科学・政策と社会ニュースクリップ

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菅政権発足、選択と集中と財務省

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         No.888 2020年9月22日号 巻頭言
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【巻頭言】
★菅政権発足、選択と集中財務省
2020年9月15日~2020年9月22日
カセイケン代表 榎木英介

 菅政権が発足しました。

安倍内閣は総辞職しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202009/16soujisyoku.html

閣議の概要/副大臣及び大臣政務官の人事について
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202009/18_p.html

菅総理は初大臣政務官会合に出席しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/18seimukan.html

菅総理は初副大臣会議に出席しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/18fukudaijin.html

菅内閣 大臣政務官名簿を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/meibo/seimukan.html

菅内閣 副大臣名簿を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/meibo/fukudaijin.html

菅総理は次官連絡会議に出席しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/18jikankaigi.html

菅内閣 閣僚等名簿を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/meibo/index.html

 科学技術担当大臣は井上信治議員。
http://www.inoue-s.jp

 相変わらず科学技術担当大臣は他と合わせてはワンオブゼムの職ではあります。

内閣総辞職及び新たな政権発足についての会見を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202009/16bura.html

菅内閣が発足しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/16suganaikaku.html

閣議の概要について
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202009/16_p.html

内閣総理大臣談話を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/discourse/20200916danwa.html

基本方針を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2020/0916kihonhousin.html

閣僚等名簿の発表について
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202009/16_m.html

衆参両院にて菅義偉議員が、伊藤博文初代内閣総理大臣から数えて第99代目の内閣総理大臣として指名されました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/16shimei.html

内閣総辞職に当たっての内閣総理大臣の談話を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/discourse/20200916danwa.html

行政改革目安箱(縦割り110番
https://www.taro.org/kaikaku110

 河野行革大臣が自身のサイトに作った目安箱。スピードは評価したいですが、私的サイトに届いた文書の管理がどうなるのか気になります。

 イノベーション重視だった安倍政権の科学技術政策をおそらく踏襲するものと思いますが、菅政権の科学技術政策をしっかりウォッチしていきたいと思います。

★プロジェクトマネージャー決定のお知らせ(ムーンショット目標1、2、3、5、6)
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200918moonshot.html

第2回 ムーンショット型研究開発制度に係る戦略推進会議
https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/senryakusuishin/2nd/2nd.html

ムーンショット型研究開発事業におけるプロジェクトマネージャーの決定について
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1450/index.html

 安倍政権の科学技術政策の目玉であったムーンショット。プロジェクトマネージャーも決まり動き出しました。

 色々思うところはありますが、決まった以上良い成果をあげることを願っています。

★東大が中国勢より下位に…上海の研究者が見た、大学ランキング・日本「一人負け」の原因
中国の参考にできるところは参考に
https://bunshun.jp/articles/-/40293

 上海の復旦大学教授の服部 素之さんの論考。選択と集中により基礎研究の「裾野」が狭くなったことを指摘しています。

以上をまとめると、私の提案としては「各研究室への校費の額を回復させる」「大学院生への経済支援を拡充し、学生さんが安心して大学院進学できる環境を提供する」「共通機器整備制度の拡充により、研究室単位で高額機器を買わなくても研究できる体制を整える」というものだ。

 これらがもし実現すれば、日本の多くの大学における研究の裾野は大きく広がり、日本の大学、特に地方の大学が再び元気を取り戻すことにつながると信じている。

 非常に賛同するところがあります。文科省も博士課程の学生の経済支援を概算要求するようです。政府若手支援を全面に押し出し始めたのは、安倍政権末期のことでした。

文部科学省 博士目指す学生への経済的支援を概算要求へ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200919/k10012625851000.html

 若手に重点を置きすぎて、若手でなくなったときに露頭に迷う問題は解決していませんが…。

 多くの人が勘違いしているようですが、問題は財務省です。文科省財務省とひっくるめて捉えるのは間違っていると思います(文科省の政策に全面的に賛成というわけではありませんが)。

財政制度分科会(令和元年11月1日開催)提出資料
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20191101.html

 ただ、財務省を動かすためにどうすれば良いか…。記事を書いても本を書いても、敵扱いしても財務省には届きません。

★科学技術関係予算「GDP比1%達成したが研究力強化には疑問符」
https://sci-news.co.jp/topics/3934/

 IT化なども科学技術予算にしてなんとか1%を達成しましたが、本来の科学技術研究に使える部分で評価しないといけませんが、財務省は研究者一人当たりの予算は諸外国に劣らないのに影響ある論文が出ていない、と大学の「生産性」の低さを批判しています。

 「強い文教政策」でアカデミアに衝撃と怒りを与えた神田眞人氏は国際局長に就任しています。このまま出世されると財務官になるようです。

 結局政治を動かすしかないわけで、様々な手段でアプローチ(ロビイング等)するしかありませんが、アカデミアでロビイングができる人は少ないように思います。

 現在政治を動かすことができる組織を作ろうという動きがアカデミアの中に芽生えつつあります。こうした動きが大きな流れになるか、注目していきたいと思います。

ロビイストに求められる資質とは?食品ロス削減推進法の立法過程におけるNPOのアドボカシー事例から考察
https://news.yahoo.co.jp/byline/akechikaito/20200916-00198141/

 こうした他の分野の動向も謙虚に学んでいく必要があります。

★研究専従換算係数を考慮した日本の大学の研究開発費及び研究者数の詳細分析 [調査資料-297]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/45606

 タイミングよくNISTEPから報告書が出ました。

研究専従換算係数を考慮した大学等の研究開発費及び研究者数(FTE 値)は、研究専従換算 係数を考慮しない値(HC 値)とは異なり、2001 年度から 2017 年度にかけて伸びてはいない。

2001 年度から 2017 年度にかけて、研究者数における教員の割合が減少し、大学院博士課程 の在籍者の占める割合が増加している。FTE 値では第 1~第 3 グループまで、大学院博士課程の在籍者の割合が教員より大きくなっている。ただし、大学院博士課程の在籍者の数が増えているのは保健であり、理工農学ではほぼ増えていない。理工農学で増加しているのは、医局員・その他の研究員である。
○ 研究者数の業務区分バランスを理工農学と保健について見ると、大学院博士課程の在籍者の割合は、理工農学では、減少又は横ばいのグループが多いのに対して、保健では、ほとんどのグループで増加している。また、医局員・その他の研究員の割合は、理工農学ではほとんどの大学グループで増加しているが、保健での変化は一律ではない。

新型コロナウイルス感染症対策分科会 大都市の歓楽街における感染拡大防止対策 ワーキンググループ (第1回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/kanrakugai_wg_1.pdf

★Vaccines - lessons from three centuries of protest
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02671-0

★Keep focus on emerging infections, Disease X: analysts
https://www.scidev.net/global/r-d/news/keep-focus-on-emerging-infections-disease-x-analysts.html

新型コロナウイルス感染症等による科学技術の未来像への影響に関するアンケートの実施について
https://www.nistep.go.jp/archives/45632

★「クライメート・イノベーションファイナンス戦略2020」を取りまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2020/09/20200916001/20200916001.html

★北半球はこの夏、史上最も暑かった WMOとNOAAが発表
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/09/20200918_01.html

気象庁ホームページへのウェブ広告掲載停止(気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/press/2009/16b/20200916_koukoku.html?850

★名古屋港におけるヒアリの確認について
https://www.env.go.jp/press/108464.html

土の中での生息確認は県内初…強い毒持つ『ヒアリ』700匹以上を発見 駆除し周辺への広がりを調査へ
https://news.yahoo.co.jp/articles/a9092d4e08ed4f7569d1c1e92f6cf2c4e31c62a4

 関係者の懸命な努力により、なんとか拡大を防いでいますが、非常に厳しい状況が続いています

★「国連生物多様性の10年『グリーンウェイブ2020』」の実施結果について
https://www.env.go.jp/press/108439.html

★<独自>宇宙資源の所有権 超党派で法整備
https://www.sankei.com/life/news/200921/lif2009210025-n1.html

宇宙資源所有権の議員立法 背景に月面の水資源獲得競争
https://www.sankei.com/life/news/200921/lif2009210026-n1.html

 宇宙資源の問題。産経新聞の独自記事です。

2020年 9月18日
提言「行政記録情報の活用に向けて」(PDF形式:519KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-3.pdf

2020年 9月18日
提言「我が国における移植医療と再生医療の発展と普及」(PDF形式:743KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t298-2.pdf

2020年 9月18日
提言「災害レジリエンスの強化による持続可能な国際社会実現のための学術からの提言-知の統合を実践するためのオンライン・システムの構築とファシリテータの育成-」(PDF形式:608KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t298-1.pdf

2020年 9月15日
提言「感染症対策と社会変革に向けたICT基盤強化とデジタル変革の推進」(PDF形式:905KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t298-3.pdf

2020年 9月15日
報告「都市域土壌の現状と課題」(PDF形式:771KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-h200915.pdf

 日本学術会議の報告、提言ラッシュは続いています。

★【with/post コロナ社会に生きる】
科学と社会の対話で、ありたい未来をつくる
≪小林傳司さんインタビュー≫
https://sciencewindow.jst.go.jp/articles/2020/0917.html

最近20年間でOAジャーナル176誌がインターネットから姿を消し、現存する900誌も消失する可能性が高い(記事紹介)
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=12271

オンライン学術誌、20年で176誌がネットから消失 新研究
https://www.cnn.co.jp/tech/35159683.html

 先週既報。

★Opinion: Zoology’s Racism Problem
https://www.the-scientist.com/reading-frames/opinion-zoologys-racism-problem-67865

★The US National Academy of Sciences can now kick out harassers. So why hasn’t it?
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02640-7

★ヒト受精卵のゲノム編集、問題を示唆する研究相次ぐ
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020090500007.html

★Global citizen deliberation on genome editing
https://science.sciencemag.org/content/369/6510/1435

★Nature Index’s top five science cities, by the numbers
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02576-y

Science cities seek new connections
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02579-9

Beijing, the seat of science capital
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02577-x

The top cities for research in the Nature Index
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02575-z

★Scientific American Endorses Joe Biden
https://www.scientificamerican.com/article/scientific-american-endorses-joe-biden/

Trump lied about science
https://science.sciencemag.org/content/369/6510/1409

 バイデン支持を明確にしたサイエンティフィックアメリカン誌。トランプ氏を嘘つきと批判するサイエンス誌。

★米研究、危うい中国排除 中国は「独立」へ着々
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64090150Z10C20A9MM8000/

Racial Profiling Concerns Amid Crackdown on Scholars’ China Ties
https://www.the-scientist.com/news-opinion/racial-profiling-concerns-amid-crackdown-on-scholars-china-ties-67944

Former Los Alamos physicist gets probation for failing to disclose China ties
https://www.sciencemag.org/news/2020/09/former-los-alamos-physicist-gets-probation-failing-disclose-china-ties

 中国排除の「テクノナショナリズム」は科学界にとっては非常にウケが悪いのですが…。

★Climate change denialist given top role at major U.S. science agency
https://www.sciencemag.org/news/2020/09/climate-change-denialist-given-top-role-major-us-science-agency

 気候変動否定論者がトップに。こうしたことも科学界を苛立たせています。

[FT]「Qアノン」は米の内なる敵
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63969150X10C20A9TCR000/

 しかし、こうした陰謀論が広がっており、分断は進んでいるようです。トランプ再選となった場合、アメリカの科学政策には困難が続きそうです。

 トランプ支持者を切り捨て見下すだけでは、この状況は変わりません。

★Turkish scientists and physicians face criminal investigations after criticizing COVID-19 policies
https://www.sciencemag.org/news/2020/09/turkish-scientists-and-physicians-face-criminal-investigations-after-criticizing-covid

 トルコも科学者にとって厳しい状況です。

シンガポール早慶卒のビザ厳格化 邦人駐在員3割減も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63888630V10C20A9FFE000/

 早慶だけでなく、阪大含めた60大学のランクが下げられました。もちろんこれは学位取得者は別と思いますが、世界大学ランキングを反映しているようです。

★知ってる?中国で誕生している新職業(1)-知識共有型ブロガー
http://j.people.com.cn/n3/2020/0917/c94475-9761404.html

 サイエンスコミュニケーターですね。人口が多いので、暮らしていけるということでしょう。

★ALDOCK、ディープテック人材とスタートアップを結ぶ副業・転職プラットフォーム『Infomics Career』をβローンチ
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000002.000065881&g=prt

 最近高度人材のマッチングに関する取り組み、事業がちらほら見られるようになってきました。

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.888 2020年9月22日号 巻頭言
【発行者】一般社団法人科学・政策と社会研究室(担当 榎木英介)
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安倍政権振り返り、消えるジャーナル

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         No.887 2020年9月15日号 巻頭言
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【巻頭言】
★安倍政権振り返り、消えるジャーナル
2020年9月8日~2020年9月15日
カセイケン代表 榎木英介

 菅政権が誕生します。

党大会に代わる両院議員総会 新総裁に菅義偉内閣官房長官を選出
https://www.jimin.jp/news/information/200576.html

 今回私達カセイケンでは、総裁選候補者3名と立憲民主党に名前が決まった合流新党の代表に対し公開質問状をお送りしました。

2020年党首選 政策アンケート 結果
https://www.kaseiken.org/2020-09-10/

 合流新党の枝野候補からご回答いただきましたが、その他の候補者からはご回答いただけませんでした。

 少々残念ではありますが、これからも政党や候補者に対して、しつこく?科学技術政策を聞いていきたいと思います。

 安倍政権7年8ヶ月の振り返り記事が増えてきました。

★Japan after Abe: research needs a fresh start
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02540-w

研究力低下、止まらず 安倍政権の科技政策を振り返る
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63568000Y0A900C2000000/

科学はアベノカガクのままでよいか
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020090900007.html

 Nature誌はなかなかにて厳しく、科学技術投資は民間が8割を占めること、再生医療の拙速な臨床応用を含めた「テクノナショナリズム」、軍事応用、ジェンダー問題等を問題視しています。

 菅政権はこれを踏襲するのか、対する新党立憲民主党は、しっかりとした科学技術政策の対案を提示できるのか。

 国会での実りある論戦を期待します。そしてカセイケンでは、今後もしつこく、他の党も含めた科学技術政策への姿勢を見続けていきたいと思います。

 課題である国会ウォッチはしっかりと取り組まねば、と思っています。

★【特集】納得できない!大学に通えないのに「学費満額」に疑問 声をあげる大学生たち
https://news.yahoo.co.jp/articles/51e5db5b7685ec84cc7c5b491254af26df5c8d3d

コロナ禍、変わる入試 立教・法政…推薦依頼増やす例も
https://www.asahi.com/articles/ASN9G3RT1N97UTIL034.html

3密回避、106大学が入試方法変更 朝日・河合塾調査
https://www.asahi.com/articles/ASN996FCSN98ULZU030.html

コロナ感染なら追試や「振り替え」、大学入試で配慮
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63696810Q0A910C2CR8000/

コロナ禍 臨床実習など減少 医学生 積めぬ現場体験 
https://www.chunichi.co.jp/article/1175

「これでやっと大学生」 広がる対面授業、1年生に配慮
https://www.asahi.com/articles/ASN9D6G3TN9DTIPE00B.html

コロナ禍の留学生へ支援強化を 植松賢治氏
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63574940Y0A900C2SHE000/

 入試含め、大学生の問題は深刻になってきました。SNS上では、学費返還を要求する学生に対し大学教員が反論する場面も見られます。

 アメリカでの大学巨大クラスターの発生を見ると、複雑な思いを抱きますが、大学の機能は人と会うことであるという認識が強くなったことは、大きなことだと思います。

新型コロナウイルス感染症対策分科会(第9回)
日時:令和2年9月11日(金) 17時30分~19時30分
場所:合同庁舎8号館1階 講堂 議事次第
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona9.pdf

イベント開催制限緩和についての分科会から政府への提言
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/event_suggestion.pdf

GO TOトラベル事業及び県を越えての人の動きについての分科会から政府への提言
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/gototravel_suggestion.pdf

 新型コロナウイルスの新規感染者は減りきっておらず、厳しい状況に変わりはありません。菅政権の対応はどのようなものになるのか…。

新型コロナウイルス感染症対策分科会 偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ (第1回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_1.pdf

新型コロナウイルス感染症に関連して-不当な差別や偏見をなくしましょう-(法務省
http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken02_00022.html

 新型コロナウイルス感染者に対する差別はひどいものがあり、心が痛みます。最優先課題です。

★「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップの策定-ロードマップ2020-(案)」に関する意見募集の実施について
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/1388053_00003.htm

学術研究大型プロジェクト「ロードマップ」案公表-文科省、「感染症研究拠点」の課題なども記載
https://www.cbnews.jp/news/entry/20200910181516

 明日(9月16日)まで意見募集です。

学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想 ロードマップの策定

  • ロードマップ2020 -


https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000206246

国際次世代加速器 文科省の基本構想審査申請取り下げ 早期誘致実現厳しく
https://mainichi.jp/articles/20200908/k00/00m/040/171000c

大型加速器ILC、実現遠のく 基本構想の申請取り下げ
http://www.asahi.com/articles/ASN9964JLN99ULBJ005.html

 ILCに関しては日本学術会議のマスタープランに乗らず、3月に申請が取り下げられていたとのこと。

ムーンショット型研究開発事業新たな目標検討のためのビジョン公募について~日本を変える、世界を変える、あなたが変える!~
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1448/index.html

ムーンショット目標のアイデアを持ち、そのアイデアを具体化・精緻化するための調査研 究を行う、目標検討チームを公募」とのこと。

★第106回先進医療技術審査部会 資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13477.html

申請医療機関からの報告 (大阪大学医学部附属病院) [参考論文における研究不正行為について]
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000669829.pdf

資料7-2 根拠論文に関する報告書(大阪大学医学部附属病院)[PDF形式:827KB]
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000669830.pdf

資料7-3 再発防止策等に関する報告書(大阪大学医学部附属病院)[PDF形式:1.3MB]
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000669831.pdf

 国立循環器病院研究センターと大阪大学の研究不正。

予後更新によって、Log-lank 検定の p 値は異なるものの、有意差をもってハンプ投与群で無再発生存率が良好な成績であることが示され、PNAS Figure 1Aとの齟齬はないものと考えられました。一方で、PNASのデータとし ては使用されていませんが、今回予後を更新して解析した全生存率、癌特異的生存率に関しては両群に差はないという結果でした。

★Dozens of scientific journals have vanished from the internet, and no one preserved them
https://www.sciencemag.org/news/2020/09/dozens-scientific-journals-have-vanished-internet-and-no-one-preserved-them

More than 100 scientific journals have disappeared from the Internet
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02610-z

 インターネット時代の落とし穴です。電子データをどう後世に残していくか考えなければなりません。

★Postdocs in crisis: science cannot risk losing the next generation
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02541-9

Pandemic darkens postdocs’ work and career hopes
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02548-2

 パンデミックにおいて厳しい状況に追い込まれているポスドクの現場が明らかになってきました。

★【研究キャリアの生かし方 特別編】副業・フリーランスとしての技術リサーチャーという働き方 - リンカーズ株式会社 オープンイノベーション研究所
https://academist-cf.com/journal/?p=14398

 技術リサーチャーという仕事。興味深いです。

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[SciCom News] No.887 2020年9月15日号 巻頭言
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THE大学ランキング、エビデンスに基づいた科学技術政策

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         No.886 2020年9月8日号 巻頭言
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【巻頭言】
★THE大学ランキング、エビデンスに基づいた科学技術政策
2020年9月1日~2020年9月8日
カセイケン代表 榎木英介

 9月6日から7日にかけて日本に接近した台風10号は、接近時に若干弱まったものの、死者、行方不明者を出すなど被害をもたらしました。被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。

 新型コロナウイルス感染を避けるために、密な状態にならないようにしたため、定員が埋まってしまった避難所も出たようです。

 まだ台風シーズンのど真ん中です。今回の反省点を早急に次に生かしていかなければなりません。

 さて、自民党総裁選、立憲民主党、国民民主党の合併新党の代表選が行われています。

自民党総裁選特設サイト
https://www.jimin.jp/election/sousai20/

新党代表・党名選挙
https://www.dpfp.or.jp/leadership-election/2020
https://cdp-japan.jp/leadership-election-2020

 科学技術政策について、各党の候補者がどのような考えを持っているのか。

 私たちカセイケンでは、各候補者の事務所にアンケートを送付しました。

 回答がありましたらご紹介させていただきます。しばらくお待ちください。

エビデンスシステム(e-CSTI)を通じたEBPM等の推進及び公開サイトの立ち上げについて
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200901_e-csti.html

 非常に重要なサイトが公開されました。

内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)では、大学等の研究機関における「研究」、「教育」、「資金獲得」に関するエビデンスを収集し、インプットとアウトプットの関係性を「見える化」するための各種分析機能を開発し、関係省庁や国立大学・研究開発法人等の関係機関に対して分析機能・データを共有するプラットフォームとしてe-CSTI(Evidence data platform constructed by Council for Science, Technology and Innovation)を構築いたしました。

 これを利用して作られた以下の資料は、専門分野へのニーズを可視化しており、博士号取得者のキャリア問題を考える上でも大きな資料となりうるものです。

産業界の業務および事業展開・成長に重要な専門知識分野
https://e-csti.go.jp/page/p4b2/

 これをさらに分析すると

産業界技術系の人材ニーズを最終学歴別(学士、修士、博士等)に見える化したところ、学士については情報、機械、電気分野における人材ニーズが高くなっている一方、博士については幅広い分野に人材ニーズが広がっていることが示され、また博士の中でも20代の若手については、産業界における処遇向上の動きが出現し始めています。このような、産業界人材ニーズの変化や若手博士人材に対する評価向上の動きを受け、産業界ニーズを踏まえた高度専門人材の育成・輩出の在り方の改善方策の検討が可能となります。

とのこと

 こうしたデータの活用は、科学技術政策を考える上でも重要と思われます。

★我ら天文系IT技術者、DX追い風に 活躍する博士
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63363600S0A900C2000000/

研究開発人材の強化によりさらなる成長へ。資生堂が博士・ポスドク人材の採用のため「OfferBox Ph.D.」を利用開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000041771.html

 これも上の分析を裏付けます。

★異業種3社に就職した博士号取得者の意識調査 「大学にはポストも魅力も不足? より良い研究環境求め一般企業へ」
https://sci-news.co.jp/topics/3875/

博士入社社員を対象とした アンケート集計結果
日本電信電話株式会社(NTT)、富士通株式会社、株式会社三菱ケミカルホールディングス
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20200806/siryo3.pdf

 分野にもよるわけですが、博士への需要の拡大は望ましいことです

 しかし、氷河期世代博士の問題はまた別でしょう。

★THE世界大学ランキング2021―東大は36位維持、京大は11ランク上げて54位
https://japanuniversityrankings.jp/topics/00172/index.html

世界大学ランキング 東大は36位 中国 清華大学がアジアトップ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200907/k10012604511000.html

 恒例の大学ランキング。日本だと東大や京大など一部大学の動向に注目が集まりがちで、ランクアップを続けている京大は話題のようです。

 ただ、論点は多々あり、日本の他の大学の動向や諸外国の動向、そもそものランキングの妥当性含めいろいろな角度で見ていく必要があると思います。

 新型コロナウイルスです。

新型コロナウイルス感染症対策分科会(第8回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona8.pdf

「Go To Eat キャンペーン事業」についての考え方
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/go_to_eat.pdf

 漸減傾向にあるような感じですが、警戒を緩めてはいけません。

★コロナ前より「健康」半数が実感 外出自粛中に生活習慣を改善
https://www.chunichi.co.jp/article/114052

明治安田生命「健康」に関するアンケート調査を実施!
〜ステイホーム・コロナ禍を機に健康に対する意識と行動が変化!〜
https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2020/pdf/20200902_01.pdf

 新型コロナウイルスの健康に与える影響はなかなか解釈が難しく、医療機関への受診控えが、一体どのような影響を与えるのか、まだまだ読めません。

 上述のように生活習慣が改善されることによる効果の影響が、新型コロナウイルスそのものの影響をどのように相殺したのか、という論点はあるでしょう。

 医師誘発需要のような無駄な医療が削がれたのではないかという声もあります。

 まだ渦中であり、評価を決める段階ではありませんが、だからと言って、「新型コロナはただの風邪」などと言って軽視すべきではないのは当然です。

★U of Illinois Returns to School with 20,000 Saliva Tests Per Day
https://www.the-scientist.com/news-opinion/u-of-illinois-returns-to-school-with-20-000-saliva-tests-per-day-67890

Updated: COVID-19 Outbreaks Occur as Students Return to Campus
https://www.the-scientist.com/news-opinion/covid-19-outbreaks-occur-as-students-return-to-campus-67830

Reopening schools during COVID-19
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1146

Back to School
https://www.the-scientist.com/editorial/back-to-school-67885

 大学をオープンすると感染者が増えてしまうという厳しい状況。学生たちには非常に厳しい状況が続きます。

★As the pandemic erodes grad student mental health, academics sound the alarm
https://www.sciencemag.org/careers/2020/09/pandemic-erodes-grad-student-mental-health-academics-sound-alarm

 パンデミック下の学生のメンタルヘルスの問題も深刻です。

★Science and Policy Collide During the Pandemic
https://www.the-scientist.com/careers/science-and-policy-collide-during-the-pandemic-67882

 新型コロナウイルス下における政治と科学者の関係は、決して日本だけの問題ではありません。まだまだ続く政治と科学者の関係。どうすれば良いでしょうか。記事は以下のポイントを示します。

1. Do your homework.
2. Get to the point, but don’t oversimplify.
3. Keep in mind that policymakers’ expertise differs from that of scientists.
4. Be persistent.
5. Remember that not all policymakers are politicians, and vice versa.

★「豚熱」終息せず 日本は“清浄国”の認定取り消される
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200904/k10012599301000.html

 こちらも大きな問題。

★官民協働による新たな地域科学技術施策に関する調査
https://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/chiiki/mext_00002.html

★質保証システム部会(第3回) 配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/049/siryo/1422495_00002.html

我が国の高等教育の質保証システムの在り方について

★第11回科学技術予測調査におけるバックキャストとフォーキャストの比較分析[DISCUSSION PAPER No.188]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/45522

★第36回(令和2年)国際生物学賞の受賞者決定
篠崎 一雄 博士
理化学研究所環境資源科学研究センター特別顧問)
https://www.jsps.go.jp/j-biol/36_awardee.html

モーリシャス沿岸における油流出事故に対する環境省専門家派遣決定
https://www.env.go.jp/press/108393.html

★Don’t be a prig in peer review
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02512-0

★"Tide of Lies"のその後:臨床研究の不正の影響は大きい
https://sites.google.com/site/integrity0lifesciences/comments/aftrermath

 非常に重要な論考です。基礎研究と異なり臨床研究での不正の影響は大きいわけですが、日本の研究機関の反応の鈍さが気になります。

★Henrietta Lacks: science must right a historical wrong
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02494-z

HeLa細胞のHenrietta Lacks氏生誕100年。遺族や本人に無断で細胞が使われたという大きな課題を残しています

★Special Issue
Democracy in the Balance

 サイエンスの特集。

In flux and under threat
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1174

Racial authoritarianism in U.S. democracy
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1176

Human-centered redistricting automation in the age of AI
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1179

Campaigns influence election outcomes less than you think
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1181

Diversity and prosocial behavior
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1183

Can democracy work for the poor?
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1188

Democracy’s backsliding in the international environment
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1192

False equivalencies: Online activism from left to right
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1197

★Foreign funding ‘controlling’ African research
https://www.scidev.net/global/funding/africa-science-focus/foreign-funding-controlling-african-research-1x.html

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.886 2020年9月8日号 巻頭言
【発行者】一般社団法人科学・政策と社会研究室(担当 榎木英介)
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安倍政権の科学技術政策を振り返る

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         No.885 2020年9月1日号 巻頭言
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【巻頭言】
★安倍政権の科学技術政策
2020年8月25日~2020年9月1日
カセイケン代表 榎木英介

 8年続いた安倍政権が唐突に幕を下ろそうとしています。

安倍総理は記者会見を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0828kaiken.html

 潰瘍性大腸炎の悪化ということは、ここでは額面通り受け取ります。まずはお体をお大事にされて欲しいと思います。

 医師としては、潰瘍性大腸炎への偏見が増長されないことを願います。

潰瘍性大腸炎「19歳で人工肛門、現在医師」の僕が今、伝えたいこと
https://news.yahoo.co.jp/articles/3c14dbca157d5c824c5a23f3ae9eaeea59b1d622

「良くなったり悪くなったり」を繰り返す難病 安倍首相の持病「潰瘍性大腸炎」とは
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamototakehito/20200828-00195474/

 それはそれとして、「頑張ったんだからあれこれいうのやめようよ」という雰囲気になるのはよくないと思っています。それは、病気の人に対しても失礼なことで、仕事は仕事として評価するのが礼儀だと思っています。

 科学政策としては、安倍政権だから、という特徴はないのではないかと思います。

 確かに、安倍政権時代に科学技術基本法は科学技術・イノベーション基本法に変わるなど、イノベーション、すなわち科学技術の産業応用、雇用創出という面に焦点が上がりそれが基礎研究者の間からは懸念が出ていました。

科学技術・イノベーション基本法・科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律
https://www8.cao.go.jp/cstp/cst/kihonhou/mokuji.html

科学技術・イノベーション基本計画の検討の方向性(案)
令和2年8月28日 総合科学技術・イノベーション会議 基本計画専門調査会
https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/kihon6/chukan/index.html

 総合科学技術会議の上に経済財政諮問会議など閣議決定が根拠の会議をおいて、科学技術政策が経済政策の下部政策になった点は、特筆すべき点でしょう。

 とはいえ、官邸主導は安倍政権の特徴ですが、科学技術政策に関しては自民党の政策であり、安倍首相の独自性がどこまであったのかはわかりません。自民党が政権に返り咲いてからは安倍首相一人しか首相がいないわけで比較のしようがありません。

 安倍首相の総合科学技術会議の開催頻度は高く、自ら会議に出席して発言していた点は評価できると思います。

 最近は若手研究者政策に積極的でしたが、それは安倍首相のイニシアチブではないと思います。

研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ
https://www8.cao.go.jp/cstp/package/wakate/index.html

 というわけで、この8年間はなかなか評価がしにくいのですが、首相候補の方々がどのような科学技術政策を打ち出すかに関しては、しっかりと見てみたいと思っています。

安倍総理アメリカ合衆国のジョン・レイモンド宇宙軍作戦部長による表敬を受けました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202008/27hyokei.html

レイモンド米宇宙軍作戦部長による安倍総理大臣表敬
https://www.mofa.go.jp/mofaj/na/st/page4_005185.html

「宇宙に関する包括的日米対話」第7回会合の開催(結果)(報道発表)(令和2年8月26日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_008704.html

「宇宙に関する包括的日米対話」第7回会合の開催
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_008696.html

防衛相 米 宇宙軍の作戦部長と会談「宇宙分野も緊密に連携を」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200827/k10012587091000.html

首相、半年ぶり来日要人と会談 日米宇宙協力で一致
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63113780X20C20A8PP8000/

 宇宙の軍事化や軍事研究への前向きな姿勢も、安倍政権下で進みました。

★「ともに創り、ともに未来へ: 新しい発想で先導する科学技術行政と共創の形」 令和2年度 科学技術改革タスクフォース戦略室 報告 ―「科学技術ワクワク挑戦チーム」からの提案―
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2020/1417045_00004.html

 文科省の若手の提案。カセイケンの榎木も意見を言う機会を得ました。特に閉鎖的な研究室の問題の指摘は、私の意見が取り入れられたのかなあと思っています。

 こうした提案がどのように政策に取り入れられていくのか…。協力は惜しまないつもりです。

★「諸外国の教育統計」令和2(2020)年版
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/syogaikoku/1415074_00006.htm

★学校基本調査-令和2年度(速報)結果の概要-
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1419591_00003.htm

女性教員の割合、中高大学などで過去最高に 文科省調査
https://www.asahi.com/articles/ASN8T4S74N8TUTIL00F.html

 大学の教員数は18万9,498人。博士課程の大学院生数は75,372人。

★異業種3社に就職した博士号取得者の意識調査 「大学にはポストも魅力も不足? より良い研究環境求め一般企業へ」
https://sci-news.co.jp/topics/3875/

博士入社社員を対象とした アンケート集計結果
日本電信電話株式会社(NTT)、富士通株式会社、株式会社三菱ケミカルホールディングス
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20200806/siryo3.pdf

 民間企業に行った博士のアンケートという珍しいものです。

安倍総理は第42回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202008/28corona.html

新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組(令和2年8月28日対策本部決定)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/houkoku_r020828.pdf

第42回(令和2年8月28日開催)資料
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/sidai_r020828.pdf

新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00034.html

新型コロナウイルス感染症に関する差別・偏見の防止に向けて(大臣メッセージ)(令和2年8月25日)
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00122.html

 政府は新型コロナウイルスに対し、5つの目標のため7つの取り組みをするとされています。

★なぜ米国はパンデミックに打ち勝てないのか?:アンソニー・ファウチが語る新型コロナウイルスとの闘い(前編)
https://wired.jp/2020/08/28/anthony-fauci-explains-why-the-us-still-hasnt-beaten-covid-1/

新しい感染症によるパンデミックは、またいつか発生する:アンソニー・ファウチが語る新型コロナウイルスとの闘い(後編)
https://wired.jp/2020/08/29/anthony-fauci-explains-why-the-us-still-hasnt-beaten-covid-2/

 アメリカを率いるファウチ氏のインタビュー。ファウチ氏ですがトランプ政権には嫌われているようで、手術で意識がない時に新方針を決められてしまうなど、厳しい状況に追い込まれています。

CDCの新指針、ファウチ所長が懸念表明
https://www.cnn.co.jp/usa/35158741.html

★The danger of DIY vaccines
https://science.sciencemag.org/content/369/6507/1035.full

 サイエンス誌の巻頭言。自分でやるワクチン研究、DIYワクチンがもたらす倫理的問題について警鐘を鳴らしています。

★Africa declared free from wild polio — but vaccine-derived strains remain
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02501-3

アフリカでポリオ根絶 WHOが宣言 残るはアフガンとパキスタン2カ国に
https://news.yahoo.co.jp/articles/5586cbb298051d34fb4d380637300461386db625

 大きな出来事です。

★科学技術に関する国民意識調査-新技術の社会受容性-[調査資料-296]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/45445

★「研究大学における教員の雇用状況に関する調査」速報版の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/45311

 NISTEPの重要資料。後者では大学(RU-11)において全年代の全職種にわたり高齢化が進んでいるという大きなデータです。

★How Mauritius is cleaning up after major oil spill in biodiversity hotspot
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02446-7

日本学術会議の提言や報告です。

2020年 8月31日
提言「ゲノム医療推進に向けた体制整備と人材育成」(PDF形式:941KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t294-4.pdf

2020年 8月31日
提言「発達障害への多領域・多職種連携による支援と成育医療の推進」(PDF形式:525KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t292-7.pdf

発達障害の情報提供、専門性に見合った診療報酬を-学術会議が提言、多領域・多職種連携強化が必要
https://www.cbnews.jp/news/entry/20200831210650

2020年 8月28日
提言「工学システムの社会安全目標の新体系」(PDF形式:737KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t293-5.pdf

2020年 8月28日
提言「物理学における学問分野に基づく教育研究(DBER)の推進」(PDF形式:1,025KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t295-3.pdf

2020年 8月27日
提言「博物館法改正へ向けての更なる提言~2017年提言を踏まえて~」(PDF形式:914KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t294-3.pdf

2020年 8月26日
提言「すべての人に無償の普通教育を 多様な市民の教育システムへの包摂に向けて」(PDF形式:580KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t295-2.pdf

2020年 8月25日
提言「「地理総合」で変わる新しい地理教育の充実に向けて―持続可能な社会づくりに貢献する地理的資質能力の育成―」(PDF形式:1,235KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t295-1.pdf

2020年 8月25日
提言「人類の未来を開くフロンティア人工物工学の展開のために」(PDF形式:920KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t293-4.pdf

2020年 8月25日
提言「気候変動に伴い激甚化する災害に対しグリーンインフラを活用した国土形成により“いのちまち”を創る」(PDF形式:3,056KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t294-2.pdf

2020年 8月25日
報告「工学システムに対する安心感と社会」(PDF形式:946KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-h200825.pdf

★過去論文の図の引用に使用料を要求されるとは
許すまじ、寡占化した専門出版社による科学への妨害
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020081500001.html

性的虐待で起訴された大富豪による科学界への資金提供が浮き彫りにした問題とは?
https://gigazine.net/news/20200826-jeffrey-epstein-money-distort-research/

 エプスタイン氏が亡くなって1年余り。

「科学研究を支援する財力を持った個人が、『自身の興味をそそる』という理由だけで促進する研究分野を選ぶことが可能な時、科学研究の完全性が損なわれてしまう」というものだとオレスケス氏は指摘。

★Potential impact of missing outcome data on treatment effects in systematic reviews: imputation study
https://www.bmj.com/content/370/bmj.m2898

★米国、NASAの研究者を逮捕 中国との関係隠蔽で
https://jp.sputniknews.com/world/202008257719312/

★Confusion over Europe’s data-protection law is stalling scientific progress
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02454-7

★Scientists protest budget cuts in Brazil
https://www.scidev.net/global/funding/news/scientists-protest-budget-cuts-in-brazil.html

In Brazil’s wealthiest state, scientists fear a budget plan could cripple research
https://www.sciencemag.org/news/2020/08/brazil-s-wealthiest-state-scientists-fear-budget-plan-could-cripple-research

ブラジルの科学予算削減に対し科学者が抗議。

★How I managed my work and personal life as a sole parent during the pandemic
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02329-x

 一人親研究者がどのようにパンデミック下で仕事と家庭を両立したか。

★WORKING LIFE
One, two, three, thrive
https://science.sciencemag.org/content/369/6507/1138

I struggled in grad school-until I learned to set realistic goals
https://www.sciencemag.org/careers/2020/08/i-struggled-grad-school-until-i-learned-set-realistic-goals

★Scientists aren’t trained to mentor. That’s a problem
https://www.sciencemag.org/careers/2020/08/scientists-aren-t-trained-mentor-s-roblem

 確かに研究者はメンターになるトレーニングはしておらず、それが様々な問題を引き起こしています。

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.885 2020年9月1日号 巻頭言
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