科学・政策と社会ニュースクリップ

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研究者大量雇い止めの論点

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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.972 2022年5月25日号 巻頭言
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【巻頭言】
★研究者大量雇い止めの論点

2022年5月18日〜25日
カセイケン代表 榎木英介

 これまでお伝えしている通り、労働契約法の特例による雇い止め問題は、4500人という対象者の人数も明らかになり、非常に深刻な問題であることが次第に明らかになってきました。

国立大など 4500人雇い止めの恐れ/非正規研究者 田村智子議員の追及で判明/参院内閣委| 「しんぶん赤旗
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik22/2022-05-18/2022051801_02_0.html

 報道もされるようになってきています。

国立大研究者、広がる雇い止めの不安 有期→無期雇用の節目に:朝日新聞デジタル
https://digital.asahi.com/sp/articles/ASQ5K6JY1Q5KUTIL02J.html

研究者ら大量雇い止め恐れ 非正規、令和5年3月契約終了
https://www.sankei.com/article/20220521-JEMOM3IQN5N7ZFMVKXDBPGD3L4/

「研究職600人雇い止め」理化学研究所に走る衝撃 | 動画 | 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/list/video/DredhGf_KdI

 文科省もこの点は認識しており、末松大臣も言及しています。

末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年3月29日):文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00255.html

一般論として申し上げますけれども、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で雇止めをしたとしたならばですね、これは、労働契約法の趣旨に照らして全く望ましくないという、私はそのように考えております。

 末松大臣が言われるように、まず大前提として、雇い止めは労働契約法の趣旨に反しています。

大学等及び研究開発法人の研究者、教員等に対する労働契約法の特例(無期転換申込権発生までの期間)に関する経過措置について:文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/1410626.htm

無期転換ルールを避けることを目的として、無期転換申込権が発生する前に雇止めをすることは、労働契約法の趣旨に照らして望ましいものではありません。また、有期労働契約の満了前に使用者が更新年限や更新回数の上限などを一方的に設けたとしても、雇止めをすることは許されない場合もありますので、慎重な対応が必要です。

 国立大学や国立の研究機関でこのような法の趣旨に反した行為が行われることは、非常に問題であると言わざるを得ません。

 その上で、もう一点指摘しなければならないのは、無期転換権が生じて申し出し、任期の定めのない雇用になったとしても、それは「終身雇用」ではないということです。

無期労働契約...無期労働契約の労働条件(職務、勤務地、賃金、労働時間など)は、別段の定めがない限り、直前の有期労働契約と同一となります。別段の定めをすることにより、変更可能です。 「別段の定め」とは 、労働協約就業規則、個々の労働契約(無期転換に当たり労働条件を変更することについての労働者と使用者との個別の合意)が該当します。

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/h240829-01.pdf

より。

 いわゆるメンバーシップ型の「終身雇用」は、企業と労働者の契約上の問題で、定年まで雇い続けるという契約です。福利厚生の充実や年功序列的な給与体系とセットになっています。

 配置転換等に企業側の裁量がかなり強く入りますし、配置転換してでも雇用を作らないといけないので、解雇は簡単ではありません。

 任期の定めがないということと、終身雇用は似ているようで異なるわけです。

 一方、一旦任期の定めのない雇用に転換すると、解雇は簡単にされなくなります。

https://partners.en-japan.com/qanda/desc_977
https://kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/201903297777.html

 それが法の趣旨ですから、当然ではあります。

 おそらく大学や研究機関は、簡単には辞めさせられなくなることを恐れているのだと思います。

 しかし、ここでなぜ研究者が10年の特例を付与されたかに立ち返って考えてみます。

 同じ研究施設に10年以上雇われているということは、5年のプロジェクト等の範囲を超えて重要な役割をになっているということになるわけで、それはその施設にとってエッセンシャルな存在であるということです。

 そうした10年雇用されているエッセンシャルな存在を、都合が悪ければ簡単に解雇して良いのですか、ということが問われるわけです。

 流動化と安定化は、研究者にとって常に論争であり続けています。

 たしかに「大した成果も出さずに雇用されている存在」の人を切って、次の人にチャンスを与えるべき、という声は根強くあります。

 しかし、10年も有期雇用を繰り返し、同じ施設で雇われ続けた人たちは、このカテゴリーには当てはまらないのではないでしょうか。ある種のセレクションに合格した人たちではないかと思います。

 まずは法の趣旨に反する雇い止めをやめ、法に沿った無期転換権の付与を求めます。

 これと同時に、さまざまな能力を持った人たちは、アカデミアを超えてさまざまな場でその才能を発揮してもらうのが、社会にとっても有益であると思います。

 私が残念に思うのは、労働契約法の特例ができて10年、今に至るまで、多様なキャリアの促進など、キャリア問題に冷淡でいた大学や研究機関の存在です。10年間何をやっていたのでしょう。

 残念ながらポジティブな形で社会に人材を送り出すという意識が乏しい施設がまだまだ多いように思います。それでいて、解雇できないのは困るといった組織の論理のみを押し出して「法の被害者」ぶったとしても納得いきません。

 4500人の雇い止めはなんとか阻止しなければなりませんが、アカデミアや政府は、その先を見据えて、当事者意識を持ってことに当たらなければなりません。

 正直私はアカデミアに不信を抱いており、自分でできることをやらなければと思っています。

 最近さまざまなスタートアップが、博士号取得者の人材活用サービスをローンチしていますが、それも同じ意識だと思います。

 もちろんアカデミアや若手の官僚の方々の有志の言動に希望も感じており、完全に絶望しているわけではありません。

 どうかこの問題を、自分ごととして考えていただけたらと思います。

 6月4日土曜日の夕方、日本共産党の田村智子参議院議員が、雇い止め問題の懇談会を開催します。

 雇い止め当事者に加え、私も発言の機会を得ました。

国立大学・研究機関における大量雇い止めについての Online 懇談会 参加登録フォーム
https://ptv.jcp.or.jp/survey/187352

 ご関心のある方はご参加ください。

岩手:ブラックホール次は動画 地域、大学連携にも意欲 国立天文台水沢VLBI観測所 本間所長に聞く : 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/local/iwate/news/20220519-OYTNT50197/amp/

立民・原口氏「国立天文台応援ツイート」が大炎上、“事業仕分けブーメラン”炸裂! – SAKISIRU(サキシル)
https://sakisiru.jp/27820?s=09

「水沢観測所」が寄付目標突破 1千万円超、若手研究員の雇用へ | 岩手日報 IWATE NIPPO
https://www.iwate-np.co.jp/article/2022/5/20/116312/amp

ブラックホール撮影後押し 研究員雇用寄付1千万円超 水沢観測所 - 産経ニュース
https://www.sankei.com/article/20220520-6VO6M5J33ZLJLOTLQASJPY4ZKY/

ブラックホール撮影の国立天文台、若手「二刀流」に活路:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD13BGX0T10C22A5000000/

 国の政策に翻弄されている研究機関ですが、若手の雇用のために頑張っています。

 もちろん国の政策に意見を言うのは重要ですし、やり続けるべきですが、こうした当事者意識を持った研究機関が増えてほしいと思います。

教育未来創造会議「第一次提言」を受けたこれからの大学について(進学者のニーズや人材需要に対応するための学部再編と理系女子学生の活躍促進について):文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00270.html

 末松大臣。各方面に対する要望が書かれています。重要です。

理系に進む女性増へ、国が支援強化 偏見の排除・ハラスメント防止…具体策取
りまとめ
https://www.asahi.com/articles/DA3S15303436.html

詳細はこちらから。

統合イノベーション戦略推進会議(第11回) - 総合科学技術・イノベーション会議 - 内閣府
https://www8.cao.go.jp/cstp/tougosenryaku/11kai/11kai.html

資料3-1Society5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ(案)(概要抜粋)(PDF形式:567KB)
https://www8.cao.go.jp/cstp/tougosenryaku/11kai/siryo3_1.pdf

資料3-2Society5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ(案)(概要)(PDF形式:1500KB)
https://www8.cao.go.jp/cstp/tougosenryaku/11kai/siryo3_2.pdf

資料3-3Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ(案)印刷用一括版(PDF形式:2249KB)
https://www8.cao.go.jp/cstp/tougosenryaku/11kai/siryo3_3print.pdf

分割版1(PDF形式:1977KB)
https://www8.cao.go.jp/cstp/tougosenryaku/11kai/siryo3_3_1.pdf

2(PDF形式:1313KB)
https://www8.cao.go.jp/cstp/tougosenryaku/11kai/siryo3_3_2.pdf

COVID lessons from Japan: the right messaging empowers citizens
https://www.nature.com/articles/d41586-022-01385-9

天然痘に似た症状の「サル痘」が欧米などで拡大 厚労省、国内流入を警戒 | Science Portal - 科学技術の最新情報サイト「サイエンスポータル」
https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20220524_n01/

 サル痘の感染拡大が続いています。要注意です。

What’s sending kids to hospitals with hepatitis-coronavirus, adenovirus, or both?
https://www.science.org/content/article/what-s-sending-kids-hospitals-hepatitis-coronavirus-adenovirus-or-both

 小児の肝炎も要警戒です。

Tuberculosis Is the Oldest Pandemic, and Poverty Makes It Continue
https://www.nature.com/articles/d41586-022-01348-0

 結核は病理医として診断することもまだまだ多く、重要な感染症です。

被爆者スライド標本データベース」を公開しました
https://www.hiroshima-u.ac.jp/rbm/news/70706

被爆者スライド標本データベース - 広島大学原爆放射線医科学研究所
https://rbm.hiroshima-u.ac.jp/

被爆直後の臓器標本を公開 広島大の研究所:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF20AP40Q2A520C2000000/

 被爆者の組織標本。貴重な資料です。

首相、防衛費「国防」の視点重視 科学技術など総合的に:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA20CCR0Q2A520C2000000/

クアッド4か国、5Gやバイオ技術で官民連携へ…「軍民融合」の中国に対抗 : 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/world/20220522-OYT1T50237/

 やはり軍事、デュアルユース研究が政府の関心のようです。

「国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律」が成立
https://www.mext.go.jp/b_menu/activity/detail/2022/20220520.html

 文科省のページ。

論点:「大学ファンド」の是非 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20220520/ddm/004/070/006000c

 必読記事。

新しい資本主義実現会議(第7回)|内閣官房ホームページ
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai7/gijisidai.html

議事
(1)人への投資
   (賃金、人材育成、兼業・副業、男女間格差 等)

大学院部会(第105回) 配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/004/gijiroku/1422801_00005.html

議題

大学設置基準等の改正について
人文科学・社会科学系の大学院教育等について
「大学院における教育改革の実態把握・分析等に関する調査研究」及び「産業界における博士人材の活躍実態調査」の結果について
その他

議事次第 令和4年5月19日 - 総合科学技術・イノベーション会議 - 内閣府
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20220519.html

議題

研究に専念できる時間の確保について:URAの活用

大学発ベンチャー実態等調査の結果を取りまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220517001/20220517001.html

日本学術会議会長談話「アフマドレザ・ジャラリ博士の状況に対する深刻な懸念について」を公表しました。(令和4年5月18日)
>President’s Statement on “Grave concern about the situation of Dr. Ahmadreza Djalali”(PDF形式:96KB)
https://www.scj.go.jp/ja/head/pdf/20220518e.pdf

>日本学術会議会長談話「アフマドレザ・ジャラリ博士の状況に対する深刻な懸念について」(PDF形式:121KB)
https://www.scj.go.jp/ja/head/pdf/20220518.pdf

 全文引用しますが、非常に大きな問題です。

日本学術会議会長談話
「アフマドレザ・ジャラリ博士の状況に対する深刻な懸念について」
死刑執行が差し迫っていると伝えられる災害医学研究者であるアフマドレザ・ジ ャラリ博士の状況について国際学術会議(ISC)が表明した重大な懸念を共有し ます。国連の恣意的拘禁に関する作業部会がこの問題について採択した 2017 年 の意見を考慮し、ISC とともにジャラリ博士の死刑執行の停止を求めます。
令和4年5月 18 日 日本学術会議会長 梶田 隆章

 関連

アフマドレザジャラリ博士の処刑を停止する-国際科学会議
https://council.science/ja/current/news/halt-the-execution-of-dr-ahmadreza-djalali/

President Metsola calls on Iran to set Ahmadreza Djalali free | News | European Parliament
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20220510IPR29210/president-metsola-calls-on-iran-to-set-ahmadreza-djalali-free

元司書が語る! 国立国会図書館の絶版本「読み放題解禁」がスゴい
https://diamond.jp/articles/-/303076

国立国会図書館の絶版資料などがネット経由で見れるサービス、本日提供開始(Impress Watch) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/757c1e973ba23f5c976a8993635f6355f1535302

 注目です。

Open access in low-income countries - open letter on equity
https://www.nature.com/articles/d41586-022-01414-7

Nature journals raise the bar on sex and gender reporting in research
https://www.nature.com/articles/d41586-022-01218-9

そこが聞きたい:広がる研究スキル売買 京都薬科大教授・田中智之氏
https://mainichi.jp/articles/20220524/ddm/005/070/007000c

Law, policy, biology, and sex: Critical issues for researcher
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abo1102

The Court is ignoring science
https://www.science.org/doi/10.1126/science.adc9968

Australians vote for stronger climate action
https://www.nature.com/articles/d41586-022-01445-0

 政権が交代したオーストラリア。

「復興のために学問を」 オンライン講義を再開したキーウの大学 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20220523/k00/00m/030/213000c.amp

 復興を見据えています。

Frustration builds over lengthy delay in revamping Mexico’s science law
https://www.nature.com/articles/d41586-022-01408-5

女性医師の3割「ワンオペ育児」経験 男性は1割未満 大学病院など(毎日新聞) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/eea76105274506ed3a007faec9bd746565fdd563

AJMC 一般社団法人 全国医学部長病院長会議
記者会見 2022(令和4)年5月17日(火)15:00~
男女共同参画に対する意識調査」結果及び「男女共同参画に向けての提言」について
https://ajmc.jp/news/2022/05/17/4354/

日米豪印フェローシップ創設記念行事の開催
https://www.mofa.go.jp/mofaj/p_pd/ep/page1_001191.html

このフェローシップは、昨年9月に開催された第2回日米豪印首脳会合において、これら4か国の教育及び人的交流に係る協力として発表され、今回その創設が正式に宣言されました。フェローシップは、日米豪印のSTEM分野(科学、技術、工学及び数学)の優れた人材各国25名(計100名)に対し、米国で修士・博士号を取得するための奨学金を授与するもので、シュミット財団が運営・管理を行います。

クアッド、安保色薄め共同声明へ 奨学金創設で合意:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA19C8Z0Z10C22A5000000/

クアッド4か国の大学院生対象の奨学金制度 官邸で創設記念行事 | NHK | 教育
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220524/k10013641691000.html

PhD students face cash crisis with wages that don’t cover living costs
https://www.nature.com/articles/d41586-022-01392-w

Ph.D. students demand wage increases amid rising cost of living
https://www.science.org/content/article/ph-d-students-demand-wage-increases-amid-rising-cost-living

 アメリカの大学院生が経済的苦境に。

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.972 2022年5月25日号 巻頭言
【発行】一般社団法人科学・政策と社会研究室
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国際卓越研究大法成立、国立系の研究者雇い止め4000人以上の衝撃

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★発行部数 2,518部(5月18日現在)
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         No.971 2022年5月18日号 巻頭言
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【巻頭言】
★国際卓越研究大法成立、国立系の研究者雇い止め4000人以上の衝撃

2022年5月11日〜18日
カセイケン代表 榎木英介

 最近本誌発行と巻頭言、ピックアップ版に時間差が出て、その間に重要ニュースが入ることが多くなりました。

 今回は10兆円ファンド法案成立です。

世界トップの大学づくりへ、10兆円基金で10年以上支援…「国際卓越研究大学法」成立
https://www.yomiuri.co.jp/science/20220518-OYT1T50272/

10兆円大学ファンド、「選択と集中」懸念 国際卓越研究大法成立
https://www.asahi.com/articles/ASQ5L55LZQ5KULBH007.html

国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/208/meisai/m208080208035.htm

 付帯決議もついており、法案施行後もしっかりとみていかなければなりません。

 この法案に関してはさまざまな意見が今も出続けています。

大学ファンド、政府が手本にするハーバード大 7兆円基金の使い道
https://www.asahi.com/articles/ASQ5L56R6Q5KULBH005.html

“10兆円”大学ファンドは日本の「大学変革」につながるか? 困難さも伴う、その行く末(伊藤 博敏)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95360

【動画】「国際卓越研究大学」は「学術への政治介入引き起こす」学生らが反対訴え 18日にも法案採決へ
https://www.tokyo-np.co.jp/article/177709

10兆円大学ファンド 研究環境格差さらに広がる(宮崎日日新聞、2022.5.12)
https://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_62650.html

「チーム甘利」 大学ファンド私物化か/関係組織の要職占める/徹底調査と報告必要| 「しんぶん赤旗
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik22/2022-05-11/2022051102_03_0.html

 最大の懸念は選択と集中をより強固にするのではないか、そして、大学に外部からのコントロールがより強く入るのではないかということです。

 選択と集中に関しては、多くの批判があるものの、上山隆太氏などは運営費交付金を「バラマキ」と呼んで批判するなど、政府サイドからはなかなか緩和の動きはありません。

 お金を渋る財務省を説得し、研究予算を増額させたウルトラC。その引き換えは、大学のガバナンス改革。言ってしまえば軍事研究、デュアルユース研究のさらなる推進。

 ウクライナ情勢もあり、国民にも国防の研究を強化せよとの意見が広まっているように感じますが、これを機会にと、日本学術会議叩きも続いています。

日本学術会議、任命拒否問題はどうなった 2つに絞られた論点、いまも6名足らない状態が続く
https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/omoshiro/202205/0015306277.shtml

安保環境の激変で大転換 日本学術会議「軍民両用」研究を否定せず 年間10億円の血税投入「浮世離れ」組織、民営化案浮上で目くらましか
https://www.zakzak.co.jp/article/20220517-MKOVN7FJVVJJ5DPBZRHURSXFZI/

 夕刊フジの記事はかなり恣意的です。2017年の声明はデュアルユース研究の禁止ではなかったので、何も大転換ではありません。

 ともかく、経済安保法ともあわせ、世論の後押しもあり、日本の研究環境は確実に転換したといえるでしょう。

国立大など 4500人雇い止めの恐れ/非正規研究者 田村智子議員の追及で判明/参院内閣委| 「しんぶん赤旗
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik22/2022-05-18/2022051801_02_0.html

【独自】東北大、239人雇い止めの恐れ 研究者ら非正規職員 22年度末
https://kahoku.news/articles/20220511khn000040.html

国立大研究者、広がる雇い止めの不安 有期→無期雇用の節目に
https://digital.asahi.com/sp/articles/ASQ5K6JY1Q5KUTIL02J.html

 朝日新聞の記事(有料部分)には私のコメントが出ています。

 田村議員の質疑で明らかになったように、4000人もの研究者が雇い止め危機にあります。

 労働契約法の理念を捻じ曲げる雇い止め。これはただならぬ事態です。10年前、研究開発力強化法(当時)改正時に仕込まれた時限爆弾がもうすぐ破裂します。

 早急に対策を立てなければ、日本の研究に大きなダメージを与えることになります。時間は限られています。

新卒年収4000万円も ファーウェイ「天才少年」を世界で公募開始
https://www.iza.ne.jp/article/20220512-KV5WZSYHOZNSXFOZ6LP3ZZ3XOQ/

 全世界で人材獲得競争が行われています。今後海外に活路を見出す人が増えるでしょう。

 人材が流出することを「売国奴」などと呼ぶことはできないはずです。

元司書が語る! 国立国会図書館の絶版本「読み放題解禁」がスゴい
https://diamond.jp/articles/-/303076

国立国会図書館の絶版資料などがネット経由で見れるサービス、本日提供開始
https://news.yahoo.co.jp/articles/757c1e973ba23f5c976a8993635f6355f1535302

 これもメルマガ本誌発行後に入ってきたニュース。

 地方で在野の私たちにとって朗報といえるでしょう。

ワクチンほとんど未接種か…北朝鮮では「原因不明の熱病」大流行、韓国は支援意向
https://www.yomiuri.co.jp/world/20220514-OYT1T50072/

北朝鮮 新型コロナウイルスによる発熱か 新たに23万人以上
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220518/k10013632251000.html

北朝鮮 コロナ感染による発熱か 新たに26万人以上を確認
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220519/k10013632761000.html

 情報がなかなか入ってこない北朝鮮。厳しい状況です。

Want to prevent pandemics? Stop spillovers
https://www.nature.com/articles/d41586-022-01312-y

 動物間のウイルス伝播、スピルオーバーが深刻な課題です。

議事次第 令和4年5月12日 - 総合科学技術・イノベーション会議 - 内閣府
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20220512.html

議題

1.研究に専念できる時間の確保について:共用を通じた技術職員の活用

第6回会議資料 令和4年 会議結果- 経済財政諮問会議 - 内閣府
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0516/agenda.html

資料3 「経済財政運営と改革の基本方針2022(仮称)」骨子(案)(PDF形式:282KB)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0516/shiryo_03.pdf

グリーン・デジタルなど5分野に重点投資 骨太方針骨子
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA160QO0W2A510C2000000/

 「骨太の改革」の骨子案が出ました。

第3回 教育未来創造会議 配付資料|内閣官房ホームページ
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyouikumirai/dai3/gijisidai.html

資料1-1: 我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について
(第一次提言)(案)概要(PDF/694KB)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyouikumirai/dai3/siryou1-1.pdf

資料1-2: 我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について
(第一次提言)(案)(PDF/539KB)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyouikumirai/dai3/siryou1-2.pdf

岸田政権の肝いり「教育未来創造会議」提言に“令和の学徒出陣”の声…理工系や農学系だけなぜ
https://news.yahoo.co.jp/articles/1a76f0673cf20cbd66a69a7b9ec9335a2911074a

 先週もお伝えしていますが、出世払い、女性の活躍推進が挙げられています。

「人材版伊藤レポート2.0」を取りまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220513001/20220513001.html

These six countries are about to go to the Moon - here’s why
https://www.nature.com/articles/d41586-022-01252-7

 日本も入っています。

大学発の起業、慶応が最多 経産省21年度調査
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC25CGM0V20C22A4000000/

【独自】4年制女子大が激減、ピークの3割減 神戸親和女子大が23年度から共学に
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202205/0015306876.shtml

「工学部を女子の選択肢に」 真下峯子氏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH294Y40Z20C22A4000000/

 最近奈良女子大での工学教育が話題ですが、女子大という形態がピンチに。

教員免許の更新制廃止、改正法が成立…10年ごとの講習受講不要に
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220511-OYT1T50150/

 ようやくです。失効した人も救われるようです。

教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/208/meisai/m208080208034.htm

大学教授が「謹んで『優』を進呈したい」小6の自由研究 市の紀要に [東京インサイド]
https://www.asahi.com/amp/articles/ASQ5D6VHSQ56UTIL002.html

 ギフテッドですね。

AMED、研究公正シンポジウム「研究公正における中核的人材の育成について考える」の動画・配付資料などを公開
https://jipsti.jst.go.jp/sti_updates/2022/05/13496.html

 重要資料。

Wiley社、DORAに署名
https://jipsti.jst.go.jp/sti_updates/2022/05/13498.html

Clarivate Analytics社、「インパクトの高い論文数分析による日本の研究機関ランキング2022年版」を公表
https://jipsti.jst.go.jp/sti_updates/2022/05/13493.html

機構報 第1562号:研究倫理映像教材「倫理の空白 理工学研究室編」のオンライン公開について
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1562/index.html

NIH gains new power to police sexual harassment
https://www.science.org/content/article/nih-gains-new-power-police-sexual-harassment

Are forensic experts biased? Scientist’s claims spark outrage
https://www.science.org/content/article/forensic-experts-biased-scientists-claims-spark-outrage

昆虫ゲノム編集に新手法 研究チーム京大教授「簡単過ぎて問題かも」
https://www.asahi.com/articles/ASQ5J5QGWQ5FPLBJ003.html

中国の大学が次々と世界大学ランキングとの決別を表明 その理由は?
http://j.people.com.cn/n3/2022/0512/c94475-10095704.html

中国の有名大学が世界の大学ランキングから脱退
https://www.afpbb.com/articles/-/3404124

中国の有名大学が世界の大学ランキングから脱退(CGTN Japanese)
https://news.yahoo.co.jp/articles/6bd118982b06a903aeaca75e6fe16e5a9badf998

 中国の大学の世界ランキングからの脱退が大きな話題です。

‘Dark mood’: Australian researchers lament state of science ahead of election
https://www.nature.com/articles/d41586-022-01281-2

大学院部会(第106回)会議資料:文部科学省
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/09/1421377_00011.html

博士修了者28%が非正規 高度人材、活用進まず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE065FY0W2A500C2000000/

世界に逆行! 減少する博士号取得者 なぜ日本は「低学歴国家」に陥ったのか?(城繫幸): J-CAST 会社ウォッチ
https://www.j-cast.com/kaisha/2022/05/11436770.html?p=all

50代で博士課程へ…いとうまい子が「学び」を求めた理由【対談】いとうまい子早稲田大学理工学術院長・菅野重樹教授(TOKYO HEADLINE WEB)
https://news.yahoo.co.jp/articles/9bcf49f9f7221691827d6fbbb7c975b89418118d

 生活の心配をしないで研究できることがどれだけ楽しいか。

「書類の山」「印鑑問題」「仕事の増加」…大学も保育園も「先生」はどこも大変(現代ビジネス)
https://news.yahoo.co.jp/articles/96029c8efe99f030be567a80aeff77f0b26d8c89

 大学教員の忙しさ。

米大学、女性向け奨学金などの廃止相次ぐ 「男性に不公平」と苦情(Forbes JAPAN)
https://news.yahoo.co.jp/articles/b89c1bf0eb8fc5130fd6d6a32c59ebcc66a42f7d

 注意しなければならないのが、「もはや」アファーマティブアクションが必要ない、と言っており、まだまだアファーマティブアクションすら限定的な日本と比べるのは要注意ということです。

「女性限定公募」は差別なのか? 〜 理系の女性研究者が少ない理由
https://sakisiru.jp/27602

Quitting grad school felt like failing-but it gave me an opportunity to grow
https://www.science.org/content/article/quitting-grad-school-felt-failing-it-ave-me-opportunity-grow

 大学院を辞めても良い経験になったと。私も状況は違えど同感です。

トップ研究者のリスト - Shimodaira Lab
http://stat.sys.i.kyoto-u.ac.jp/post-ja/1437/

 話題になっていました。

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.971 2022年5月18日号 巻頭言
【発行】一般社団法人科学・政策と社会研究室
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北大の「ウインブルドン化」 経済安保法案成立

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【巻頭言】
★北大の「ウインブルドン化」 経済安保法案成立

2022年5月4日〜11日
カセイケン代表 榎木英介

 今週は連休明けということもあり、ピックアップ記事は少なめでした。

 昨日本誌を発行したのち、経済安全保障法案が成立したとのニュースが入りました。

経済安保推進法案を議決(令和4年5月11日):参議院
https://www.sangiin.go.jp/japanese/ugoki/r4/220511.html

経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案:参議院
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/208/meisai/m208080208037.htm

経済安保推進法が成立…半導体レアアースなど重要物資の安定供給目指す
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220511-OYT1T50149/

経済安全保障推進法 参院本会議で可決・成立
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220511/k10013620721000.html

<解説>経済安保法成立…規制対象や運用は政府任せ 透明性の確保と丁寧な説明が欠かせない
https://www.tokyo-np.co.jp/amp/article/176729

[スキャナー]経済安保法、先端技術開発を官民で「攻め」…「ニーズ把握」「予算」がカギ
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220511-OYT1T50309/

政府、先端技術「極超音速輸送機」の開発支援へ…経済安保法成立で供給網確保・特許非公開化も
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220511-OYT1T50347/

企業の活力そがずに経済安保の強化を
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60682560S2A510C2EA1000/

 研究や開発を過度に制限しないように願います。

大幸薬品 「クレベリン」の広告表示 景品表示法違反を認める
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220505/k10013612221000.html

 あくまで広告ということで、販売は続けるそうですが…。

WHO、中国のゼロコロナ規制「持続可能でない」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR10ERX0Q2A510C2000000/

 中国の新型コロナ対策。ゼロコロナは成果を上げましたが、オミクロン株の登場で維持が難しくなりました。

 上海の研究者には先週インタビューしましたが、厳しい状況にあるようです。

日本人研究者が見た「上海ロックダウン」の真実(榎木英介) - 個人 - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20220502-00294072

 日本も含めてですが、政策は市民のことを第一に、政治が専門家の意見を踏まえた上で、政治の責任で臨機応変に対応してほしいと思います。

「いつになったら日本へ」 水際規制、親日家に扉閉ざす
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR10EAL0Q2A510C2000000/

 この問題は繰り返し指摘されていますが、なかなか変わりません。これも臨機応変な対応が求められていますが…。

小児の原因不明の急性肝炎について(令和4年5月6日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25548.html

“原因不明” 子どもの急性肝炎 国内で新たに4人が同様の症状
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220506/k10013614111000.html

謎の急性肝炎、インドネシアで子ども3人死亡
https://www.afpbb.com/articles/-/3403202

原因不明の小児肝炎、米国で5人死亡 米CDCが109人を調査
https://www.asahi.com/articles/ASQ572H0HQ57UHBI008.html

 新型コロナとの関連も取り沙汰される肝炎。早期の原因解明が求められています。

議事次第 令和4年4月28日 - 総合科学技術・イノベーション会議
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20220428.html

議題
1.研究に専念できる時間の確保について:研究DX

ガバナンス強化の私学法改正案、今国会の提出見送り 文科省が方針
https://www.asahi.com/amp/articles/ASQ5B53M1Q5BUTIL00Q.html

 議論はしっかりしてほしいです。

日本私立大学連盟、理工系教育研究の課題と取り組みを報告書に
https://univ-journal.jp/156398/

高専出身者、なぜIT業界で人気?国立高専機構理事長が明かす高度人材輩出の神髄
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00677/041800111/

 注目が集まる高専

<宇野沢デジタル委員が読み解く>北大生は道外勢ばかり 道産子苦戦の理由は
https://www.hokkaido-np.co.jp/sp/article/678470

 北大のレベルが上がり地元の生徒が入りにくくなっているという問題。

 これは例えば甲子園などにも言えますし、いわば「ウインブルドン現象」にも似ていますね。
https://kotobank.jp/word/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%B3%E7%8F%BE%E8%B1%A1-670362

 多様性をどう確保するのかという課題が突きつけられています。

改正博物館法が成立・公布 科学系博物館への影響は - 篠田謙一|論座
https://webronza.asahi.com/science/articles/2022050100001.html

How I found a way to balance research integrity with people’s welfare
https://www.nature.com/articles/d41586-022-01236-7

韓国法相候補の娘の「論文代筆」… ケニア人代筆作家「自分が作成した」(ハンギョレ新聞) -
https://news.yahoo.co.jp/articles/c9204436794f7b6df0eefb2ddced08004febc13e

韓国法相候補、娘の論文の外部助力を認める…「入試に使う計画はない」(ハンギョレ新聞)
https://news.yahoo.co.jp/articles/10a2ab3bcb9e46e3a15776cab9cb359367bab2bd

 論文代筆が政治を揺るがす事態に。

追いつかないのは倫理観か、リテラシーか、医師のマインドか ゲノム解析の課題を宮野悟特任教授が語る
https://news.yahoo.co.jp/articles/4562b6ba8a93b4bb8eed7880e9b8968e702b27dc

AIの倫理リスク 多角的なチェック手法、産学が提案
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD261SL0W2A420C2000000/

MIT Tech Review: AI・デジタル技術はなぜ、 経済成長をもたらさないのか
https://www.technologyreview.jp/s/273897/ais-inequality-problem/

 人間を置き換えるのではなく、人間の能力を拡張するような研究をすべきとの意見。

U.S. math professor found guilty in latest China Initiative trial
https://www.science.org/content/article/u-s-math-professor-found-guilty-latest-china-initiative-trial

 あくまで脱税で。そこはしっかりと認識しないとあらぬ方向にいきます。

「一帯一路」共同建設国84か国と科学技術協力を展開
https://crds.jst.go.jp/dw/20220506/2022050631953/

 影響力を増す中国。

【コラム】大胆なてこ入れ迫られる韓国のノーベル賞プロジェクト
http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2022050684718

 これは他山の石とすべきですね。若手の生きのいい人を採用するのではなく、既に成果があがっているシニア世代を採用してしまったゆえと。

露のIT技術者、すでに15万人が国外脱出…宇侵攻受け 国家競争力に長期打撃
https://news.nifty.com/article/world/korea/12329-1611998/

宇宙ステーションから「ロシアは撤退しない」 NASA長官が見解
https://www.asahi.com/articles/ASQ541R0NQ54UHBI001.html

ロシアは科学技術でも「孤立」するのか 歴史をひもとくと…
https://mainichi.jp/articles/20220506/k00/00m/030/082000c.amp

 戦争は長期化しそうな気配です。

 かつてのソ連は研究者を粛清してしまったちめに、一部の分野で長期に渡り低迷したと…。カンボジアのようです。

 一度根絶やしにすると、復活は難しい。

 日本でも、稼げる分野への集中により、研究を途絶えさせてしまうと、大きなしっぺ返しを喰らいます…。

How three Ukrainian scientists are surviving Russia’s brutal war
https://www.nature.com/articles/d41586-022-01272-3

第3回 教育未来創造会議 配付資料
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyouikumirai/dai3/gijisidai.html

大学生への給付型奨学金など支援改善へ 政府会議 提言まとめる
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220510/k10013620061000.html

「リケジョ」増加へ、中間層向け奨学金に上乗せ…「教育未来会議」提言
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20220509-OYT1T50228/

 重要提言出ました。

資料1-1:
我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について
(第一次提言)(案)概要(PDF/694KB)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyouikumirai/dai3/siryou1-1.pdf

資料1-2:
我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について
(第一次提言)(案)(PDF/539KB)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyouikumirai/dai3/siryou1-2.pdf

なぜ日本の「女性研究者」は先進国で目立って少ないのか 専門家が指摘する「3段階の課題」
https://news.yahoo.co.jp/articles/8f723491b6358f0bf992436de1f65a9bbd74d839

国民も真剣に考え始めた核議論と「変わらない」学術会議
https://sakisiru.jp/26716

 質が低い記事。学術会議への批判はあっていいと思いますが、せめて事実に基づいてほしいと思います。

桝 太一が聞く 科学の伝え方 - 株式会社東京化学同人
http://www.tkd-pbl.com/smp/book/b606252.html

 これは雑誌の連載をまとめたものですが、シニア男性ばかりということに批判が集まっています。

 残念ながら出版社の認識が不足していたかなと思います。

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.970 2022年5月11日号 巻頭言
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「低学歴国」百家争鳴

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         No.969 2022年5月4日号 巻頭言
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【巻頭言】
★「低学歴国」百家争鳴

2022年4月27日〜5月4日
カセイケン代表 榎木英介

 日経新聞が一面で大きく報じた記事が、波紋を広げました。

「低学歴国」ニッポン 革新先導へ博士生かせ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD122W50S2A210C2000000/

日経新聞「ニッポンは『低学歴国』」に異論百出
https://agora-web.jp/archives/2056278-2.html

 いろいろな人がいろいろな「ぼくのかんがえたさいきょうの」博士論を述べています。

 それ自体は良いことだと思いますが、いまだ使えない博士みたいな話が出たりと、がっかりさせられたりもします。

 ともかく、人材の活用は博士号取得者に限らず日本の大きな課題です。私たちのような弱小団体で何ができるか心もとないですが、情報発信は続けていきたいと思います。

‘I’m absolutely not a leak.’ Scientific careers aren’t a ‘pipeline,’ these economists say
https://www.science.org/content/article/i-m-absolutely-not-leak-scientific-careers-aren-t-pipeline-these-economists-say

 研究者のキャリアがパイプラインモデルではなくツリーモデルだと言われて久しいのですが、まだまだツリーモデルで考える人が多そうです。

 今回の「ぼくのかんがえたさいきょうの」博士論も、残念ながらパイプラインモデルで考えている人が多そうです。

科学技術振興調整費 成果報告書
科学技術政策提言 「研究者のノンアカデミック・キャリアパス
https://www.jst.go.jp/shincho/database/pdf/20031470/2004/200314702004rr.pdf

 先週お伝えした大学ファンド続報です。

世界トップレベルの研究成果を 「国際卓越研究大学」法案決定
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220225/k10013500591000.html

10兆円ファンド始動へ 大学を知識社会のエンジンに
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60485040S2A500C2CK8000/

懸念強く、丁寧な説明を
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60485100S2A500C2CK8000/

 衆院本会議を通過して参院に。

大学への不当な政治介入/宮本岳志議員 「チーム甘利」を告発/衆院委で法案可決| 「しんぶん赤旗
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik22/2022-04-28/2022042814_02_0.html

甘利明氏インタヴュー(2019年11月雑誌掲載)における五神真・前東大総長の発言引用について - Before- & Afterimages Blog
http://before-and-afterimages.jp/news2009/2022/04/21/%e7%94%98%e5%88%a9%e6%98%8e%e6%b0%8f%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%b4%e3%83%a5%e3%83%bc%ef%bc%882019%e5%b9%b411%e6%9c%88%e9%9b%91%e8%aa%8c%e6%8e%b2%e8%bc%89%ef%bc%89%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91/

 ここにきて甘利氏の関与の大きさが指摘されるようになっています。そして甘利氏と共に批判を浴びているのが、上村隆大氏です。

「10兆円ファンドで大学の転換を」 上山隆大氏に聞く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD07CGN0X00C22A4000000/

 上記記事内での発言も大学関係者を中心に疑問が投げかけられています。

運営費交付金の比重が下がった方が学問的な自由度も高まる

大学間の人の移動が極めて限られていることが、もっと大きな問題だ。ファンドで選ばれる大学は学部の規模を小さくして大学院の活動に特化し、学部教育をトップ研究大学以外の大学に譲るべきだ

 そんな大学ファンドですがが、申請を検討する大学、しない大学が明らかになってきました。

10兆円基金、4大学が申請へ 27校は検討、国立大調査 | 共同通信
https://nordot.app/893111864611880960

政府、科学技術立国の実現へ設置 10兆円基金、4大学申請へ  国立大調査、27校は「検討中」
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/848059

 もちろん多くの大学が検討中の段階ですが、「毒まんじゅう」でも「まんじゅう」に変わりがないと思う大学はどの程度いるでしょうか。

 こんな中、ZAITENが注目の特集を掲載。

東大・京大からFラン大学までが狂奔する資金獲得
【特集】大学と企業とカネ
http://www.zaiten.co.jp/article/2022/05/post-446.html

「稼げる大学」法案は政財界による大学支配

【特集】大学10兆円ファンドを主導する「学者政商」の正体
http://www.zaiten.co.jp/article/2022/05/10-3.html

企業人、役人、マスコミ人が〝大学教授〟に
【特集】客員・特任教授「実務家教員」のカラク
http://www.zaiten.co.jp/article/2022/05/post-448.html

 IDE現代の高等教育も注目の特集を掲載しています。

IDE現代の高等教育 NO.640 2022年5月号(5月1日発行) 「大学と科学技術政策」
https://ide-web.net/newpublication/blog.cgi?n=14&category=001

 経済安全保障推進法案の審議の行方と共に、日本の科学技術政策が転換点に立っていることは間違いないでしょう。

尾身氏「政府が納得しない」 夜の緊急招集、憤る専門家「話が違う」
https://www.asahi.com/articles/ASQ4W6GQVQ4VUTFL038.html

専門家たちで答えを絞れなくなった以上、政治の責任で選んでもらうしかないと尾身さんも考えている

だが

政府側は尾身氏に対し、選択肢の中から「正解」を示すよう事前に伝えてきた

説明足りぬ専門家、「不都合な意見」無視する政府 あるべき姿は
https://www.asahi.com/articles/ASQ523QV6Q4ZUTFL00D.html

 専門家と政治の関係の問題点が示されています。

原因不明の子どもの急性肝炎、新たに2人…海外で急増・12か国で169人報告
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20220428-OYT1T50232/

小児の原因不明の急性肝炎について(令和4年4月28日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25509.html

 非常に気になる状況。

IAEAは2月に行われた東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の安全性に関するレビューについて報告書を公表しました
https://www.meti.go.jp/press/2022/04/20220429002/20220429002.html

順調な大学院生活から一転、芸能の道へ “科学を楽しく届ける”俳優兼サイエンスコミュニケーターの挑戦 | 国内 | ABEMA TIMES
https://times.abema.tv/articles/-/10022353

 佐伯恵太さん。今注目のサイエンスコミュニケーターです。

NYU Defends Against Backlash Over Potential Hire
https://www.the-scientist.com/news-opinion/nyu-defends-against-backlash-over-potential-hire-69961

NYU administrators defend David Sabatini, challenge sexual harassment findings https://www.science.org/content/article/nyu-administrators-defend-david-sabatini-challenge-sexual-harassment-findings

 セクハラ(性不正)で解雇歴のある研究者がニューヨーク大学医学校に採用されそうになっている件が大きな批判を浴びていましたが、結局話は無かったことに。

Biologist accused of sexual harassment quits NYU job quest
https://www.science.org/content/article/biologist-accused-sexual-harassment-quits-nyu-job-quest

ロシア、国際宇宙ステーション運営から撤退表明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB303450Q2A430C2000000/

ロシア語「今こそ学ぶ意義」…学会が異例の声明
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20220502-OYO1T50009/amp/

 戦争が長期化し、ニュース自体は減ってきましたが、サイエンスに与える負の影響は深刻です。

尾身幸次さん死去 元財務相、群馬1区(上毛新聞)
https://news.yahoo.co.jp/articles/4c6f8e1b3d465be7530782a67b7d8a6338d8067e

 科学技術基本法の制定やOISTの設立、そして10月のSTSフォーラム(尾身さんのSTSと呼ばれていました)。稀有な「科学族」議員でした。ご冥福をお祈りいたします。

本土留学 政府に進路決められ…打ち砕かれた若者の夢
https://news.yahoo.co.jp/articles/f7346e3bab83d7992996e321d54cb4b7afad93a7

 本土復帰50年。研究者の運命も翻弄されました。

霞が関の外から政策を変える「起業家」たちの正体
https://news.yahoo.co.jp/articles/1ed664171b75265b911a3383fddb2bbce0a3c44b

 最近話題の「政策起業家」。今の時代政治家になるよりも政治家を動かし世の中を変えた方がいいのかもしれません。

在野の専門家は、政策実施の最前線での課題に精通しており、様々な政策アイデアを有している。国民への働きかけをする際も、国より自由度は高い。

弁護士・エンジニア・民間企業・社会起業家・研究者など、さまざまな業態に身置きながら社会課題・政策課題に携わる選択肢が増え、政策はフルタイムの公務員や職業ロビイストだけのものではなくなってきた。

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.969 2022年5月4日号 巻頭言
【発行】一般社団法人科学・政策と社会研究室
【制作・編集】サイエンス・サポート・エージェンシー合同会社
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