科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

iPS支援 急速な動き

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071220-OYT8T00382.htm

  • 万能細胞 京大に研究センター 研究を一元的に加速

http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/071220/acd0712201306003-n1.htm

  • 京大にiPS細胞研究センター 文科省が総合戦略案

http://www.asahi.com/science/update/1220/TKY200712200096.html

  • 京大にiPS研究センター 万能細胞推進で文科省

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007122001000195.html

  • iPS細胞 京大に研究センター 文科相が支援表明

http://www.asahi.com/science/update/1218/TKY200712180192.html

  • 京大に万能細胞研究拠点を オール日本も検討と文科相

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2007121801000282.html

  • iPS細胞拠点、再生研近くで検討へ 京大、山中教授をトップに

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007121900038&genre=G1&area=K1D


 山中京大教授らがヒトiPS細胞の作成に成功したとセル誌に発表してから、まだ一ヶ月しかたっていない。これはものすごい勢いだ。

 この一ヶ月を時系列にて振り返る。


2007年
11月19日:クローン羊ドリーを作ったウィルモット博士、ES細胞研究を断念
11月21日:山中教授とトムソンらのグループが、ヒトiPS細胞の樹立に成功と論文誌に発表
 プレスリリース

11月22日:ブッシュ大統領が歓迎の声明
     岸田科技担当相が万能細胞研究にルール必要と発言
11月23日:ローマ法王庁が絶賛
11月27日:渡海文部科学大臣がiPS細胞研究への支援表明
     山中教授、独マイエンブルク賞受賞
11月30日:文科省が山中教授の意見聴取することを表明
12月3日:JSTがiPS細胞研究へ数億円の追加支援決定
12月4日:文科省作業部会がヒトクローン胚研究容認(特定胚及びヒトES細胞等研究専門委員会 人クローン胚研究利用作業部会(第32回))
12月7日:山中教授が文科省渡海大臣、岸田科技担当相と面会、「オールジャパン体制」の構築を訴える(チームジャパンで戦わないと負けてしまう)(特定胚及びヒトES細胞等研究専門委員会(第51回))
12月14日:文科省が京大にiPSの拠点を設けると報道。
12月20日ライフサイエンス委員会(第42回)開催

以下資料2より

iPS 細胞(人工多能性幹細胞)研究等の加速に向けた総合戦略(案)
平成19年12月20日
文部科学省

1. 本年11月21日、日本の研究チームが、世界で初めて、生命の萌芽である胚を滅失することなく、成人の皮膚細胞から様々な細胞に分化する能力を持つ細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を作り出すことに成功したという論文が発表された。

2. iPS細胞については、昨年8月に日本の同じ研究チームがマウスの細胞からの樹立に成功して以降、ヒトの細胞での樹立に向けて国際的な競争が行われていた。我が国の研究チームの成功は、世界に誇れる日本発の成果であり、再生医療の実現に向けた大きな第1歩である。

3. iPS細胞に関する研究に対しては、従来から国として様々な研究支援策を講じてきた。今回の成果を受け、国際競争が進む中で、我が国の研究を加速させ、細胞の初期化のメカニズムの解明やiPS 細胞の高度化、また再生医療技術の開発などを日本全体で戦略的に進めていくことが求められている。

4. このため、今年度中に実施する緊急支援策及び来年度以降に実施する支援策に分けた上で、日本全体での研究体制の構築、十分な研究費の投入、知的財産権の確保等を含む総合戦略を以下にまとめた。

1. 今年度中の緊急支援策
(1) 日本全体の研究推進体制の確立
文部科学省は、科学技術・学術審議会のライフサイエンス委員会の意見を聴取して、iPS 細胞研究等の加速に向けた総合戦略を策定する。

文部科学省は、iPS 細胞研究を含む再生医学研究の振興方策について検討を行うため、科学技術・学術審議会ライフサイエンス委員会の下に、「幹細胞・再生医学戦略委員会(仮称)」を設置する。

文部科学省は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業の戦略目標として、「iPS 細胞研究の推進」に資するものを新たに設定し、JSTはこれを踏まえて速やかに研究課題を公募する。

文部科学省は、京都大学が世界トップレベル研究拠点の「物質−細胞統合システム拠点(京都大学)」にiPS 細胞研究を推進する我が国の中核研究組織として「iPS 細胞研究センター」を開かれた拠点として整備することを支援する。

⑤ 関係機関が協力して、iPS 細胞研究を実施する機関の研究者が集合し結成する開かれたネットワーク組織として、iPS 細胞研究センターを中心とした「iPS 細胞研究コンソーシアム」を組織する。

(2) iPS 細胞研究の加速
① JSTは、戦略的創造研究推進事業で推進されている山中教授を中心とした研究グループの研究活動の加速を支援する。
② JSTの支援により、当面の新たな研究スペースを確保する。そこでは、研究者が自由に交流できる環境を整える。
③ JSTの主催により、特別シンポジウム「多能性幹細胞研究のインパクト−iPS 細胞研究の今後−」を開催(平成19年12月25日)し、研究者ネットワークを構築・拡大する。

(3) iPS 細胞等を用いた再生医療実現に向けた研究加速文部科学省は、「再生医療の実現化プロジェクト」の一環として、iPS 細胞を用いた治療開発や、細胞操作技術開発(分化誘導等)を加速すべく、早急(平成19年12月中を目途)に公募を開始する。

(4) iPS 細胞の利用の円滑化
iPS 細胞研究コンソーシアム内における研究用途での提供については原則無償とし、iPS 細胞を円滑に使用できるような体制を京都大学をはじめとする関係機関の協力の下、整備する。

(5) iPS 細胞に関する特許の確保
京都大学より国内外ともに出願(予定を含む)しているiPS 某(ママ)利用技術に関しては、これをさらに「強い特許」とするよう、権利範囲を確保すべく継続的に追加出願に向けた検討を行い、早急に国内外の審査請求等を行う。

② 特に海外特許の確保については、京都大学に対してJSTが必要な支援を行う。

③ JSTは、京都大学が特許取得に関する活動を行うにあたり、iPS 細胞に関する特許確保のアドバイザーとして、専任の知財専門家を京都大学に派遣する等、必要な支援を行う。

文部科学省は、「大学知的財産本部整備事業」の一環として、iPS 細胞研究に関して、米国等における知的財産の取扱いに関する調査等に必要な支援を京都大学に対して行う。

2.来年度以降の措置<額については予算要求中>
(1) 日本全体の体制で研究を推進するための環境整備
文部科学省は、京都大学が世界トップレベル研究拠点プログラムを活用し、iPS 細胞研究を進めるための中核研究拠点「iPS 細胞研究センター」の整備を、継続的に支援する。

文部科学省は、生命倫理の観点について、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会の専門委員会において、引き続き検討を行う。

(2) iPS 細胞研究のさらなる加速
JST は、戦略的創造研究推進事業の一環として、iPS 細胞研究の一層の促進を図るため、新たに「iPS 細胞研究戦略事業プログラム」を立ち上げ、山中教授を中心とした研究グループの新たな体制強化等により、関係する研究活動を支援する。

② 科学研究費補助金の特別推進研究において、平成19年度より山中教授が実施している「細胞核初期化の分子基盤」等基礎研究を支援する。

文部科学省は、京都大学において、iPS 細胞等の研究を行うために、必要な研究環境(研究者の相互交流に配慮したもの)を確保すべく支援する。

(3) iPS 細胞等を用いた再生医療実現に向けた研究加速文部科学省は、「再生医療の実現化プロジェクト」の一環として、iPS 細胞を用いた治療開発や、細胞操作技術開発(分化誘導等)
の開始に必要な研究費を支援する。

(4) iPS 細胞の利用の円滑化
京都大学は関係機関と協力して、iPS 細胞研究コンソーシアム内におけるiPS 細胞に関連する知的財産に関する情報のデータベースを構築し、情報の共有化を図る。

京都大学は、iPS 細胞研究コンソーシアムの外の研究者に対しても、知的財産の適切な確保に配慮しつつMTA(研究材料提供契約)に基づき、iPS 細胞を円滑に提供できるようにる。

(参考)
iPS 細胞研究に対する文部科学省のこれまでの支援
平成19年度の研究費総額:2.7億円
(過去5年間総額:約6.4億円)
<過去5年間(H15〜19)の支援額>
○戦略的創造研究推進事業
CREST 研究領域:免疫難病・感染症等の先進医療技術
「真に臨床応用できる多能性幹細胞の樹立」
258百万円
55百万円(H19)
○科学研究費補助金
特別推進研究、特定領域研究、基盤研究等の合計
316百万円
特別推進研究「細胞核初期化の分子基盤」 193百万円(H19)
再生医療の実現化プロジェクト
「臨床応用を実現する多機能性幹細胞の樹立 64百万円
20百万円(H19)
○世界トップレベル研究拠点プログラム(人件費等の研究環境整備)
「物質-細胞統合システム拠点(京都大学再生医科学研究所等) 」
679百万円の内数(H19)