科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

大気汚染被害者を救済し、自動車メーカーに社会的責任をはたさせます
 自動車排ガスと健康被害との因果関係を、あいついで司法が認め、国・都・道路公団に被害者への賠償を命じました。公害健康被害補償法(公健法)で認定されていなかった被害者の健康被害が司法で認められたのですから、国、東京都が救済するのは当然です。原告はメーカーの責任も追及し、判決は、健康被害を予見できたにもかかわらず、乗用車にまでディーゼル化をすすめたことなど、自動車メーカーの対応に社会的責任上、問題があったと指摘しました。メーカーは超低額の解決一時金(賠償金)ではなく、被害者の要求にこたえるべきです。また、企業がいま使用しているディーゼル車の汚染物質(粒子状物質や二酸化窒素など)除去装置の実用化など、メーカーが社会的責任を果たすよう求めます。大都市部への基準不適合車の流入を抑え、幹線道路における汚染状況のひどい地域での走行規制など、汚染対策をすすめます。くるま優先で自動車道路の建設を促進して公害を悪化させる行政の姿勢の転換を求め、行政・メーカーに必要な情報公開を義務づけ、環境・製品アセスメントを強化します。

水俣病被害者の救済を急ぎます
 公式認定から51年になる水俣病にかんして、最高裁が国の責任と判断基準や認定制度・検診の見直しを認めたこと(2004年10月)をうけ、5200名をこえる被害者が国の認定を求めています。また1200人をこえる被害者が新たに提訴をおこないました。ところが、政府は、認定基準の見直しを拒否し、わずかばかりの「解決金」で患者を切り捨てようとしています。ただちに全容解明の実態調査をおこない、最高裁が示した救済水準に合わせて、すべての水俣病被害者の救済を急ぐべきです。

アスベストの除去や被害者救済を急ぎ、化学物質の有害性に対する規制を強めます
 アスベスト石綿)は、吸いこんでから20〜30年以上も後に悪性腫瘍(がん)をひきおこします。その一種である中皮腫(ちゅうひしゅ)などの被害が続々と明らかになり、その影響は事業者・従業員だけでなく、家族、周辺住民にも及んでいます。政府が、ILO条約の批准を先延ばしにした結果、WHO基準の200倍も緩い基準(76年の通達)を05年まで放置してきました。関連業界と政府の責任は重大です。

 石綿関連企業の労働者や事業所周辺住民などの健康診断調査を継続して実施するために、費用を原因企業と国が負担するよう求めます。アスベスト対策法の施行後も、認定対象が狭く、救済数が余りにも少ないため、被害者の実態に合わせて拡充します。石綿の労災認定も抜本的に見直すとともに、すべての健康被害者を救済し、被害に対する補償水準を引き上げるなど救済制度を早急に改善するよう政府に求めます。石綿の特例使用が認められている分野を含め、早急に全面的な使用禁止を目指すとともに、石綿除去や解体に伴う二次被害を阻止するために、自治体の指導・監督を強め、国の補助の拡充を求めます。

 化学物質による環境汚染がひきおこすとされているアトピー化学物質過敏症ダイオキシンをはじめとする環境ホルモンの悪影響、シックスクールやシックハウスなどへの健康被害の調査と安全対策を強化し、地球環境サミットでも確認された予防原則にたって、遅れている化学物質の有害性にかんする研究と規制を促進します。工場跡地や不法投棄が原因とみられる地下水の汚染などの環境汚染にたいして、住民の健康被害に関する調査と情報公開、新たな被害補償制度などを求めます。

 電磁波による健康への影響については、WHOをはじめさまざまな調査・研究があります。携帯電話用の無線基地の建設をめぐって紛争が起きている場合には、住民の不安にはそれなりの根拠があり、事業者側の責任で不安を軽減するよう対応をすべきです。電磁波の発生源が急増しているなかで、国民の不安にこたえるためにも、電磁波の健康への影響にかんする研究・調査を積極的にすすめるよう求めます。