に「国際食品調査
 官( 仮称)」を配置して、輸入検疫体
 制を強化する。
○BSE対策としての全頭検査に対する
 国庫補助を復活し、また輸入牛肉の条
 件違反があった場合には、輸入の全面
 禁止等直ちに対応する。
○食品安全庁を設置し、厚生労働省と農
 林水産省に分かれている食品リスク管
 理機能を一元化する。併せて食品安全
 委員会の機能を強化する。
【所要額】
3500 億円程度

45.環境分野などの技術革新で
  世界をリードする
【政策目的】
○1次エネルギーの総供給量に占める再生
 可能エネルギーの割合を、2020 年まで
 に10%程度の水準まで引き上げる。
○環境技術の研究開発・実用化を進める
 ことで、わが国の国際競争力を維持・
 向上させる。
【具体策】
○世界をリードする燃料電池超伝導
 バイオマスなどの環境技術の研究開
 発・実用化を進める。
○新エネルギー・省エネルギー技術を活
 用し、イノベーション等による新産業
 を育成する。
国立大学法人など公的研究開発法人制
 度の改善、研究者奨励金制度の創設な
 どにより、大学や研究機関の教育力・
 研究力を世界トップレベルまで引き上
 げる。

46.エネルギーの
  安定供給体制を確立する
【政策目的】
○国民生活の安定、経済の安定成長のた
 め、エネルギー安定供給体制を確立する。
【具体策】
○エネルギーの安定確保、新エネルギー
 の開発・普及、省エネルギー推進等に
 一元的に取り組む。
レアメタル希少金属)などの安定確
 保に向けた体制を確立し、再利用シス
 テムの構築や資源国との外交を進める。
○安全を第一として、国民の理解と信頼
 を得ながら、原子力利用について着実
 に取り組む。

民主党政策INDEX2009
http://www.dpj.or.jp/policy/manifesto/seisaku2009/index.html

宇宙開発利用体制の再編一元化

わが国の宇宙開発利用を強力に推進していくために、2009年度中に各省庁の宇宙関係セクションと宇宙航空研究開発機構JAXA)企画部門を内閣府のもとに再編一元化するとともに、将来的にはJAXAを含む独立した組織の創設を検討します。

教育予算の充実

先進国中、著しく低いわが国の教育への公財政支出(GDP(国内総生産)比3.4%)を、先進国の平均的水準以上を目標(同5.0%以上)として引き上げていきます。学校教育に関連する公財政支出については、国内総生産に対する比率を指標として、予算の確保・充実の目標を定めなければならないとした規定を盛り込んだ「学校教育環境整備法案」が参議院で可決されました。引き続き同法案の成立を目指します。

教育の無償化

高等学校は希望者全入とし、公立高校の授業料は無料化、私立高校などの通学者にも授業料を補助(年12万〜24万円程度)します。この内容を具体化した「高校無償化法案」は参議院で可決されましたが、引き続き同法案の成立を目指します。

義務教育就学前の5歳児の就学前教育の無償化を推進し、さらに漸進的に無償化の対象を拡大することによって、保護者の教育費負担の軽減を図ります。
高等教育の機会の保障

すべての人が、生まれた環境に関わりなく、意欲と能力に応じて大学などの高等教育を受けられるようにします。現在、日本とマダガスカルのみが留保している国際人権A規約(締約国160カ国)の13条における「高等教育無償化条項」の留保を撤回し、漸進的に高等教育の無償化を進めます。

奨学金制度改革

学生・生徒に対する奨学金制度を大幅に改め、希望する人なら誰でもいつでも利用できるようにし、学費のみならず最低限の生活費も貸与します。親の支援を受けなくても、いったん社会人となった人でも、意欲があれば学ぶことができる仕組みをつくります。具体的には、所得800万円以下の世帯の学生に対し、国公私立大学それぞれの授業料に見合う無利子奨学金の交付を可能にします。また、所得400万円以下の世帯の学生については、生活費相当額についても奨学金の対象とします。

今後は、諸外国の例を参考に、給付型の奨学金についても検討を進めます。

大学改革と国の支援のあり方

「学生・研究者本位の大学」「創意ある不断の改革を現場から創発する大学」「社会に開かれ、社会と連携・協働する大学」を目指し、「象牙の塔」から「時代が求める人づくり・知恵づくりの拠点」として大学改革を進めます。その際、世界的にも低い高等教育予算の水準見直しは不可欠です。また、産業振興的な側面ばかりでなく、学問・教育的な価値にも十分に配慮を行います。

自公政権が削減し続けてきた国公立大学法人に対する運営費交付金の削減方針を見直します。また、大幅に削減されてきた国立大学病院運営費交付金については、地域高度医療の最後の砦であることや、医療人材養成の拠点、研究機関としての機能を勘案し、速やかに国立大学法人化直後の水準まで引き上げるとともに、今後十分な額を確保していきます。

なお、大学入試のあり方については、大学センター試験・大学入試そのものの抜本的な検討を進めます。

イノベーションを促す基礎研究成果の実用化環境の整備

2008年の169回通常国会超党派で成立させた研究開発力強化法の趣旨を踏まえ、今後とも科学技術を一層発展させ、その成果をイノベーション(技術革新)につなげていきます。

産学官が協力し、新しい科学技術を社会・産業で活用できるよう、規制の見直しや社会インフラ整備などを推進する「科学技術戦略本部(仮称)」を、現在の総合科学技術会議を改組して内閣総理大臣のもとに設置します。同戦略本部では、科学技術政策の基本戦略並びに予算方針を策定し、省庁横断的な研究プロジェクトや基礎研究と実用化の一体的な推進を図り、プロジェクトの評価を国会に報告します。

また、素粒子物理学再生医療等の巨額な予算を要する基礎科学研究分野において今後もトップランナーの地位を維持していくためにも、世界的な研究拠点となることを目指して、欧米やアジア諸国との連携強化に積極的に取り組んでいきます。

科学技術人材の育成強化

スーパーサイエンスハイスクール(科学技術・理数教育を重点的に行う学校)を拡充するとともに、科学の面白さを子どもたちに実感させるため、産業界の協力を得て、サイエンスキャンプ(研究所などでの実験体験など)や研究者の小中学校への派遣などを行います。

研究者奨励金制度を創設するとともに、国内の優れた研究プロジェクトへの支援を強化します。また、研究者ビザの拡充など優れた外国人研究者がわが国に集まる環境をつくります。

中小企業の研究開発力の強化

政府の中小企業研究開発予算120億円を、中小企業の技術力が高く評価されるドイツの政府支出比率と同等の600億円へと5倍増するとともに、大学・研究機関と中小企業の共同研究を制度・予算上で強化します。また、中小企業基盤機構の技術情報提供・流通の機能を強化します。

世界最先端の環境エネルギー技術の確立

2020年までにエネルギーの10%程度を再生可能エネルギーとすることを目標に、世界をリードする燃料電池技術、太陽光発電技術、超伝導技術、バイオマス技術など環境エネルギー技術の研究開発や実用化への重点化を図ります。

食の安全・安心に関する行政組織の抜本的改革

牛海綿状脳症(BSE)の発生を契機にリスク分析システムが導入されましたが、リスク評価機関(食品安全委員会)もリスク管理機関(農林水産省厚生労働省)も食品をめぐる数々の問題・事故に適切な対応ができていません。食品安全委員会は、米国産牛肉の輸入再開に際し、リスク評価を事実上放棄するに等しい結論を出すなど、その在り方について様々な問題が指摘されてきました。また、リスク管理機関は、農林水産省厚生労働省に分かれ、責任の所在が不明確なため、中国産餃子中毒問題、食品表示偽装問題、事故米穀不正規流通問題等の事件への機動的な対応ができませんでした。

こうした現状を踏まえ、わが国の食品安全行政の在り方を抜本的に改革するため、まず、食品安全委員会については、リスク管理機関からの独立性を担保し、リスク評価機能が十全に果たせるよう組織体制を強化します。また、農場から食卓までのリスク管理の一貫性を確保するために、農林水産省消費安全局と厚生労働省食品安全部とを統合し、リスク管理機能を一元化した「食品安全庁」を創設します。

食品のトレーサビリティ(追跡可能性)・システムの導入

トレーサビリティは、生産者と消費者との距離が拡大する経済社会の下では、食品事故発生時の原因究明や製品回収に、また、表示などの情報の正しさの検証に有効な仕組みです。

すべての食品にベーシックなトレーサビリティを義務付けているEUの例を参考に、わが国においても、一定期間経過後にすべての食品について、仕入先、仕入日、販売先、販売日を記録・保管するトレーサビリティを義務付けます。

事故米穀不正規流通問題を受け国会に提出された「米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律」は、米および米加工品にのみトレーサビリティを義務付ける内容でしたが、民主党の主張により「政府は全食品のトレーサビリティ導入等を検討する」旨の条文を追加する修正が行われました。

なお、トレーサビリティの義務化の時期を踏まえ、食品の製造工程での安全管理や品質管理を図るための措置として、農業生産工程管理工程(GAP)や危害分析重要管理点(HACCP)への対応も義務化します。

食品表示の拡大等

食品に関する消費者の合理的な選択に資するため、加工食品や外食における原料原産地表示の義務付けを拡大します。ただし、一定規模に満たない中食・外食業者に対しては現実的対応を行います。

また、遺伝子組換え食品及びクローン動物由来食品については、その旨の表示等を義務付けます。
トレーサビリティ(追跡可能性)等とリンクした輸入検疫体制の強化等

日本は、食料の6割を輸入に依存しており、食品及び動植物の検疫体制の強化・拡充が必要です。輸入食品について国産の食品と同等の安全性を確保するためにわが国への主要な輸出国に「国際食品調査官(仮称)」を配置できるように検討を行うほか、トレーサビリティや危害分析重要管理点(HACCP)等を義務化して、事前に「国際食品調査官」が生産地における施設の検査を行えるようにします。原則として、「国際食品調査官」の検査を受けた施設以外の食品の輸入は認めないこととします。

また、国内の牛海綿状脳症(BSE)対策として、2008年に打ち切られた全頭検査に対する国庫補助金を復活します。

中小企業の技術力の発揮と向上

中小企業の技術力と大企業や外国企業のニーズとのマッチングを効果的に行う環境を整備します。中小企業の培った技術力が次世代に適正に継承されるよう、税制の見直しなどの環境を整備するとともに、IT、バイオ、ナノテク、環境、エネルギーなどの先端分野に対する科学技術研究費を大幅に増やします。

ものづくり政策の推進

わが国の製造業が国際競争力を維持していくためには、製造現場における「ものづくり力」をさらに向上させていくことが重要です。「ものづくり人材」の確保、熟練技能者の退職に伴う技能継承教育の推進、研究開発投資の促進、知的財産の利用促進などの支援を行います。

知的財産立国の実現

国際競争力の強化、科学技術の振興を図るために、知的財産権の強化に取り組みます。知的財産基本法をさらに具体化し、中小企業・ベンチャー企業に対する支援強化、知的財産紛争処理能力の強化、知的財産権に関する専門家の育成、地域をはじめとする産学の連携強化、研究開発予算の見直し、研究者の意欲向上につながる環境の整備、技術移転機関(TLO)の充実、模倣品対策や特許権侵害対策の強化を進めます。

起業・ベンチャー支援

ベンチャー企業の立ち上げを容易にすると同時に、中小企業などの技術開発を促進する制度を導入します(日本版SBIR制度の改善やSTTR制度の導入(*))。ベンチャー企業の株式購入時に投資額の一定割合を税額控除できる制度の導入やエンジェルネットワークの設立・運営を支援します。また大企業からのスピンアウト(リストラをきっかけとした開業等)に対して特別融資枠を設定することを含め、総合的な起業支援策を講じます。これらの施策を通じ、「100万社起業」を目指し産業の競争力を再生します。
*日本版SBIR制度/STTR制度:Small Business Innovation Research(中小企業技術革新制度)/Small Business Technology Transfer(中小企業技術移転制度)。いずれも中小ハイテク・ベンチャー企業への補助金制度。

事業規制の原則撤廃と次世代競争力の確保

現行の事業規制はすべてゼロベースで見直し、民間事業活動に関する規制を改革します。他方、公正競争の環境整備を推進します。すべての官業を納税者・生活者の視点で徹底して見直し、効率化と質の向上を図ります。

IT、バイオ、ナノテク、環境、エネルギーなどの先端技術分野における研究者・技術者の質的・量的不足の解消に向けて、集中的に施策を展開し、民間経済の成長・拡大を支えます。

エネルギー安定供給体制の確立

エネルギーを安定的に確保するエネルギー安全保障の確立は、国家としての責務です。このため、長期的な国家戦略を確立・推進する機関を設置し、一元的に施策を進めます。

現在、日本のエネルギー自給率原子力も含めて16%にすぎず、先進国では最低水準にあることから、自給率の目標を2030年に30%、2100年には50%とします。

安定的な経済成長を図るため、エネルギーやレアメタル希少金属)等、資源の安定確保に向けた体制を確立し、資源保有国に対する戦略的な外交を強化します。
経済と環境との両立を図るエネルギー政策の確立

経済の持続的な成長と実効性のある地球温暖化対策との両立を目指します。省エネルギー再生可能エネルギー技術を活用した新産業の育成を積極的に支援し、経済や雇用を活性化させます。風力、太陽、バイオマスなど再生可能エネルギーの1次エネルギー総供給に占める割合については、2020年までに 10%程度の水準を目指します。

CO2を増やさない非化石エネルギーの利用を促進するとともに、エネルギー供給インフラの信頼性確保に注力し、国民や企業の利便性、経済の効率性を損なうことなく、低炭素社会への円滑な移行を実現します。

また、環境やエネルギー利用効率化における新技術の移転普及のための国際協力を積極的に推進します。

原子力政策に対する基本方針

原子力利用については、安全を第一としつつ、エネルギーの安定供給の観点もふまえ、国民の理解と信頼を得ながら着実に取り組みます。

原子力発電所の使用済み燃料の再処理や放射性廃棄物処分は、事業が長期にわたること等から、国が技術の確立と事業の最終責任を負うこととし、安全と透明性を前提にして再処理技術の確立を図ります。また、国が国民に対して原子力政策に関する説明を徹底して行うとともに、関連施設の立地自治体および住民の十分な理解を得るため、国と自治体との間で十分な協議が行われる法的枠組みをつくります。

安全を最優先した原子力行政

過去の原子力発電所事故を重く受けとめ、原子力に対する国民の信頼回復に努めます。原子力関連事業の安全確保に最優先で取り組みます。万一に備えた防災体制と実効性のある安全検査体制の確立に向け、現行制度を抜本的に見直します。安全チェック機能の強化のため、国家行政組織法第3条による独立性の高い原子力安全規制委員会を創設するとともに、住民の安全確保に関して国が責任を持って取り組む体制を確立します。また、原子力発電所の経年劣化対策などのあり方について議論を深めます。

設備・機器に対する検査、さらにはソフト面も考慮したいわゆる「品質保証型」の検査も含めた厳正な検査体制の運用、現行のあいまいなトラブル等報告基準を抜本的に見直し、事故・トラブルを原則的にすべて公開することなどの「原子力情報公開ガイドライン」を早期に具体化します。