科学・政策と社会ニュースクリップ

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サイエンスカフェ体験記

 4月22日に、科学週間企画のサイエンスカフェを行ってきた。以下メールマガジンの編集後記に書いたものをちょっと改編。

NPO法人サイエンス・コミュニケーションサイコムジャパン)では、4月22日(土)に大阪にてサイエンスカフェを開催した1)。

■これは、科学技術週間に合わせて全国20数箇所で開催されたサイエンスカフェのひとつで2)、日本学術会議科学技術振興機構、そして私たちサイコムジャパンが主催、場所を提供してくださった應典院3)、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター4)、文部科学省が共催で行った。

■普段ブログも含めて、他の団体のカフェにあれやこれやと言っている私たちが、今度はあれやこれや言われる立場に立たされるわけで、それなりに緊張して当日を迎えた。

■開催一時間ほど前から、参加者の方がちらほらと来てくださり、最終的には30名くらいになっただろうか。應典院さんが近隣の学校に宣伝をしてくださったということで、高校生も何人か来てくださった。ちょっとうれしかった。私たちのカフェでは、事前申し込み不要にしたので、何人来るかまったく読めなかったが、ほぼ予想通りの人数になってほっとした。

■一応「先生」と呼ぶのは禁止、ということで、なるべくフラットな関係を保とうとしたのだけれど、私自ら「先生」と呼んでしまい、先生文化がいかに根強いかを痛感した。職業柄、普段あなた、という意味で「先生」を多様しているので、ついつい出てしまう。反省。

■ご講演くださった馬越佑吉「さん」(大阪大学副学長 日本学術会議会員)が、研究の苦労話を交えたり、実際に作られた材料をまわしてくださったりと、非常に熱心にお話くださったおかげで、会場からは次々と質問が飛び出し、主催者としてはほっと胸をなでおろした。さすが大阪の方々。突っ込み文化で鍛えられ、コミュニケーション能力は抜群だ。

■馬越さんが都合で退席したあとは、馬越さんの研究室の助教授「さん」が、他では聞けない研究の裏話まで語ってくださり、飽きることはなかった。

■講演終了後も、多くの参加者が講師の方々を取り囲み、名残惜しそうに熱心に質問されていた。その姿をみて、ああ、やってよかったなあ、という実感が湧いてきた。

■お帰りの際には、お土産として、「一家に一枚ゲノムマップ」5)をプレゼントさせていただいた。

■ざっとみたアンケートでも、ご満足いただけた方が多かったようで、ほっと胸をなでおろした。けれど、反省がないわけではない。30名となるとやはり講演形式はどうしても避けがたく、参加者の方々の積極性のおかげで双方向コミュニケーションができた形になったが、もうすこし場の設定など工夫が必要だったかも知れない。

■司会の阪大CSCD教授の小林 傳司さんが、難しい言葉を言い換えてくださったり、手を上げない方にも発言の機会を与えてくださるなど、双方向性に気を使っていただのだが、やはり後ろのほうの席の人が講師との距離が遠かったかなと思ったりもした。

■ともかく、私たちサイコムジャパンとしても、非常によい経験をさせていただいたと思う。阪大CSCDの方々、應典院さん、機会を与えてくださった文部科学省日本学術会議科学技術振興機構、そしてなにより、私たちのカフェに来てくださった皆様に、心より御礼申し上げたい。

サイコムジャパンでは、今回の経験や反省も踏まえ、今後もまずは大阪で、サイエンスカフェを継続して行っていこうと考えている。大阪の人たちの積極性は、サイエンスカフェを継続する上でとてもやりやすい。皆様も機会があればぜひお立ち寄りいただきたい。

1)今回の企画概要は
http://scicom.talktank.net/modules/news/article.php?storyid=37

2)各地のカフェの報告は、以下のページに掲載される予定
http://www.scj.go.jp/cafe/web-content/index.html

3) 應典院
http://www.outenin.com/index.html

博士号を持った方もいらっしゃる先進的なお寺。今まで持っていた「お寺」という概念をよい意味で打ち壊してくれる。

4)大阪大学CSC
http://www.cscd.osaka-u.ac.jp

5)一家に1枚ヒトゲノムマップについて
http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/week/genome.htm