科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

海外のNPOその1 オブザーバー

 私が現在進めている研究は、「科学技術政策決定におけるNPOの役割」というもので、科学政策にNPOがどの程度関与できるのか、可能性を探っている。

 普段の仕事があって、なかなか思うようには進んでいないが、NPOの仲間の立花さんに各種の審議会を傍聴していただいたり、バイオニクス誌に科学技術政策ウォッチの連載をしたりしながら、とにもかくにも進めている。

 政策勉強会は既に一回行っており、フランスのNPO事情などを伺ったりした。

 フランスでは、大学院博士課程の学生はNPOをつくり、講師を派遣してもらうという形で成り立っているという、日本では信じられない事情などを知って衝撃だった。

 また、NPOを設立するのは容易く、各地、各研究機関に科学政策に関するNPOがあり、それなりに科学政策に影響を与えているという。フランスと日本では土壌が違い過ぎて比較にもならないが、非常にうらやましい気がした。

 今後も諸外国のNPOについて調べていくつもりだ。共同研究者の春日氏は、インドのケララ州について報告を書いているが、彼の紹介しているKerala Science Literature Association のような科学コミュニケーションを行い、地域の政治、教育に影響を与えるようなNPOの存在も極めて興味深い。

 ちょっとメモがてら、ひとつのNPOをご紹介する。イタリアのNPOオブザーバーだ。

 このイタリアのNPOは、science communication、research and innovation policy、science and citizenの三つの領域を活動の柱としており、さまざまな調査、研究をしている。

 このNPOの主催者の一人、Massimiano Bucchi氏は数年前に来日もしており、そのときはサイコムジャパン主催で講演会もしてもらっている。そのときは私が担当ではなかったので、Bucchi氏にお会いすることはできなかった。

 この団体のホームページから一部引用する。

Observa – Science in Society is a non-profit cultural association which aims at promoting the study and the discussion of the interaction between science and society, stimulating dialogue among researchers, policy makers and citizens.
Observa focuses on three main areas:
Science Communication;
Research and Innovation Policy;
Science, Citizens and Technology

 別にこのNPOを意識していたわけではないのだが、私たちサイコムジャパンの方向性とも非常に似ていて、興味深い。

 私たちサイコムジャパンの夢は日本のAAASだと以前書いたが(こちらなど参照)、オブザーバーを当面の目標にすることも考えてよいのではないかと思っている。

 とりあえずメモとして書いてみた。

 ここしばらくは、アメリカの大学院生、ポスドクNPOを調べてみたい。