科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

理想と現実

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★発行部数 2,529部(8月18日現在)
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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.934 2021年8月18日号 巻頭言
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【巻頭言】
★理想と現実
2021年8月11日〜8月18日
カセイケン代表 榎木英介

 8月15日、アフガニスタンの首都カブール(正式にはカーブルと発音するようですが)がタリバンの手によって陥落し、政府が崩壊しました。

 飛び込んでくる衝撃的な映像に胸が痛みました。

 前近代が近代を負かしたという声も聞かれました。人権の擁護という価値観が普遍的ではないのか、それともタリバンは変わるのか…。

 情勢は変化しているのでこれ以上は述べませんが、ここであらわになったのが、理想を現実に落とし込むことの難しさです。


 ある種予想通り、新型コロナウイルス感染拡大は増えています。

 そして街には、ノーマスクの人たちが警戒感なく歩いています。

 どうすれば良いのでしょうか。

「脅しのメッセージ」は効かない…リスクコミュニケーションの専門家が語る今後の新型コロナ対策
https://www.fnn.jp/articles/-/225198

 早稲田大学政治経済学術院の田中幹人教授へのインタビュー。田中さんは我々にとっては旧知の存在。非常に重要な指摘がなされています。

 田中さんが政府に近いところにいて、相当苦労されていることはもれ聞いていますが、内側近くに入ったとしても、政府を動かすことは容易ではありません。

専門家のリスク評価、BSEの教訓生きず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA10BJ90Q1A810C2000000/

 「リスク評価」と「リスク管理」を分離する重要性が語られていますが、現状では達成される見込みはありません。

 それどころか、リスク評価者が政府を動かしている、政府はリスク評価者に従っているだけで、政府は被害者だ、とさえ取られかねない事態で、リスク評価者は暴漢に襲われる危険に直面するなど、あらゆる方向の不満、怒りの標的とされています。

 事態は悪化し、立ち止まる余裕もありません。理想はいくらでもいえますが、どう現実に落とし込めば良いのか…。

 あらゆる場面に理想と現実のギャップが立ちはだかります。武力、ロックダウンという「力技」は不可欠なのか…。交渉がどこまで粘れるのか…。考えさせられます。

ガラパゴス」スイスチーズモデル考
https://dadshonan.blogspot.com/2021/08/blog-post.html

 クリエイティブコモンズ、CC BY 4.0をめぐる問題です。

令和3年度「安全保障技術研究推進制度」応募状況及び新規採択研究課題
https://www.mod.go.jp/atla/funding/kadai/r03kadai.pdf

軍事応用研究、23件採択 防衛装備庁、予算101億円
https://www.chunichi.co.jp/article/309300

 今年の新規採択。大学からもいくつか通っています。

「科学技術指標2021(調査資料-311)」及び「科学研究のベンチマーキング2021(調査資料-312)」の結果公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/47926

 先週紹介したこの調査ですが、各種媒体で報道され続けました。

論文数は世界4位だが注目論文数は10位に後退 今年の「科学技術指標」
https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20210817_n01/

注目度高い論文数、中国が初の首位 日本は10位に転落
https://www.asahi.com/articles/ASP8C3TF8P87ULBJ00D.html

科学技術の研究開発費、米中との差がさらに広がる 博士号人材の登用進まず
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2108/12/news107.html

注目度高い論文数、中国が初の首位 日本は10位に転落
http://www.asahi.com/articles/ASP8C3TF8P87ULBJ00D.html

 中国の躍進は別の調査でも明らかに。

中国が「工学系大学ランキング」で急躍進、製造分野撤退の米国を追い抜く
停滞続く日本、もはや圏外
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/86049

 科学で先進国となった中国とどう対峙するのか。地理的にも近い私たちの取るべき道はなかなか難しいものがありますが、まずは現実を見つめることがスタートです。

University to review plagiarism claims against ‘China’s Dr Fauci’ Zhang Wenhong
https://www.scmp.com/news/china/science/article/3145119/university-review-plagiarism-claims-against-chinas-dr-fauci

 英雄が批判の対象に。中国の行動原理を理解しないと痛い目に遭いそうです。

東京港中央防波堤外側コンテナふ頭におけるヒアリの確認について
https://www.env.go.jp/press/109898.html

 新型コロナに隠れて大きくは報道されませんが、ヒアリの確認が相次いでいます。

入らない大学に入学金、変だ 問われる受験の「常識」
https://www.asahi.com/articles/ASP835RHGP7VUTIL04M.html

東大薬学研究棟で火災、1人けが 実験準備か
https://www.chunichi.co.jp/article/311647

東大研究棟で火災、1人軽症 実験用の薬品を保温中か
https://www.asahi.com/articles/ASP8H4CV6P8HUTIL00K.html

 Twitterで写真が回ってきて驚きました。

ノーベル賞受賞科学者ジェニファー・ダウドナの伝記、実写ドラマ化
https://eiga.com/news/20210814/22/

阪大、英語名称を商標登録出願…大阪公立大の表記に「紛らわしい」と反発
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20210818-OYT1T50089/

阪大が英語表記を商標出願 公立大との類似問題決着
https://www.chunichi.co.jp/article/312457

広島大がホームページに謝罪文掲載、特任助教ツイッターに差別文章投稿
https://www.nikkansports.com/general/news/202108120000303.html

 最近こうした「ヘイト」を公言する人が増えてきました。表現の自由との兼ね合いが難しいところではありますが、人に危害が及ぶような発言は許されません。

科学コミュニケーションに関する検討結果および行動指針の提言の発表
https://crds.jst.go.jp/dw/20210816/2021081629401/

良い時代なんてなかったよ…ロスジェネ世代最悪の44歳「手取り20万円以下が4割」の衝撃
https://news.yahoo.co.jp/articles/66ec579544d31c0f808b4b1022b7c0d9ffbd6f13

職が取れるのはいつ?そしてなぜ?~我々はいつアカデミアポストを取れるのか~
https://yoshiki-sato.blogspot.com/2021/08/blog-post.html

 厳しい状況。二十年前どころかオーバードクター問題の四十年前さえ思い起こさせます。

博士課程の学生のインターン創設へ…就職後押し、人気回復狙う
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20210814-OYT1T50153/

 研究職以外のキャリアに博士号取得者が進むことを、若い世代はだいぶ当たり前と感じるようになってきました。研究者優位という意識を変えるべきはシニア世代のように思います。

How I tackled post PhD imposter syndrome
https://www.nature.com/articles/d41586-021-02215-0

Women feel like imposters in disciplines that value ‘brilliance
https://www.sciencemag.org/careers/2021/08/women-feel-imposters-disciplines-value-brilliance

 ScienceとNatureにインポスター症候群(自分を過小評価してしまう)の記事が出ていました。

東大立花ゼミの誕生秘話
「二十歳のころ」を生み出した伝説のゼミはいかにして生まれたか
松田良一 東京理科大学教授
https://webronza.asahi.com/science/articles/2021081300005.html

 私も二十五年前、松田先生に誘われて立花ゼミのTAをやって今があります。

科学にどう向き合うか(上) 基礎軽視・技術偏重に危うさ
ジャンマルク・レビィルブロン ニース大学名誉教授
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74680280R10C21A8KE8000/

<ポイント>
○現在の科学進歩は古典的な理論が基盤に
○利潤追求第一の民間部門の影響力強まる
○科学者は科学の活動に関し広い視野持て

科学にどう向き合うか(下) 生活者の役割・関与 重み増す
佐倉統東京大学教授
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74715690S1A810C2KE8000/

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.934 2021年8月18日号 巻頭言
【発行】一般社団法人科学・政策と社会研究室
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最前線と後方の解離と「肌感覚」

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★発行部数 2,531部(8月11日現在)
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         No.934 2021年8月11日号 巻頭言
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【巻頭言】
★最前線と後方の解離と「肌感覚」
2021年8月4日〜8月10日
カセイケン代表 榎木英介

 まずは重要な報告書の公表です。

気候変動に関する政府間パネルIPCC)第6次評価報告書第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の公表について
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00694.html
https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210809001/20210809001.html
https://www.env.go.jp/press/109850.html

 気候変動は人為的なものであり、変化は今後百年から一千年の時間スケールで不可逆である、とされています。

 以下報道。

世界の気温、20年以内に「1.5度上昇」IPCC報告
http://www.asahi.com/articles/ASP895DN0P89ULBJ004.html

凶暴化する異常気象「速いスピードで悪化」 IPCC報告書の警告
https://mainichi.jp/articles/20210809/k00/00m/030/210000c

1.5度上昇で熱波の頻度8.6倍 気候危機が現実に
http://www.asahi.com/articles/ASP896SJPP89ULBJ003.html

Code red for humanity, UN climate report warns
https://www.scidev.net/global/news/code-red-for-humanity-un-climate-report-warns/

IPCC climate report: Earth is warmer than it’s been in 125,000 years
https://www.nature.com/articles/d41586-021-02179-1

Global Temperatures to Top Paris Agreement Limit by 2060: Report
https://www.the-scientist.com/news-opinion/global-temperatures-on-track-to-exceed-paris-agreement-limit-by-2060-report-69069

 こうした危機を強く感じているのは、今後数十年生きる若者たちです。

グレタさん「勇気を持ち、科学的に意思決定を」国連温暖化報告受け
https://mainichi.jp/articles/20210809/k00/00m/030/250000c

 この構図は、新型コロナウイルスに対峙する社会にも言えるでしょう。

 気候変動も新型コロナも、全ての人に均一に影響があるわけではありません。だからこそ、人々の感覚が全く異なります。そしてその感覚が優先されてしまう…。人は「肌感覚」で物事を判断するからです。

 最前線の逼迫は色々なところから聞こえてきますが、道を歩いていても見えません。後方にいる少し余裕のある医師から、楽観的な言葉が聞かれます。

「イベルメクチンさえ投与できれば」
「5類にすれば」

 七十六年前もきっと同じだったのでしょう。

 最前線で兵士が悲惨な戦いをしていても「銃後」には届かず、勇ましい声ばがり聞かれる…。戦争の実態を庶民が知るのは、空襲や物資の不足が深刻化してから。

 東京オリンピックは終わりました。確かに様々な競技が開かれ、順位を競う姿は心躍るものがありました。私もいくつかの競技を見てそれなりに心動かされました。

 一方で、失ったものも多いと思っています。それは「信頼」です。

Japan’s COVID-19 Strategy Relied on Trust. Holding the Olympics Shattered It at the Worst Possible Time
https://time.com/6088006/japan-olympics-covid-19/

菅政権の言葉、国民に響かず 情報発信に「失敗」専門家が代弁
https://www.tokyo-np.co.jp/article/122191

 信頼を失った政府の言葉は届かず、友人、知人、家族、親戚が感染し、亡くなる人が出てくるような「肌感覚」で危険と分かる状況になるまで、人々の行動は変わらないかもしれません。

新型コロナの起源、武漢研究所流出説について知っておきたいこと
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00292/070600021/

新型コロナウイルスは「中国から流出」と断定した、米報告書の「驚くべき内容」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/85956

 研究所からの流出説は勢いを増してきました。

★「科学技術指標2021(調査資料-311)」及び「科学研究のベンチマーキング2021(調査資料-312)」の結果公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/47926

 恒例の調査公表。公表されるたびに日本の研究の「衰退」が言われます。そして中国の「躍進」です。

中国AI研究、米を逆転 論文の質・量や人材で首位
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC134R40T10C21A7000000/

中国論文、質でも米抜き首位 自然科学8分野中の5分野
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC05A1O0V00C21A8000000/

中国論文、質でも首位
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74672240R10C21A8MM8000/

中国、科学大国世界一を視野 米国の競争力基盤揺るがす
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC103PJ0Q1A810C2000000/

中国が科学論文の質で世界一になった理由は?
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODL107VL0Q1A810C2000000/

中国AI研究、米を逆転
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74616190Y1A800C2MM8000/

日本の大学の約半数が前年より順位が低下、2022年版QS世界大学ランキング
https://dime.jp/genre/1193266/

 中国が日本の技術を盗んでいる、それは日本が中国より進んでいるからだ…。

 こうした認識が政策の前提のようです。

北村滋(64)前NSS局長 退任後初インタビューで語った「日本学術会議への疑念」
https://bunshun.jp/articles/-/47688

 情報機関のトップを務めた方の認識が、ネット右翼や読売新聞と同じとは…。逆に考えれば、ここが誤った認識の源流かもしれません。

 現状では、中国に渡った日本人研究者の方が、中国から「技術を盗みにきたスパイだろう」と言われかねない差があるわけです。

“10兆円”大学ファンドの船出 日本の大学衰退を救えるか
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210805/k10013182741000.html

 正確な現状認識から適切な対策が立てられるわけで、例えば日本の研究の現状を「選択と集中が足りないからだ」と認識してしまえば、あらぬ方向に行きかねません。

Chinese students fight back against visa rejections
https://science.sciencemag.org/content/373/6555/608.full

 中国とアメリカの争いも単純なものではなく、様々な思惑が交錯しています。

 単純な世界観で誤った方向に向かいかねない日本の科学技術政策に大きな懸念を抱いています。

Taliban’s rise puts polio eradication in danger
https://science.sciencemag.org/content/373/6555/605.full

 アフガニスタン情勢。タリバンがワクチン接種を拒否しているため、あと少しのポリオ根絶に障害が。

内閣府オープンイノベーションチャレンジ2021の募集開始について
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20210806oic.html

ネットアンケート「あなたはどう思いますか?研究のためのヒト受精卵の作成」 
https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/life/questionnaire.html

科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術・イノベーション会議有識者議員との会合
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20210729_2.html

議題

第6期科学技術・イノベーション基本計画を踏まえた女性研究者の活躍促進に向けた取組について

総合科学技術・イノベーション会議有識者議員懇談会
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20210729_1.html

議題

世界と伍する研究大学専門調査会中間とりまとめ及び大学ファンド資金運用WG運用の基本的考え方について

令和3年度国立大学法人運営費交付金の重点支援の評価結果について
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/1417263_00002.html

令和5年度科学研究費助成事業(科研費)の公募から適用する「審査区分表(内容の例)」等に関する意見募集について(令和3年8月6日~9月5日)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/1385136_00002.htm

外来生物対策の今後のあり方に関する提言」について
https://www.env.go.jp/press/109867.html

「知的財産推進計画2021」の策定に向けた意見募集の結果について
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/chizaikeikaku2021_iken_kekka.html

S20及びSSH20共同声明2021(英語版)
S20 Joint Statement(PDF形式:281KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-25-gs2021-5.pdf

SSH20 Joint Statement(PDF形式:229KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-25-gs2021-6.pdf

Talking to science deniers and sceptics is not hopeless
https://www.nature.com/articles/d41586-021-02152-y

As Plan S Takes Effect, Some Anticipate Inequitable Outcomes
https://www.the-scientist.com/news-opinion/as-plan-s-takes-effect-some-anticipate-inequitable-outcomes-69058

The h-index is no longer an effective correlate of scientific reputation
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0253397

Errors in genetic sequences mar hundreds of studies
https://www.nature.com/articles/d41586-021-02136-y

Science ‘lost in translation’ in Africa
https://www.scidev.net/global/podcast/science-lost-in-translation-in-africa/

 ポッドキャスト。「英語帝国主義」への反撃。

就職氷河期はメンバーシップ型雇用が生んだのか
https://news.yahoo.co.jp/articles/a050a04f72d9be5dda13c5a1e15fa3e3a4579729

 ジョブ型、メンバーシップ型という言葉を生み出した濱口桂一郎氏。

濱口 粗雑な言い方になりますが、若者からすればジョブ型は損で、メンバーシップ型は得です。ただし、就職氷河期では損をします。

 逆に中高年にとっては、ジョブ型は得で、メンバーシップ型は損です。なぜなら、経験を積み重ね、いろんなことができるようになっているはずなのに、メンバーシップ型の雇用システムでは年齢だけで他の企業へ転職しにくいからです。

I’m a scientist and mother. When I lost my job during the pandemic, I almost gave up
https://www.sciencemag.org/careers/2021/08/i-m-scientist-and-mother-when-i-lost-my-job-during-pandemic-i-almost-gave

Over the baby bump
https://science.sciencemag.org/content/373/6555/710.full

 新型コロナウイルスの影響を受け、危機に陥った研究者の話。

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感染防止と博士と「ドーダ!」

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【巻頭言】
★感染防止と博士とドーダ!
2021年7月28日〜8月3日
カセイケン代表 榎木英介

 新型コロナウイルスデルタ株の感染拡大が続いています。

新型コロナウイルス感染症対策本部(第 71 回)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/sidai_r030730.pdf

 このメルマガを発行する8月5日あたりには、東京で新規感染者五千人を超えることになると思います。

西浦博教授が描く「私が最も恐れ、怯えているシナリオ」の“中身”
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/85823

How the coronavirus infects cells - and why Delta is so dangerous
https://www.nature.com/articles/d41586-021-02039-y

 残念ながら人々はもはや行動を制限することに消極的であり、しばらくは感染拡大が止まることはないでしょう。

 特に10代、20代の若い人たちは、ワクチンがないのにワクチン忌避と責められ、感染拡大の責任を押し付けられています。いくら医療機関の惨状や感染した後の苦しみを説明しても、「なぜ自分たちばかり負担を強いられるのか」という気持ちでしょう。

 感染したら悲惨というならば、交通事故だって悲惨だし、そうなったら運が悪かったで済ますしかない、と思っても仕方ありません。後遺症等の危険はありますが、感染しても若者は死ににくいのです。

「運が悪けりゃ死ぬだけさ」(男達のメロディーby SHOGUN

 こうしたなか、どうすれば良いのか。

 大学にもなかなか行けず、責め立てられ続けている若者達に感謝の気持ちを述べ、協力をお願いするしかありません。「若者が悪い」と言いたくなる年長者の気持ちは分からないではありませんが…。

 特に就職氷河期世代は、ファイザー・モデルナ、ビオンテックワクチンが高齢者に接種されて足りなくなり、血栓形成という副作用がやや高いアストラゼネカ社のワクチンが用意され、かつ感染したら若者よりよほど死亡する可能性が高い状況での感染拡大で、その世代的不運を呪いたくなる気持ちは同世代として痛いほど分かります。

 高齢者逃げ切り、若者は自由な行動、その狭間で死にゆく世代…。

 だから生き残るために若い人たちに頭を下げ、感謝を表明し、どうかお願い、と言わなければなりません。上の世代の「近頃の若者はなっとらん」の声に「まあまあ、そう言わず」と言わなければなりません。

 とにかく今は生き残ることが全てです。

「令和3年版厚生労働白書」を公表します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19957.html

 厚生労働白書も新型コロナウイルスにページを割いています。

アカデミアを離れてみたら
博士、道なき道をゆく
学術界から「外」に出た博士たちは、何を感じ、どう生きているのか。21人が実体験を語りつくす。
https://www.iwanami.co.jp/book/b587780.html

 さて、8月4日、私(榎木)があとがきを書いた本が出版されました。

 博士号を持った人たちの多様なキャリアパスの実例を、当事者が語るという本です。

 こうした本は例えばリバネスなどが出していますが、ロールモデルは多数あって良いと思っています。イチオシです。どうか手に取ってください。

 博士のキャリアパス問題は、高学歴者が増えたという世界的現象の一部です。

進化人類学者ピーター・ターチン「社会が不安定化するのは、高学歴者が増え過ぎたから」
https://courrier.jp/news/archives/255298/

 この文章とは直接的には外れますが、水戸の天狗党の乱など、不遇感を持ったエリートが起こす反乱というのは以前から知られていました。鹿島茂さんはこれを「ドータ」理論で説明しています。

人間は「ドーダ!」という動物である──1920年代のパリで蕩尽した日本の「消費芸術家」たちを描いた鹿島茂さんに聞く
https://www.gqjapan.jp/life/business/20120601/historyofextravagance

 人間はドーダ!すごいだろうと言いたい「認知欲動」を持っており、不遇なエリートはそれが満たされないから、色々行うという訳です。

 今で言うと、逆張り、異説を唱えるインフルエンサーにそれが見て取れるような気がします。

 博士号取得者のキャリア問題は、「頭が硬い」「柔軟性がない」「贅沢だ」など、罵詈雑言を浴びせられ続ける問題です。私自身、20年の活動の中で何度も言われました。

 これは実は危険な状態だと思っており、九州大学で起きた放火自死事件は、自身に破壊行為が向かった事例ですが、これが外に向かったらテロなどにつながりかねないとも思っています。

 だからこそ、多様なキャリアパスを「ドーダ!」と言わせて欲しいのです。

 アカデミアに残れない落ちこぼれ…。私も散々言われてきましたが、そうではない。

 博士号を生かして社会の中で役立っている。ドーダ!

 そう言わせてください。別に害はないと思いますし、その通りだと思うのです。

 それが社会の不安定要因を取り除くことにもなるのですから…。

(パブリックエディターから 新聞と読者のあいだで)本音で語る場、新聞が設けて 小松理虔
https://www.asahi.com/articles/DA3S14981058.html

 発信することが奨励されていますが、発信できない人の声を「受信」することも重要だと思います。若者は今、上の世代から叩かれることを恐れて発信していないと言います。

 だからこそ無言で感染を無視するという行為を行なっている訳です。いわゆる「立ち去り型サボタージュ」です。

 そういう声をこちらから聴きに行くことは、もっとやっていくべきだと思っていますし、若者を称えることで「ドーダ感」を刺激することも重要だと思うのです。笑い事ではなく。

「日の丸半導体」の幻影
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA261FO0W1A720C2000000/

 決して昔の護送船団方式ではなく「勝者連合」になるという話。

カーボンニュートラル達成に貢献する大学等コアリション」の設立について
https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210729001/20210729001.html
https://www.env.go.jp/press/109833.html

「ウナギの国際的資源保護・管理に係る第14回非公式協議」の結果についての共同発表について
https://www.jfa.maff.go.jp/j/press/sigen/210727.html

次期生物多様性国家戦略研究会報告書の公表について
https://www.env.go.jp/press/109834.html

大学10兆円ファンドの「賭け」 米欧と資金差、改善探る
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA191VI0Z10C21A7000000/

[差替]資料4:「パンデミックと社会に関する連絡会議」の設置の背景と趣旨(PDF形式:286KB)
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/pdf25/siryo314-renraku-pandemic.pdf

 日本学術会議

研究インテグリティの確保に係る取組みに対する意見
http://www.keidanren.or.jp/policy/2021/066.html

75万人登録のユーチューバー 物理研究から転身のわけ
http://www.asahi.com/articles/ASP7X5Q56P7KUTIL039.html

 これも多様なキャリアパスですね。

科学の森:子どもに楽しい科学体験を 「科学読物研究会」50年超の活動 - 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20210729/ddm/016/040/010000c

 50年はすごいです。

司法解剖検査料水増しに加担 認めた講師を解雇 近畿大
https://www.asahi.com/articles/ASP7Y663PP7YPTIL02Z.html

 知っている方です。複雑な思いです。

HeLa細胞提供の黒人女性遺族、製薬大手提訴へ フロイドさん事件弁護士と
https://www.afpbb.com/articles/-/3359273

皆「科学的根拠」を勘違いしている
https://webronza.asahi.com/science/articles/2021072700002.html

 重要な指摘。

「顧みられない病気」の治療薬を、DeepMind人工知能で見つけ出す
https://wired.jp/2021/08/01/deepmind-alphafold-protein-diseases/

AIツールがパンデミックで「役立たず」に終わった理由
https://www.technologyreview.jp/s/252298/hundreds-of-ai-tools-have-been-built-to-catch-covid-none-of-them-helped/

 有料部分に、例えば重症病院で使われていたフォントを重症化の兆候として拾ってしまったという例が出ています。注意すべきことが多いですね。

崩れたシナリオ、
中国人教授を狙い撃ちにした
FBI捜査はどこで誤ったか
https://www.technologyreview.jp/s/249047/what-a-collapsed-trial-says-about-us-claims-of-chinese-high-tech-spying/

U.S. visa rejections shattered Chinese students’ dreams. Now, they’re fighting back
https://www.sciencemag.org/news/2021/07/us-visa-rejections-shattered-chinese-students-dreams-now-they-re-fighting-back

孔子学院」閉鎖、米で続々…「中国の宣伝機関」と批判
https://www.yomiuri.co.jp/world/20210729-OYT1T50511/

 米中関係。アメリカもちょっと前のめりになりすぎている感じがします。日本は…。

China names top computer scientist as head of education ministry
https://www.scmp.com/news/china/politics/article/3143557/china-names-top-computer-scientist-head-education-ministry

 中国の有馬朗人氏のような存在でしょうか。

【寄稿】博士を大量に輩出しても遠い知識大国
https://news.yahoo.co.jp/articles/078dc4b28459b9242c1bb3582a1c874f93467306

【寄稿】論文盗作の「ニセ博士」をなくしてこそ韓国は先進国になれる
https://news.yahoo.co.jp/articles/f033fe622ffb06a0df09bfce34e305d2f9e2200c

 韓国。

日本の研究資金助成に関する課題認識調査
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfc9RTtP20T-Gu51CK2VpqI8-aU0lAoxYEKtbL7oPdvCVmq5g/viewform

大学院生のキャリアセンター利用率は8割、研究に理解のあるカウンセラーや大学院生対象の支援拡充が必要 ―アカリク会員へのキャリアセンター利用実態調査結果
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000017667.html

「ジョブ型」時代、大学院で規範的判断力育てよ
宮田一雄・元富士通シニアフェロー
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD252C40V20C21A7000000/

 人文系大学院出身者が経営陣に少ないことが、日本の停滞の一因ではないかという論考です。

益川敏英さん死去、81歳 2008年ノーベル物理学賞
http://www.asahi.com/articles/ASP7Y6GFFP7YULBJ00Z.html

 ご冥福をお祈りいたします。一度お会いしたことがあります。

初の理系出身長官が誕生! 財務省における「東大法学部卒」支配の終焉
https://news.yahoo.co.jp/articles/490953c5715870cca32db1beeeed38fe718253b6

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.933 2021年8月4日号 巻頭言
【発行】一般社団法人科学・政策と社会研究室
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人を動かすものは何か

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         No.932 2021年7月28日号 巻頭言
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【巻頭言】
★人を動かすものは何か
2021年7月22日〜7月27日
カセイケン代表 榎木英介

 最初はお知らせから。

★科学 2021年8月号
https://www.iwanami.co.jp/book/b588079.html

【特集】 つくりだされる〈安全〉

 カセイケン代表榎木が寄稿しています。

「安全保障」をめぐる極論が日本の基礎研究の危機を覆い隠す
 ――読売新聞「千人計画」報道の問題から……榎木英介

 読売新聞の報道の問題点はYahoo!ニュース個人を含め、いくつかの媒体に書き続けています。

 これは決して反読売新聞というわけではなく、正確な報道をしてほしいという願いからです。

 私の記事の効果がどの程度あったのかは分かりませんが、読売新聞は一連の千人計画の記事を「新聞協会賞」には提出しなかったとのことです。

2021年度新聞協会賞応募作品一覧
https://www.pressnet.or.jp/about/commendation/pdf/workfile04.pdf?20210709

 一連の報道が、一部の人々に、中国に渡った研究者を脅迫するという行動を引き起こしています。これは非常に重大なことです。

 中国をめぐっては、アメリカとの関係(デカップリング)を含め微妙な段階にあるのは事実です。

★US Moves to Drop Visa Fraud Charges Against Chinese Researchers | The Scientist Magazine®
https://www.the-scientist.com/news-opinion/us-moves-to-drop-visa-fraud-charges-against-chinese-researchers-69021

中国人研究者のビザ不正、米司法省が訴追取り下げ - WSJ
https://www.google.co.jp/amp/s/jp.wsj.com/amp/articles/u-s-drops-visa-fraud-cases-against-five-chinese-researchers-11627086231

 アメリカでも強硬論と、やりすぎだという状態を行きつ戻りつしているような状態で、微妙な時期だと思います。

★ファウチ氏のメール記録からSARS-CoV-2の起源について分かっていること|SARS-CoV-2起源情報局|note
https://note.com/lab_leak_japan/n/n4dae70a83d33

【社説】「研究所流出説」否定派に利益相反 - WSJ
https://jp.wsj.com/articles/anthony-fauci-rand-paul-and-wuhan-11627360027

 これも中国警戒論の原因の一つです。

 流出説の問題はきな臭い感じになっていますが、オープンに、フラットに議論が尽くされ、調査がなされることを願います。

 ただ、繰り返しになりますが、ウイルスを流出させた国、ウイグルチベット、香港に人権弾圧を加える国に協力している日本人は売国奴であり、人権侵害してもOKという論理に何ら正当性はありません。

★女性の科学技術研究者の活躍促進する16項目の支援措置発表(中国) | ビジネス短信 - ジェトロ
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/07/bf2b9474525f9c69.html

★私達も見習いたい…大学院に問い合わせしてくる中国人学生 凄まじい ″熱意″ と ″本気度″ に驚かされる - ライブドアニュース
https://news.livedoor.com/lite/article_detail/20594252/

 中国の科学に関して、様々な情報が入ってくるようになっています。

 こうした報道が人々の心理のどのような影響を与えるのか、非常に難しい問題で、ぜひ心理学者の意見を聞いてみたいなと思ったりもします。

 与党政治家の大物、日本で最も発行部数の多い新聞が、「仮想敵」のような報道を続けることで、誹謗中傷や強迫行為などを誘発しているのではないかと危惧しており、それゆえ、冷静になってほしい、正確な報道をしてほしいと記事を書き続けてるわけです。

 心理といえば、オリンピックに対する人々の態度です。オリンピックが始まってしまえば、色々面白いこともあり、関心を持ってしまうのは当然ではあります。

★大番狂わせ 無名の研究者が金メダル 自転車女子ロード
https://mainichi.jp/articles/20210725/k00/00m/050/360000c

自転車ロード女王は数学博士 競技歴7年のノーマークの30歳アマ - ロード - 東京オリンピック2020
https://www.nikkansports.com/m/olympic/tokyo2020/road-cycling/news/202107260000173_m.html

Austria's Anna Kiesenhofer wins shock cycling gold in women's road race
https://olympics.com/tokyo-2020/en/news/austria-s-anna-kiesenhofer-wins-shock-cycling-gold-in-women-s-road-race

 数学のポスドクが金メダルというニュースは、SNSのタイムライン上でも盛り上がった話題です。スポーツと「知性」の関係を考えさせる話題でもあります。

 それはともかく、報道を見ると、爆発的な拡大を続ける感染者数への危機感と、オリンピックでメダルという明るい報道が同居しており、これが人々の心理にどのような影響を与えるのか危惧しています。

★「五輪で『楽観バイアス』 緊急事態宣言 意味なさなく」専門家
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210728/k10013165771000.html

 オリンピックを観戦するために人々が家でテレビを見ているという効果と、オリンピックやるくらいだから大丈夫だと外出する効果と、複雑な要素が絡み合い、オリンピックと感染拡大の関係を「バッサリ」切ったり、「はい論破!」などと言うことは、現時点で難しいと思います。

 とはいえ街に出れば、ノーマスクで酔っ払う人々を多く見るわけで、もはや「自粛」が効果がないというのも明らかのように思います。

 政府への信頼、専門家が表に立たされ叩かれたことによる専門家への信頼などの欠如も相まって、非常に厳しい状況であると言えましょう。

 心理学の方々には、効果的な方法をぜひ教えていただけたらと思うのですが…。

スタンフォード監獄実験にもちあがった“ねつ造疑惑” 「人間はたやすく邪悪な存在に変わる」説は本当か?
https://news.yahoo.co.jp/articles/e809e9ffb0e9db13934e18066bdfa0d7

 近年心理学における「再現性の危機」やp-hackingの問題などが取り沙汰されています。

★心理学の7つの大罪
真の科学であるために私たちがすべきこと
https://www.msz.co.jp/book/detail/08788/

★Why Bad Science Is Sometimes More Appealing Than Good Science - Scientific American
https://www.scientificamerican.com/article/why-bad-science-is-sometimes-more-appealing-than-good-science/

 もちろんそれは生命科学など他分野にも言えることであり、心理学だけの問題ではありません。

★8% of researchers in Dutch survey have falsified or fabricated data
https://www.nature.com/articles/d41586-021-02035-2

★東大の担当者もびっくり、猫の治療薬開発に寄付殺到…総額1億2千万円突破 : 科学・IT : ニュース : 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/science/20210720-OYT1T50077/

ネコ救いたい…東大に寄付殺到 「腎臓病薬開発に」2週間で1.4億円:時事ドットコム
https://www.jiji.com/sp/article?k=2021072701008&g=soc cd91f491

 この猫の腎臓研究ですが、こんなにも寄付が殺到するというのも、人々の関心、心理から考えられることだと思います。

 しかし、人々の関心を惹くことを競うことはとても重要ですし、私たち自身も日々それをやっているわけですが、広告塔、見栄えの良い被害者、みたいなわかりやすいアイコンを使うことに落とし穴があるように思います。

★米国の2020年の平均寿命、1.5年短くなる コロナ影響で(AFP=時事) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/66e8a3f3b90e76f2069d2b5246c46d93a9e2f1b4

US life expectancy in 2020 saw biggest drop since WWII
https://apnews.com/article/science-health-coronavirus-pandemic-fac0863b8c252d21d6f6a22a2e3eab86

4月の「超過死亡」 19都道府県で増加 コロナ感染拡大の影響か | 新型コロナウイルス | NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210722/k10013153411000.html

 コロナは死ぬ運命の人の死に方が変わるだけだから放って置いても良い、という方々が根強い支持を集めていますが、決してそう楽観できるものではないということです。

★A few lucky researchers return to the field
https://science.sciencemag.org/content/373/6553/374.full

 新型コロナウイルス感染拡大がフィールド研究に与えた影響も大きいです。

★総合科学技術・イノベーション会議 第7回 世界と伍する研究大学専門調査会
https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/sekai/7kai/7kai.html

議題

(1)大学ファンド資金運用ワーキンググループからの報告
  伊藤 隆敏氏(コロンビア大学国際関係公共政策大学院 教授、政策研究大学院大学 特別教授)
(2)中間とりまとめ案について

大学ファンド運用、株65%債券35% 運用益3%を支援に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE2315H0T20C21A7000000/

大学を世界トップの研究基盤へ“経営に自由裁量を“政府調査会
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210727/k10013163891000.html

 大学をめぐって様々な「改革」に関する議論が進行しています。全てを否定する訳ではありませんが、現状の冷静な分析と反省が必要であり、その辺りは注視していないといけません。

★日本代表の高校生15人全員がメダル獲得…数学・物理・生物学の国際オリンピック(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/a95352b24c8995716dd52cb486a538b6746deb6a

【快挙】国際数学オリンピックで日本代表全員のメダル獲得(金1銀2銅3)が決定「ガチで凄い」「もっと大きく報道して欲しい」 - Togetter
https://togetter.com/li/1749555

国際数学オリンピック参加生徒の成績及び文部科学大臣表彰受賞者等の決定について
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2021/1419630_00001.htm

国際物理オリンピック参加生徒の成績及び文部科学大臣表彰受賞者等の決定について
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2021/1419630_00003.htm

国際生物学オリンピック参加生徒の成績及び文部科学大臣表彰受賞者等の決定について
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2021/1419630_00004.htm

 夏恒例の科学オリンピック。素晴らしいことだと思いますが、日本が決して国別の上位にいる訳ではありません。毎年言っていますが、こうした大会に出る生徒が有名進学校の子供たちばかり(もちろんそうでない生徒もいます)という課題も忘れてはいけないと思います。

★G20環境大臣会合及び気候・エネルギー大臣会合の結果について(速報版)
https://www.env.go.jp/press/109813.html

★気候変動の国連IPCC、作業部会が開幕…熱波・干ばつの予測など報告書承認へ
https://www.yomiuri.co.jp/science/

気候危機に立ち向かう IPCC7年ぶりの報告書公表へ
http://www.asahi.com/articles/ASP7V7K8RP7QULBJ006.html

温暖化ガス削減、産業37%・家庭66% 政府30年度計画案
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA251PG0V20C21A7000000/

エネルギー基本計画改定案 骨子
https://mainichi.jp/articles/20210722/ddm/001/010/144000c

★子供向け学習図鑑は日本独自に発展「他国の同類書籍を見たことない」
https://news.yahoo.co.jp/articles/a0d973567d951ab57177335958ed3f51254ae9b2

 図鑑にはお世話になりました。

★Predictions of Most Human Protein Structures Made Freely Available
https://www.the-scientist.com/news-opinion/predictions-of-most-human-protein-structures-made-freely-available-69018

 構造生物学関係の方々に大きな話題となっています。

タンパク質立体構造予測プログラムAlphaFold2の非専門家向け活用法 第1回「予測の良し悪しの判断」
https://note.com/hattorim2/n/nb83996a5ec98

AlphaFold2の非専門家向け活用法 第1.5回「予測の良し悪しの判断(補足と情報更新)」
https://note.com/hattorim2/n/na21fcd92be2e

AlphaFold2の非専門家向け活用法 第2回「予測構造を元にいろいろ考察してみる(実践編)」
https://note.com/hattorim2/n/nec9a88813ad4

 なお、この上海老師さんが、千人計画参加者として脅迫された人です。

中国の構造生物学の躍進と基盤施設の現状
https://note.com/hattorim2/n/na26268882391

 こうした優れた人材を、誤った情報で潰そうとする動きには断固反対していきたいと思います。

★物理学者のワインバーグ氏死去 1979年ノーベル賞受賞
https://www.chunichi.co.jp/article/297612

ティーブン・ワインバーグ氏死去 88歳 79年ノーベル物理学賞 - 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20210725/k00/00m/030/218000c

素粒子の理論に大きく貢献、米国のワインバーグ氏が死去 http://www.asahi.com/articles/ASP7T3CQGP7SULBJ004.html

 巨星墜つ。ご冥福をお祈りいたします。

★Scientists - reach across the aisle, Republicans could be back soon
https://www.nature.com/articles/d41586-021-02046-z

 科学が政治的な動きに絡むのは重要ですが、政権交代が起こると問題が生じるという記事。難しい問題です。

★もろい日本の「知」の基盤:“高学歴ワーキングプア”非常勤講師の現状から見る大学のいま
https://news.yahoo.co.jp/articles/891de372b50efa99286583e22351b29b6fd2fe83

 改善がみられない非常勤講師問題。

いとうまい子 45歳で大学入学、今は大学院博士課程で抗老科学を研究中
https://news.yahoo.co.jp/articles/f4a4ad2cfc6f251654fec22b04b4a1e63af2ac05

★米名門大の修士号、高給は約束されず - WSJ
https://jp.wsj.com/articles/financially-hobbled-for-life-the-elite-masters-degrees-that-dont-pay-off-11627008235

★For those we've lost
https://science.sciencemag.org/content/373/6553/462.full

Why I stopped hiding my chronic illness from my colleagues
https://www.sciencemag.org/careers/2021/07/why-i-stopped-hiding-my-chronic-illness-my-colleagues

 病気と研究。病気で研究を去った知人たちの顔が浮かびます。

★Responsible research assessment faces the acid test
https://www.nature.com/articles/d41586-021-01991-z

 リバプール大学でレイオフ。Natureが社説で懸念を示しています。

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[SciCom News] No.932 2021年7月28日号 巻頭言
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