科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

公明党マニフェスト

公明党マニフェストを発表しました。

manifesto '09 重点政策から(PDF:237KB)  【2009年7月24日発表】
http://www.komei.or.jp/policy/policy/pdf/manifesto09.pdf

ポスドク問題、給与制奨学金について触れています。以下、科学技術に関連する部分をピックアップします。

画期的な新薬の開発促進、審査・承認の早期化
●画期的な新薬の研究開発を促進するため、審査・承認の早期化を図るとともに、画期的な新薬を適切に評価する新たな薬価制度を創設します。

基本計画の個別目標の中間報告を実施
●がん対策推進基本計画の5年後の見直し(2012 年度)を前に、2009 年度末に中間報告を義務付け、がん検診率50%以上など、個別目標を達成させます。
拠点病院の機能を強化
がん診療連携拠点病院の機能強化を進め、がん治療の地域格差を是正し、全国どこでも最適ながん治療を受けられる体制を整備します。
がん治療を選択できる社会へ
●がん治療の柱である手術、放射線治療、化学療法のうち、整備が遅れている放射線・化学療法の普及を図り、放射線療法・抗がん剤療法専門医などの育成を促進させます。

がん相談業務と情報発信、普及啓発を拡充
がん難民対策として、がん相談支援センターの相談業務の拡大とともに、がん治療情報の発信を拡充します。がんを広く国民に知ってもらう普及啓発活動も促進します。
がん難民:「どこに行けば良いがん医療が受けられるのか」「今受けている診断や治療は正しいのか」等不安と悩みを抱え、適切な治療を受ける病院が見付からない方々
がん対策予算を拡充
●がん対策推進基本計画にうたわれている個別目標を達成させるため、がん対策予算を拡充します。また、がん検診を支援するための地方交付税をさらに充実させます。
がんの痛みをとる緩和ケアを推進
●治療の初期段階から、がんの痛みをとる緩和ケアを受けられるようにするため、5年以内に、がんを担当するすべての医師への緩和ケアの研修を強力に推進します。
セカンドオピニオンの体制の整備
●患者自らが適切な治療法を選択できるよう、主治医に遠慮せず、気軽にセカンドオピニオン(別の専門医の診断)を受けられる体制を整備します。
学校におけるがん教育の見直しと教科書や副読本を充実
●小・中・高校生に対するがん教育を見直し、教科書の内容充実や副読本の配布を促進します。生活習慣との関わりなどを知ってもらい、がん予防を促進させます。
がん検診の充実
●無料クーポン事業でがん検診受診率の向上を図るとともに、前立腺がんなど高齢化によって増加している男性特有のがん検診の普及を図ります。また、2年に1回のがん検診の無料化を図り、受診率を向上させます。女性のがん検診の充実
●女性特有の子宮頸(けい)がん、乳がん検診の受診率の向上を図るため無料クーポン券、検診手帳などの事業を継続します。また乳がん検診の精度向上のため、マンモグラフィー検診に加えて超音波(エコー)検診の導入・併用を進めるとともに、読影医の養成・確保など検診体制の充実・強化を図ります。
子宮頸がん予防ワクチンの早期承認・公費助成の導入
若い女性に急増する子宮頸がんの征圧へ、予防ワクチンの早期承認とともに、ワクチン接種に対する公費助成の導入を推進します。
がん研究・開発等の推進
●免疫療法・抗がん剤・粒子線治療など新たな治療方法・治療薬の研究・開発を推進するとともに、新たな医薬品等の承認審査の迅速化と国内での利用普及を図ります。
また、禁煙対策の推進など予防対策を強力に進め、がん罹(り)患率や死亡率の低下を図ります。

感染症・難病対策等
新型インフルエンザ対策の推進
●必要な抗インフルエンザウイルス薬の備蓄や必要なワクチンの安定的な供給の確保、地域における診療体制・相談体制の整備・強化を図るなど、総合的な新型インフルエンザ対策を推進します。

「難病対策基本法」の制定
●難病の原因究明と治療法の研究開発、患者・家族への医療費の負担軽減等を含む福祉的支援、医療提供体制の整備、在宅医療支援、就労・教育・相談支援等の総合的な難病対策を推進するため「難病対策基本法」を制定します。また、現行の難病対策の柱である「難治性疾患克服研究事業」および「特定疾患治療研究事業」の拡充・強化を図ります。さらに、医療費の負担軽減については、医療保険における高額療養費制度の見直しも併せて適切な措置を講じます。
※「難治性疾患克服研究事業」:症例数が少なく、原因不明で治療方法も未確立であり、かつ、生活面で長期にわたる支障がある特定疾患について、研究班を設置し、原因の究明、治療方法の確立に向けた研究を行う事業(現在130 疾患が対象)
※「特定疾患治療研究事業」:原因不明で治療方法も未確立のいわゆる難病のうち、治療が極めて困難であり医療費も高額である特定疾患について、医療費の公費負担を行い、患者・家族の負担の軽減を行う事業(現在45 疾患が対象)

「アレルギー疾患対策基本法」(仮称)の制定
●患者数が国民の3分の1を超えて増え続けるアレルギー疾患対策を進めるため、専門的医療の均てん化(格差是正)のための医療機関の整備、疾病に対する正しい知識を普及する健康教育、原因となる大気汚染対策など国の各機関が連携し対策を強力に進めるため、
「アレルギー疾患対策基本法」(仮称)を制定します。

肝炎対策基本法」の制定
●地域における専門治療施設の整備や治療費の負担軽減、治療方法等の研究開発の促進など、総合的な肝炎対策を強力に推進するため「肝炎対策基本法」を制定します。

一人ひとりに応じたきめ細かな奨学金制度等の構築
●高校生や大学生等が経済的な理由から教育を受ける機会が奪われることのないよう、給付型奨学金を創設します。また、無利子奨学金や返還免除制度を拡充します。
●大学ごとの採用枠を撤廃し、1次募集の段階ですべての学生に奨学金が貸与できるようにします。
●急激な社会状況の変化や家計の急変などに対応するため、奨学金の返還について、所得に応じた返還制度の創設を目指します。
●民間企業等による奨学金事業を拡大するための環境を整備します。
●大学等における授業料減免措置を拡充します。また、優秀な大学院生をティーチング・アシスタント等として雇用するなど経済的支援を拡充します。

●将来のわが国を支える人材を育成するために、子どもの理科離れ対策に取り組みます。実験や観察に必要な設備などを充実させるとともに、外部人材を活用した魅力ある授業の実施など理科教育を充実します。

大学等における「授業単位互換制度」の拡充
●協定を結んだ他大学等での授業受講を可能とし、取得した単位を自分の大学等の卒業単位とすることができる「授業単位互換制度」を拡充します。
ポストドクター問題への対応策の推進
●大学院の博士課程を修了した研究者(ポストドクター)の就労支援を強化するため、大学や産業界との連携の強化を図るなど、就労支援体制を強化します。

世界で活躍する人材の育成と外国人学校支援
日本人留学生の20 万人派遣と海外留学生の受け入れ体制の強化
●留学生政策を推進するための体制の見直しを行い、予算を拡充します。
●日本人高校生・大学生の留学生派遣20 万人を目指します。
●海外留学を希望する学生への奨学金について派遣計画を策定し、抜本的に拡充します。
●2020 年までに留学生受け入れ30 万人を目指し、当面5年間で大幅な拡大と留学生を受け入れる環境整備を推進します。

世界をリードする研究開発とイノベーションの創出
●科学技術立国の基盤を強化するため、宇宙・海洋・生命科学脳科学など先端分野の基礎研究を強力に推進します。また研究開発力強化法に基づき研究者の養成・確保を図り、ポストドクターや女性研究者、外国人研究者などの処遇の改善を進めます。
●高校生・大学生の海外留学や海外の研究者の受け入れを進めるとともに、若手や女性の優秀な研究者が能力を発揮できるような環境整備を進めるなど、グローバルに活躍できる人材の育成と確保に取り組みます。
●わが国発のiPS細胞(人工多能性幹細胞)による再生医療などの先端医療技術開発の実現に向けた研究に取り組みます。
●わが国の得意分野である環境エネルギー技術について、国際的な研究拠点形成を通じ、次世代太陽電池等の革新的な技術開発を行うことにより、新産業の創出と国際貢献に取り組みます。
●経済危機による世界的大転換の中で日本の存在感を示し、成長力を強化するため、イノベーションの源泉となる基礎科学力の強化に取り組みます。
新型インフルエンザや自然災害などの脅威から国民を守るための研究開発に取り組みま
す。

成長を加速、イノベーションを創出
●新たな成長への道を切り拓くイノベーションの創出を促進するため、産学官の連携強化による研究開発投資、人材育成、民間投資等を加速させます。
●研究開発の成果を国民生活の向上に直結させる革新的技術特区の整備などで、技術の実用化を促進します。
●サービス産業部門を中心に生産性向上のためのモデル指標の構築を図るとともに、官民による集中投資を促進します。
●医療・介護部門などへのイノベーション波及を進め産業育成を図ります。
●民間事業活動のさらなる活性化のため、現行の事業規制を抜本的に見直し、公正・公平な事業環境の整備に取り組みます。
暮らしの利便性を高める新産業を創出
エコカー・エコ家電・太陽電池の「エコ3本柱」で、環境と調和した経済の発展を実現します。併せて価格の低減を図ります。
低炭素社会の実現や安全安心社会の構築などの社会ニーズを踏まえ、ロボット・燃料電池・次世代環境航空機・宇宙利用に取り組むとともに、最先端医療・ナノ技術の開発など人々の暮らしの利便性を向上させる新技術の創出に集中投資し、国内普及を加速化します。
●新エネルギーの普及促進にはエネルギーの需給バランスを持続することが重要です。そのため最適な電力供給体制を構築する賢い次世代送電システムである「スマートグリッド」の普及に取り組みます。
スマートグリッド:通信・制御システムも組み込まれた、次世代電力インフラ。発電施設、工場、ビル、家庭などの施設を結び、電力を効率的に安定供給する

新現役人材の支援と若手技術者への継承
●高い能力と経験を持つベテラン人材が第一線を退いた後(新現役人材)もその力を活かして企業や教育の現場で活躍し続けられるよう、人材の発掘やマッチングを行う地域拠点を拡充させるとともに、企業ニーズの掘り起こしと新現役人材とのマッチング事業を積極的に支援、登録数1万人を目指します。(2009 年5月現在登録数:8,850 人)
●中小企業のベテランの技能・技術を若手技術者が継承しやすくするため、産学連携製造中核人材育成事業により大学・高専等の教育機関で100 講座を開設し若手人材を育成します。

経済基盤強化へ、中小企業の知財活性化策
●研究力・開発力・信用力の向上など中小企業の経営基盤の強化に資する知的財産の活用を促進するため、法整備や税制措置など戦略的なインフラ整備を行い、創造・活用・保護など知的財産活用促進のための総合的支援を強化します。
●経営基盤の弱い事業者による知的財産の創造のため総合的な支援策を講じるとともに、技術およびビジネスモデル等における知的財産権の獲得と確保に向けた軽減措置に取り組みます。
知的財産権の発掘・強化・拡大に向けた産学連携モデル事業の推進を図るとともに、共同研究の成果を迅速に事業化に結びつける仕組みを整備します。

新たなエネルギー戦略を構築
原油高騰など国民生活を圧迫するリスクを回避し、エネルギーの安定供給に向け、エネルギー自給率目標の設定など新たな中長期の目標を含めたエネルギー戦略を構築します。
資源外交の推進と資源市場の安定化を
●石油・天然ガスに加えレアメタルなどの各種資源を含めた広範な産出国と消費国間の対話の一層の推進や、商品取引市場の透明性の確保など原油等資源市場の安定化への取り組みで、価格の安定化を図ります。
「資源大国」を目指した取り組み
●わが国近海に存在するメタンハイドレート海底熱水鉱床の実用化に向けた取り組みを進め、わが国の資源・エネルギーの海外依存度の引き下げを実現します。
都市鉱山開発、国際的な資源獲得戦略、水処理技術の国際展開の強化などによる「資源大国」の実現を目指します。
●森林や下水汚泥などバイオマスの活用によるエネルギー利用や、海洋資源、海中資源の抽出等によるレアメタル等の獲得施策を推進し、ニュービジネスの展開を図ります。
厳格な原子力発電運用で住民理解と安全を確保
●エネルギー安定供給と地球温暖化対策の推進のため、原子力発電の安全性を確保しつつ稼働率を上げるなど適正に推進します。
原子力発電所の安全審査を厳格に行うとともに、新耐震指針を踏まえた耐震バックチェックの厳格運用など安全性を向上させるための新検査制度を導入し、地域住民の理解と安全を確保します。
原子力発電の一層の安全性の強化を図るため、事故情報の迅速な開示など事業者の体質改善を一層促進します。
●世界でトップレベルにあるわが国の原子力安全技術を展開することを通じて、原子力の平和利用や安全ネットワークの構築にリーダーシップを発揮します。

食の安全・安心を確保
環境保全型農業の推進
●化学肥料・農薬の使用を抑制するために、土壌診断など土地管理対策を推進します。また、家畜伝染病対策を進めます。
●消費者に的確な情報を伝えられるようJAS法改正などで食品の不正・虚偽表示対策を強化するとともに、加工食品等の原産地表示の充実を図ります。また、食品へのトレーサビリティーシステム(生産流通情報把握システム)の導入を促進します。
●食の安全を確保するため、生産段階でのGAP(農業生産工程管理手法)や、製造段階でのHACCP(危害分析・重要管理点)手法の導入を支援します。