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No.1153 2025年12月3日(発行7日) 巻頭言
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【巻頭言】 AI基本計画パブコメが終了、科学技術政策の”速度差”が鮮明に
カセイケン代表 榎木英介
先週、政府の「人工知能基本計画」骨子案に対するパブリックコメントが締め切られました(11月27日)。しかし議論の重要性に比して、募集期間の短さが関係者の間で大きな疑問を呼びました。AIの社会的影響、研究・教育現場の制度設計、安全保障面の課題、基盤モデルの国産化といったテーマを検討するには、あまりにも時間が足りなかったという印象が拭えません。
その一方で、世界ではAI政策・AI研究が加速度的に進んでいます。米国ではトランプ政権が「Genesis Mission」を通じて国家AI基盤を構築し、中国はAI規制の主導権を握るべく制度整備を加速、EUもAI法の適用延期を含む現実的な舵切りを進めています。日本は安全性の担保と競争力の確保の両立という課題に直面し、意思決定のスピードが問われています。
国内の科学技術政策でも、大学の理系強化方針や研究力再興の議論が続く一方、短期任期制度や研究費環境の脆弱さが相次いで露呈し、研究者側の負担が増す構造的な課題が浮き彫りとなりました。とくに理研の大量雇い止め問題は「10年ルール」の運用を象徴する出来事であり、安定した研究キャリアの不在が研究力低下と直結する現実を示しています。
国際情勢に目を向ければ、COP30閉幕後の気候政策は各国で揺れが続き、原子力政策も安全性・経済性が議論の中心になりつつあります。国内では泊原発の容認姿勢が報じられ、国民の不安と政策の方向性が交差する局面にあります。
AI政策、研究者支援、大学改革、エネルギー・気候、科学の信頼性をめぐる問題——これらは分断された課題ではなく、相互に関連し合う「科学と社会の基盤」です。今週もChatGPT 5.1の協力を得て、特に重要なニュースを30本選び、解説を付しました。
theLetterではこれらの論点をさらに深掘りしています。併せてご覧いただければ幸いです。
科学と社会の接点を読む(2025年12月第1週版) AI、研究基盤、大学、研究公正が同時に動くとき https://kaseiken-enoki.theletter.jp/posts/fddbf620-d34b-11f0-8bdc-9b039be38707
◆今週の主要ニュース(30本)
【1】AI基本計画パブリックコメントが終了(11/27)
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20251121ai.html
議論範囲の広さに比して短期間での募集となり、研究者・実務家の間で「議論不足」を懸念する声が相次いだ。AIの安全性・産業戦略・国際連携を含む包括政策には、時間をかけた合意形成が求められる。
【2】泊原発再稼働へ北海道知事が容認姿勢
https://www.asahi.com/articles/ASTCX3QXLTCXULFA00SM.html
地域の不安が残る中で容認に舵を切った判断は、エネルギー安全保障との両立が背景にある。今後は地震・津波リスクに対する説明責任が焦点となる。
【3】理研「10年ルール」大量雇い止め問題、元研究者が舞台裏語る
https://news.yahoo.co.jp/articles/958bad957fb2208ce5b9982130ea3d1aca27540e
研究者のキャリア不安定化を象徴する事例。期限付き雇用が研究力に与える影響が改めて議論されている。
【4】東大病院医師逮捕、企業との寄付金構造に批判
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/blog/editors/202511/591178.html
医療機器選定をめぐる贈収賄事件は、奨学寄付金制度と企業依存の構造問題を浮き彫りにした。
【5】COP30が閉幕 脱化石燃料で足並み揃わず
https://www.asahi.com/articles/DA3S16351710.html
温暖化対策の国際的後退が懸念される。先進国・新興国間の利害調整が難航しており、1.5度目標の実現性が揺らぐ。
【6】気候変動でケープペンギンが10年以内に消滅の可能性
https://www.yomiuri.co.jp/science/20251116-OYT1T50062/
食物連鎖の破綻が顕著化。生態系の変化が急速で、適応策を超えた危機に。
【7】国立国会図書館で4万件超の情報漏洩可能性
https://toyokeizai.net/articles/-/918597
サイバー攻撃の高難度化が公共研究機関にも波及。AI・量子時代のセキュリティ再構築が急務。
【8】大学の「年内入試」が急増、54%が春入学へ
https://www.kyoiku-press.com/post-303559/
入試の前倒しが加速し、「受験産業化」の在り方と学生の負担が議論となる。
【9】東北大学、留学生授業料を1.7倍へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD212NI0R21C25A1000000/
受益者負担論の高まりと国際競争力の確保の狭間で、大学経営と国際戦略の再設計が必要。
なお、その東北大ですが、メルマガ発行後に以下のような記事が出ました。
東北大医学系院生が自死 「過剰な業務を強いられた」遺族が大学を提訴 | 河北新報オンライン https://kahoku.news/articles/20251202khn000097.html
かつてブラック企業大賞になったことのある東北大。名ばかりテニュアトラックという大きな問題もありました
卓越大内定・東北大が「名ばかりテニュアトラック」 https://toyokeizai.net/articles/-/703041
国際卓越大として世界から人材を集めるためには、人を大切にする組織になることが最優先ではないかと思っています…。
【10】AIによるTB(結核)検出技術が実用段階に
https://www.scidev.net/global/news/ai-tools-poised-to-transform-global-tb-detection/
医療アクセスの不足が深刻な地域での活用が期待されるが、データ倫理が重要となる。
【11】AI生成レビュー論文が学会で大量投稿、学術界に衝撃
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03506-6
査読制度の根幹を揺るがす問題であり、AI利用の透明性ポリシー策定が急務。
【12】AIが古代岩石から生命の痕跡を自動検出
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03878-9
惑星探査プロジェクトにも波及する技術。科学の探索範囲を広げる可能性。
【13】Google ScholarがAIを搭載した検索機能をリリース
https://current.ndl.go.jp/car/262218
学術検索が大きく変わる可能性。アルゴリズムの透明性が今後の争点に。
【14】中国「神舟22号」成功、宇宙救難体制のモデル提示
https://news.yahoo.co.jp/articles/31cb412f7dc7d77057f00bd81ffb95c667a8fc17
宇宙開発での中国の制度成熟を示す動き。国際協力の主導権争いが続く。
【15】米DOE、史上最大のAIスーパーコンピューター計画を発表
https://crds.jst.go.jp/dw/20251128/2025112843810/
生成AI・基礎科学の双方で覇権を握るための国家級投資。
【16】韓国「ヌリ号」成功で宇宙産業競争へ本格参入
https://news.yahoo.co.jp/articles/c7c778b027fa567e5e7d76ced1e2faf8c5e119e4
アジアの宇宙産業構造が変化。日本の競争力維持が課題に。
【17】「研究データGRANTS」がJSTから公開
https://current.ndl.go.jp/car/262795
公的研究データの統合利用が進む。研究透明性の向上に資する。
【18】Nature解説:大学ランキング依存の弊害
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v22/n12
研究の多様性が失われ、評価指標が研究戦略を歪める危険性。
【19】高専教育がAI時代の「π型人材」育成モデルに
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/03399/111000004/
実践知+AI の組み合わせが今後の職業教育の鍵。
【20】AI著作権問題、日本企業3社が米企業に抗議
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014991141000
国際的な著作権ルール整備が急務で、日本の発言力が問われる。
【21】AIが物理の難題を“数秒”で解く研究
https://news.yahoo.co.jp/articles/6f48314f3134daf0df81bc5a9c80f9c4ed3e5c61
基礎科学の方法論が変化する可能性。研究者の役割再定義が必要に。
【22】原発再稼働の経済性分析が公表
https://www.asahi.com/articles/ASTCM1PGMTCMUTFL01YM.html
収益構造よりもリスク評価の透明性が焦点に。
【23】COP30後の各国の温暖化対策が不透明に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD241IB0U5A121C2000000/
世界的な脱炭素の潮流は続くが、スピードは鈍化気味。
【24】「世界の高等教育の現状」Nature の総括
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v22/n12
研究者流動性、財政、AI活用、国際競争の構図を分析。
【25】UAE、アフリカAI投資を10億ドル規模に
https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/11/6835c49445ed75a8.html
南北格差是正だけでなく、地政学的影響力を高める狙い。
【26】研究公正:AIによる「怪しい学術誌」の一斉検出
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v22/n12/AI%E3%81%8C%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%82%92%E7%AB%8B%E3%81%A6%E3%81%9F%E4%BD%95%E7%99%BE%E3%82%82%E3%81%AE%E6%80%AA%E3%81%97%E3%81%92%E3%81%AA%E5%AD%A6%E8%A1%93%E8%AA%8C/132966
AI時代の研究不正監視の新たな形。
【27】胃がん治療を変える可能性のある新規標的の研究(台湾)
https://spap.jst.go.jp/other_asia/news/251104/topic_nt_02.html
アジア発の医療研究が存在感を増している。
【28】米国で大学卒の就職率が高卒並みに低下
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-25/T690YKT96OSI00
AI普及による雇用構造変動の早期兆候とみられる。
【29】宇宙政策:みちびき7号機、2026年2月打ち上げへ
https://www.sankei.com/article/20251201-WE2RN5TFMROHJBG4ZJVSWDDCZA/
測位インフラの国産化が進み、宇宙安全保障にも寄与。
【30】学術界のメンタルヘルス問題をミーム分析で可視化
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03924-6
研究者の心理的負荷を測る新しい方法として注目。
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“Science Communication News”
[SciCom News] No.1153 2025年12月3日(発行7日) 巻頭言
【発行】一般社団法人科学・政策と社会研究室
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