科学・政策と社会ニュースクリップ

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解雇しろ?

 理系白書’05:第3部 流動化の時代/3 任期後の受け皿、少なく
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/rikei/news/20051116ddm016070018000c.html

を読んで、少し驚いてしまった。

 理研のプロジェクトディレクターの発言である。

任期や評価に追われて馬車馬のように働く人たちがいる一方で、終身雇用に安住する人たちの方が圧倒的に多い現状には納得がいかない。「どんな制度でも、できる人はできる。業績が悪ければ、終身職でも解雇すればいい。人の能力より雇用制度を重視するようでは、独創的な成果は生まれない」と厳しい。

 人材の流動化と身分の不安定化、研究者のモチベーションの問題は非常に重要な論点で、きっちり議論しないといけない。有能な人材をどんどん使って「使えない」人材をやめさせたい、という意見は、さまざまな反論をはらみつつも、そういう意見を持つ人がいるのは理解できる。

 しかし、それと「終身職でも解雇すればいい」という問題とは話が別だ。

 契約とか法律に詳しくないので、どなたか補足いただければと思うが、終身職を辞めさせるというのは、契約、法律は守りません、と言っているようなものではないのか。「終身職をなくしたい」というのとは意味が違う。

 インタビューが乗ってしまい、軽快に本音トークが出たのだと推察するが、チームリーダーが違法行為を推奨するのは、モラルとして問題があるように思う。ルールが問題ならば、ルールを変えるべき、というのとは全然違う。ルールを破るべき、と言っている。

 問題提起をしていただくのはありがたいが、発言は慎重にしていただきたい。