科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

安倍政権振り返り、消えるジャーナル

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★発行部数 2,565部(9月15日現在)
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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.887 2020年9月15日号 巻頭言
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【巻頭言】
★安倍政権振り返り、消えるジャーナル
2020年9月8日~2020年9月15日
カセイケン代表 榎木英介

 菅政権が誕生します。

党大会に代わる両院議員総会 新総裁に菅義偉内閣官房長官を選出
https://www.jimin.jp/news/information/200576.html

 今回私達カセイケンでは、総裁選候補者3名と立憲民主党に名前が決まった合流新党の代表に対し公開質問状をお送りしました。

2020年党首選 政策アンケート 結果
https://www.kaseiken.org/2020-09-10/

 合流新党の枝野候補からご回答いただきましたが、その他の候補者からはご回答いただけませんでした。

 少々残念ではありますが、これからも政党や候補者に対して、しつこく?科学技術政策を聞いていきたいと思います。

 安倍政権7年8ヶ月の振り返り記事が増えてきました。

★Japan after Abe: research needs a fresh start
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02540-w

研究力低下、止まらず 安倍政権の科技政策を振り返る
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63568000Y0A900C2000000/

科学はアベノカガクのままでよいか
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020090900007.html

 Nature誌はなかなかにて厳しく、科学技術投資は民間が8割を占めること、再生医療の拙速な臨床応用を含めた「テクノナショナリズム」、軍事応用、ジェンダー問題等を問題視しています。

 菅政権はこれを踏襲するのか、対する新党立憲民主党は、しっかりとした科学技術政策の対案を提示できるのか。

 国会での実りある論戦を期待します。そしてカセイケンでは、今後もしつこく、他の党も含めた科学技術政策への姿勢を見続けていきたいと思います。

 課題である国会ウォッチはしっかりと取り組まねば、と思っています。

★【特集】納得できない!大学に通えないのに「学費満額」に疑問 声をあげる大学生たち
https://news.yahoo.co.jp/articles/51e5db5b7685ec84cc7c5b491254af26df5c8d3d

コロナ禍、変わる入試 立教・法政…推薦依頼増やす例も
https://www.asahi.com/articles/ASN9G3RT1N97UTIL034.html

3密回避、106大学が入試方法変更 朝日・河合塾調査
https://www.asahi.com/articles/ASN996FCSN98ULZU030.html

コロナ感染なら追試や「振り替え」、大学入試で配慮
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63696810Q0A910C2CR8000/

コロナ禍 臨床実習など減少 医学生 積めぬ現場体験 
https://www.chunichi.co.jp/article/1175

「これでやっと大学生」 広がる対面授業、1年生に配慮
https://www.asahi.com/articles/ASN9D6G3TN9DTIPE00B.html

コロナ禍の留学生へ支援強化を 植松賢治氏
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63574940Y0A900C2SHE000/

 入試含め、大学生の問題は深刻になってきました。SNS上では、学費返還を要求する学生に対し大学教員が反論する場面も見られます。

 アメリカでの大学巨大クラスターの発生を見ると、複雑な思いを抱きますが、大学の機能は人と会うことであるという認識が強くなったことは、大きなことだと思います。

新型コロナウイルス感染症対策分科会(第9回)
日時:令和2年9月11日(金) 17時30分~19時30分
場所:合同庁舎8号館1階 講堂 議事次第
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona9.pdf

イベント開催制限緩和についての分科会から政府への提言
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/event_suggestion.pdf

GO TOトラベル事業及び県を越えての人の動きについての分科会から政府への提言
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/gototravel_suggestion.pdf

 新型コロナウイルスの新規感染者は減りきっておらず、厳しい状況に変わりはありません。菅政権の対応はどのようなものになるのか…。

新型コロナウイルス感染症対策分科会 偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ (第1回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_1.pdf

新型コロナウイルス感染症に関連して-不当な差別や偏見をなくしましょう-(法務省
http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken02_00022.html

 新型コロナウイルス感染者に対する差別はひどいものがあり、心が痛みます。最優先課題です。

★「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップの策定-ロードマップ2020-(案)」に関する意見募集の実施について
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/1388053_00003.htm

学術研究大型プロジェクト「ロードマップ」案公表-文科省、「感染症研究拠点」の課題なども記載
https://www.cbnews.jp/news/entry/20200910181516

 明日(9月16日)まで意見募集です。

学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想 ロードマップの策定

  • ロードマップ2020 -


https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000206246

国際次世代加速器 文科省の基本構想審査申請取り下げ 早期誘致実現厳しく
https://mainichi.jp/articles/20200908/k00/00m/040/171000c

大型加速器ILC、実現遠のく 基本構想の申請取り下げ
http://www.asahi.com/articles/ASN9964JLN99ULBJ005.html

 ILCに関しては日本学術会議のマスタープランに乗らず、3月に申請が取り下げられていたとのこと。

ムーンショット型研究開発事業新たな目標検討のためのビジョン公募について~日本を変える、世界を変える、あなたが変える!~
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1448/index.html

ムーンショット目標のアイデアを持ち、そのアイデアを具体化・精緻化するための調査研 究を行う、目標検討チームを公募」とのこと。

★第106回先進医療技術審査部会 資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13477.html

申請医療機関からの報告 (大阪大学医学部附属病院) [参考論文における研究不正行為について]
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000669829.pdf

資料7-2 根拠論文に関する報告書(大阪大学医学部附属病院)[PDF形式:827KB]
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000669830.pdf

資料7-3 再発防止策等に関する報告書(大阪大学医学部附属病院)[PDF形式:1.3MB]
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000669831.pdf

 国立循環器病院研究センターと大阪大学の研究不正。

予後更新によって、Log-lank 検定の p 値は異なるものの、有意差をもってハンプ投与群で無再発生存率が良好な成績であることが示され、PNAS Figure 1Aとの齟齬はないものと考えられました。一方で、PNASのデータとし ては使用されていませんが、今回予後を更新して解析した全生存率、癌特異的生存率に関しては両群に差はないという結果でした。

★Dozens of scientific journals have vanished from the internet, and no one preserved them
https://www.sciencemag.org/news/2020/09/dozens-scientific-journals-have-vanished-internet-and-no-one-preserved-them

More than 100 scientific journals have disappeared from the Internet
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02610-z

 インターネット時代の落とし穴です。電子データをどう後世に残していくか考えなければなりません。

★Postdocs in crisis: science cannot risk losing the next generation
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02541-9

Pandemic darkens postdocs’ work and career hopes
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02548-2

 パンデミックにおいて厳しい状況に追い込まれているポスドクの現場が明らかになってきました。

★【研究キャリアの生かし方 特別編】副業・フリーランスとしての技術リサーチャーという働き方 - リンカーズ株式会社 オープンイノベーション研究所
https://academist-cf.com/journal/?p=14398

 技術リサーチャーという仕事。興味深いです。

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.887 2020年9月15日号 巻頭言
【発行者】一般社団法人科学・政策と社会研究室(担当 榎木英介)
【編集者】Science Communication News編集部
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THE大学ランキング、エビデンスに基づいた科学技術政策

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★発行部数 2,564部(9月8日現在)
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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.886 2020年9月8日号 巻頭言
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【巻頭言】
★THE大学ランキング、エビデンスに基づいた科学技術政策
2020年9月1日~2020年9月8日
カセイケン代表 榎木英介

 9月6日から7日にかけて日本に接近した台風10号は、接近時に若干弱まったものの、死者、行方不明者を出すなど被害をもたらしました。被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。

 新型コロナウイルス感染を避けるために、密な状態にならないようにしたため、定員が埋まってしまった避難所も出たようです。

 まだ台風シーズンのど真ん中です。今回の反省点を早急に次に生かしていかなければなりません。

 さて、自民党総裁選、立憲民主党、国民民主党の合併新党の代表選が行われています。

自民党総裁選特設サイト
https://www.jimin.jp/election/sousai20/

新党代表・党名選挙
https://www.dpfp.or.jp/leadership-election/2020
https://cdp-japan.jp/leadership-election-2020

 科学技術政策について、各党の候補者がどのような考えを持っているのか。

 私たちカセイケンでは、各候補者の事務所にアンケートを送付しました。

 回答がありましたらご紹介させていただきます。しばらくお待ちください。

エビデンスシステム(e-CSTI)を通じたEBPM等の推進及び公開サイトの立ち上げについて
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200901_e-csti.html

 非常に重要なサイトが公開されました。

内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)では、大学等の研究機関における「研究」、「教育」、「資金獲得」に関するエビデンスを収集し、インプットとアウトプットの関係性を「見える化」するための各種分析機能を開発し、関係省庁や国立大学・研究開発法人等の関係機関に対して分析機能・データを共有するプラットフォームとしてe-CSTI(Evidence data platform constructed by Council for Science, Technology and Innovation)を構築いたしました。

 これを利用して作られた以下の資料は、専門分野へのニーズを可視化しており、博士号取得者のキャリア問題を考える上でも大きな資料となりうるものです。

産業界の業務および事業展開・成長に重要な専門知識分野
https://e-csti.go.jp/page/p4b2/

 これをさらに分析すると

産業界技術系の人材ニーズを最終学歴別(学士、修士、博士等)に見える化したところ、学士については情報、機械、電気分野における人材ニーズが高くなっている一方、博士については幅広い分野に人材ニーズが広がっていることが示され、また博士の中でも20代の若手については、産業界における処遇向上の動きが出現し始めています。このような、産業界人材ニーズの変化や若手博士人材に対する評価向上の動きを受け、産業界ニーズを踏まえた高度専門人材の育成・輩出の在り方の改善方策の検討が可能となります。

とのこと

 こうしたデータの活用は、科学技術政策を考える上でも重要と思われます。

★我ら天文系IT技術者、DX追い風に 活躍する博士
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63363600S0A900C2000000/

研究開発人材の強化によりさらなる成長へ。資生堂が博士・ポスドク人材の採用のため「OfferBox Ph.D.」を利用開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000041771.html

 これも上の分析を裏付けます。

★異業種3社に就職した博士号取得者の意識調査 「大学にはポストも魅力も不足? より良い研究環境求め一般企業へ」
https://sci-news.co.jp/topics/3875/

博士入社社員を対象とした アンケート集計結果
日本電信電話株式会社(NTT)、富士通株式会社、株式会社三菱ケミカルホールディングス
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20200806/siryo3.pdf

 分野にもよるわけですが、博士への需要の拡大は望ましいことです

 しかし、氷河期世代博士の問題はまた別でしょう。

★THE世界大学ランキング2021―東大は36位維持、京大は11ランク上げて54位
https://japanuniversityrankings.jp/topics/00172/index.html

世界大学ランキング 東大は36位 中国 清華大学がアジアトップ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200907/k10012604511000.html

 恒例の大学ランキング。日本だと東大や京大など一部大学の動向に注目が集まりがちで、ランクアップを続けている京大は話題のようです。

 ただ、論点は多々あり、日本の他の大学の動向や諸外国の動向、そもそものランキングの妥当性含めいろいろな角度で見ていく必要があると思います。

 新型コロナウイルスです。

新型コロナウイルス感染症対策分科会(第8回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona8.pdf

「Go To Eat キャンペーン事業」についての考え方
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/go_to_eat.pdf

 漸減傾向にあるような感じですが、警戒を緩めてはいけません。

★コロナ前より「健康」半数が実感 外出自粛中に生活習慣を改善
https://www.chunichi.co.jp/article/114052

明治安田生命「健康」に関するアンケート調査を実施!
〜ステイホーム・コロナ禍を機に健康に対する意識と行動が変化!〜
https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2020/pdf/20200902_01.pdf

 新型コロナウイルスの健康に与える影響はなかなか解釈が難しく、医療機関への受診控えが、一体どのような影響を与えるのか、まだまだ読めません。

 上述のように生活習慣が改善されることによる効果の影響が、新型コロナウイルスそのものの影響をどのように相殺したのか、という論点はあるでしょう。

 医師誘発需要のような無駄な医療が削がれたのではないかという声もあります。

 まだ渦中であり、評価を決める段階ではありませんが、だからと言って、「新型コロナはただの風邪」などと言って軽視すべきではないのは当然です。

★U of Illinois Returns to School with 20,000 Saliva Tests Per Day
https://www.the-scientist.com/news-opinion/u-of-illinois-returns-to-school-with-20-000-saliva-tests-per-day-67890

Updated: COVID-19 Outbreaks Occur as Students Return to Campus
https://www.the-scientist.com/news-opinion/covid-19-outbreaks-occur-as-students-return-to-campus-67830

Reopening schools during COVID-19
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1146

Back to School
https://www.the-scientist.com/editorial/back-to-school-67885

 大学をオープンすると感染者が増えてしまうという厳しい状況。学生たちには非常に厳しい状況が続きます。

★As the pandemic erodes grad student mental health, academics sound the alarm
https://www.sciencemag.org/careers/2020/09/pandemic-erodes-grad-student-mental-health-academics-sound-alarm

 パンデミック下の学生のメンタルヘルスの問題も深刻です。

★Science and Policy Collide During the Pandemic
https://www.the-scientist.com/careers/science-and-policy-collide-during-the-pandemic-67882

 新型コロナウイルス下における政治と科学者の関係は、決して日本だけの問題ではありません。まだまだ続く政治と科学者の関係。どうすれば良いでしょうか。記事は以下のポイントを示します。

1. Do your homework.
2. Get to the point, but don’t oversimplify.
3. Keep in mind that policymakers’ expertise differs from that of scientists.
4. Be persistent.
5. Remember that not all policymakers are politicians, and vice versa.

★「豚熱」終息せず 日本は“清浄国”の認定取り消される
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200904/k10012599301000.html

 こちらも大きな問題。

★官民協働による新たな地域科学技術施策に関する調査
https://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/chiiki/mext_00002.html

★質保証システム部会(第3回) 配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/049/siryo/1422495_00002.html

我が国の高等教育の質保証システムの在り方について

★第11回科学技術予測調査におけるバックキャストとフォーキャストの比較分析[DISCUSSION PAPER No.188]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/45522

★第36回(令和2年)国際生物学賞の受賞者決定
篠崎 一雄 博士
理化学研究所環境資源科学研究センター特別顧問)
https://www.jsps.go.jp/j-biol/36_awardee.html

モーリシャス沿岸における油流出事故に対する環境省専門家派遣決定
https://www.env.go.jp/press/108393.html

★Don’t be a prig in peer review
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02512-0

★"Tide of Lies"のその後:臨床研究の不正の影響は大きい
https://sites.google.com/site/integrity0lifesciences/comments/aftrermath

 非常に重要な論考です。基礎研究と異なり臨床研究での不正の影響は大きいわけですが、日本の研究機関の反応の鈍さが気になります。

★Henrietta Lacks: science must right a historical wrong
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02494-z

HeLa細胞のHenrietta Lacks氏生誕100年。遺族や本人に無断で細胞が使われたという大きな課題を残しています

★Special Issue
Democracy in the Balance

 サイエンスの特集。

In flux and under threat
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1174

Racial authoritarianism in U.S. democracy
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1176

Human-centered redistricting automation in the age of AI
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1179

Campaigns influence election outcomes less than you think
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1181

Diversity and prosocial behavior
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1183

Can democracy work for the poor?
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1188

Democracy’s backsliding in the international environment
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1192

False equivalencies: Online activism from left to right
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1197

★Foreign funding ‘controlling’ African research
https://www.scidev.net/global/funding/africa-science-focus/foreign-funding-controlling-african-research-1x.html

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.886 2020年9月8日号 巻頭言
【発行者】一般社団法人科学・政策と社会研究室(担当 榎木英介)
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安倍政権の科学技術政策を振り返る

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★発行部数 2,563部(9月1日現在)
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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.885 2020年9月1日号 巻頭言
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【巻頭言】
★安倍政権の科学技術政策
2020年8月25日~2020年9月1日
カセイケン代表 榎木英介

 8年続いた安倍政権が唐突に幕を下ろそうとしています。

安倍総理は記者会見を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0828kaiken.html

 潰瘍性大腸炎の悪化ということは、ここでは額面通り受け取ります。まずはお体をお大事にされて欲しいと思います。

 医師としては、潰瘍性大腸炎への偏見が増長されないことを願います。

潰瘍性大腸炎「19歳で人工肛門、現在医師」の僕が今、伝えたいこと
https://news.yahoo.co.jp/articles/3c14dbca157d5c824c5a23f3ae9eaeea59b1d622

「良くなったり悪くなったり」を繰り返す難病 安倍首相の持病「潰瘍性大腸炎」とは
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamototakehito/20200828-00195474/

 それはそれとして、「頑張ったんだからあれこれいうのやめようよ」という雰囲気になるのはよくないと思っています。それは、病気の人に対しても失礼なことで、仕事は仕事として評価するのが礼儀だと思っています。

 科学政策としては、安倍政権だから、という特徴はないのではないかと思います。

 確かに、安倍政権時代に科学技術基本法は科学技術・イノベーション基本法に変わるなど、イノベーション、すなわち科学技術の産業応用、雇用創出という面に焦点が上がりそれが基礎研究者の間からは懸念が出ていました。

科学技術・イノベーション基本法・科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律
https://www8.cao.go.jp/cstp/cst/kihonhou/mokuji.html

科学技術・イノベーション基本計画の検討の方向性(案)
令和2年8月28日 総合科学技術・イノベーション会議 基本計画専門調査会
https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/kihon6/chukan/index.html

 総合科学技術会議の上に経済財政諮問会議など閣議決定が根拠の会議をおいて、科学技術政策が経済政策の下部政策になった点は、特筆すべき点でしょう。

 とはいえ、官邸主導は安倍政権の特徴ですが、科学技術政策に関しては自民党の政策であり、安倍首相の独自性がどこまであったのかはわかりません。自民党が政権に返り咲いてからは安倍首相一人しか首相がいないわけで比較のしようがありません。

 安倍首相の総合科学技術会議の開催頻度は高く、自ら会議に出席して発言していた点は評価できると思います。

 最近は若手研究者政策に積極的でしたが、それは安倍首相のイニシアチブではないと思います。

研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ
https://www8.cao.go.jp/cstp/package/wakate/index.html

 というわけで、この8年間はなかなか評価がしにくいのですが、首相候補の方々がどのような科学技術政策を打ち出すかに関しては、しっかりと見てみたいと思っています。

安倍総理アメリカ合衆国のジョン・レイモンド宇宙軍作戦部長による表敬を受けました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202008/27hyokei.html

レイモンド米宇宙軍作戦部長による安倍総理大臣表敬
https://www.mofa.go.jp/mofaj/na/st/page4_005185.html

「宇宙に関する包括的日米対話」第7回会合の開催(結果)(報道発表)(令和2年8月26日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_008704.html

「宇宙に関する包括的日米対話」第7回会合の開催
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_008696.html

防衛相 米 宇宙軍の作戦部長と会談「宇宙分野も緊密に連携を」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200827/k10012587091000.html

首相、半年ぶり来日要人と会談 日米宇宙協力で一致
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63113780X20C20A8PP8000/

 宇宙の軍事化や軍事研究への前向きな姿勢も、安倍政権下で進みました。

★「ともに創り、ともに未来へ: 新しい発想で先導する科学技術行政と共創の形」 令和2年度 科学技術改革タスクフォース戦略室 報告 ―「科学技術ワクワク挑戦チーム」からの提案―
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2020/1417045_00004.html

 文科省の若手の提案。カセイケンの榎木も意見を言う機会を得ました。特に閉鎖的な研究室の問題の指摘は、私の意見が取り入れられたのかなあと思っています。

 こうした提案がどのように政策に取り入れられていくのか…。協力は惜しまないつもりです。

★「諸外国の教育統計」令和2(2020)年版
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/syogaikoku/1415074_00006.htm

★学校基本調査-令和2年度(速報)結果の概要-
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1419591_00003.htm

女性教員の割合、中高大学などで過去最高に 文科省調査
https://www.asahi.com/articles/ASN8T4S74N8TUTIL00F.html

 大学の教員数は18万9,498人。博士課程の大学院生数は75,372人。

★異業種3社に就職した博士号取得者の意識調査 「大学にはポストも魅力も不足? より良い研究環境求め一般企業へ」
https://sci-news.co.jp/topics/3875/

博士入社社員を対象とした アンケート集計結果
日本電信電話株式会社(NTT)、富士通株式会社、株式会社三菱ケミカルホールディングス
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20200806/siryo3.pdf

 民間企業に行った博士のアンケートという珍しいものです。

安倍総理は第42回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202008/28corona.html

新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組(令和2年8月28日対策本部決定)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/houkoku_r020828.pdf

第42回(令和2年8月28日開催)資料
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/sidai_r020828.pdf

新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00034.html

新型コロナウイルス感染症に関する差別・偏見の防止に向けて(大臣メッセージ)(令和2年8月25日)
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00122.html

 政府は新型コロナウイルスに対し、5つの目標のため7つの取り組みをするとされています。

★なぜ米国はパンデミックに打ち勝てないのか?:アンソニー・ファウチが語る新型コロナウイルスとの闘い(前編)
https://wired.jp/2020/08/28/anthony-fauci-explains-why-the-us-still-hasnt-beaten-covid-1/

新しい感染症によるパンデミックは、またいつか発生する:アンソニー・ファウチが語る新型コロナウイルスとの闘い(後編)
https://wired.jp/2020/08/29/anthony-fauci-explains-why-the-us-still-hasnt-beaten-covid-2/

 アメリカを率いるファウチ氏のインタビュー。ファウチ氏ですがトランプ政権には嫌われているようで、手術で意識がない時に新方針を決められてしまうなど、厳しい状況に追い込まれています。

CDCの新指針、ファウチ所長が懸念表明
https://www.cnn.co.jp/usa/35158741.html

★The danger of DIY vaccines
https://science.sciencemag.org/content/369/6507/1035.full

 サイエンス誌の巻頭言。自分でやるワクチン研究、DIYワクチンがもたらす倫理的問題について警鐘を鳴らしています。

★Africa declared free from wild polio — but vaccine-derived strains remain
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02501-3

アフリカでポリオ根絶 WHOが宣言 残るはアフガンとパキスタン2カ国に
https://news.yahoo.co.jp/articles/5586cbb298051d34fb4d380637300461386db625

 大きな出来事です。

★科学技術に関する国民意識調査-新技術の社会受容性-[調査資料-296]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/45445

★「研究大学における教員の雇用状況に関する調査」速報版の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/45311

 NISTEPの重要資料。後者では大学(RU-11)において全年代の全職種にわたり高齢化が進んでいるという大きなデータです。

★How Mauritius is cleaning up after major oil spill in biodiversity hotspot
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02446-7

日本学術会議の提言や報告です。

2020年 8月31日
提言「ゲノム医療推進に向けた体制整備と人材育成」(PDF形式:941KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t294-4.pdf

2020年 8月31日
提言「発達障害への多領域・多職種連携による支援と成育医療の推進」(PDF形式:525KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t292-7.pdf

発達障害の情報提供、専門性に見合った診療報酬を-学術会議が提言、多領域・多職種連携強化が必要
https://www.cbnews.jp/news/entry/20200831210650

2020年 8月28日
提言「工学システムの社会安全目標の新体系」(PDF形式:737KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t293-5.pdf

2020年 8月28日
提言「物理学における学問分野に基づく教育研究(DBER)の推進」(PDF形式:1,025KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t295-3.pdf

2020年 8月27日
提言「博物館法改正へ向けての更なる提言~2017年提言を踏まえて~」(PDF形式:914KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t294-3.pdf

2020年 8月26日
提言「すべての人に無償の普通教育を 多様な市民の教育システムへの包摂に向けて」(PDF形式:580KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t295-2.pdf

2020年 8月25日
提言「「地理総合」で変わる新しい地理教育の充実に向けて―持続可能な社会づくりに貢献する地理的資質能力の育成―」(PDF形式:1,235KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t295-1.pdf

2020年 8月25日
提言「人類の未来を開くフロンティア人工物工学の展開のために」(PDF形式:920KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t293-4.pdf

2020年 8月25日
提言「気候変動に伴い激甚化する災害に対しグリーンインフラを活用した国土形成により“いのちまち”を創る」(PDF形式:3,056KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t294-2.pdf

2020年 8月25日
報告「工学システムに対する安心感と社会」(PDF形式:946KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-h200825.pdf

★過去論文の図の引用に使用料を要求されるとは
許すまじ、寡占化した専門出版社による科学への妨害
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020081500001.html

性的虐待で起訴された大富豪による科学界への資金提供が浮き彫りにした問題とは?
https://gigazine.net/news/20200826-jeffrey-epstein-money-distort-research/

 エプスタイン氏が亡くなって1年余り。

「科学研究を支援する財力を持った個人が、『自身の興味をそそる』という理由だけで促進する研究分野を選ぶことが可能な時、科学研究の完全性が損なわれてしまう」というものだとオレスケス氏は指摘。

★Potential impact of missing outcome data on treatment effects in systematic reviews: imputation study
https://www.bmj.com/content/370/bmj.m2898

★米国、NASAの研究者を逮捕 中国との関係隠蔽で
https://jp.sputniknews.com/world/202008257719312/

★Confusion over Europe’s data-protection law is stalling scientific progress
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02454-7

★Scientists protest budget cuts in Brazil
https://www.scidev.net/global/funding/news/scientists-protest-budget-cuts-in-brazil.html

In Brazil’s wealthiest state, scientists fear a budget plan could cripple research
https://www.sciencemag.org/news/2020/08/brazil-s-wealthiest-state-scientists-fear-budget-plan-could-cripple-research

ブラジルの科学予算削減に対し科学者が抗議。

★How I managed my work and personal life as a sole parent during the pandemic
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02329-x

 一人親研究者がどのようにパンデミック下で仕事と家庭を両立したか。

★WORKING LIFE
One, two, three, thrive
https://science.sciencemag.org/content/369/6507/1138

I struggled in grad school-until I learned to set realistic goals
https://www.sciencemag.org/careers/2020/08/i-struggled-grad-school-until-i-learned-set-realistic-goals

★Scientists aren’t trained to mentor. That’s a problem
https://www.sciencemag.org/careers/2020/08/scientists-aren-t-trained-mentor-s-roblem

 確かに研究者はメンターになるトレーニングはしておらず、それが様々な問題を引き起こしています。

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.885 2020年9月1日号 巻頭言
【発行者】一般社団法人科学・政策と社会研究室(担当 榎木英介)
【編集者】Science Communication News編集部
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国循阪大研究不正の衝撃

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★発行部数 2,563部(8月25日現在)
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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.884 2020年8月25日号 巻頭言
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大学のオンライン授業に関する全国大学教員アンケートを実施中(締切8月31日)
https://cactuscommunications.formstack.com/…/sciencetalks_o…
新型コロナウイルス禍で日本の多くの大学がオンライン授業を導入しました。多くの大学教員・学生の方が初めてオンライン授業を経験し、現場では様々な意見が出ています。研究者・科学政策の専門家・企業と市民を繋ぐコミュニティ、サイエンストークスでは、研究者有志により大学のオンライン授業に関するアンケートを開始しました。本アンケートをもとに、YouTubeチャンネル、ScienceTalks TVで9月に大学オンライン授業の様々な論点を語る動画を配信いたします。また、希望者の方には調査レポートを共有いたします。
オンライン授業に関わるすべての教員の方々のご協力を何卒よろしくお願いいたします。
YouTubeチャンネルへの登録もぜひおねがいします
https://www.youtube.com/c/ScienceTalksJapan/

【巻頭言】
★国循阪大研究不正の衝撃
2020年8月18日~2020年8月25日
カセイケン代表 榎木英介

 以前から指摘はありましたが、国立循環器病院研究センターと大阪大学に所属していた研究者の研究不正が明らかになりました。

★研究所元職員による研究活動上の特定不正行為について
http://www.ncvc.go.jp/topics/20200818.html

研究活動上の特定不正行為に関する調査結果について
https://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2020/08/20200818001

 調査委員長として、ベストセラーの著書や書評で有名な阪大の仲野徹教授が関わっています。研究不正は調査に関わる仲野氏のような現役研究者の時間と労力を奪ってしまうという側面があることは認識すべきです。

第104回先進医療技術審査部会 資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13062.html

 研究不正発表の2日後におこなわれた厚労省の先進医療技術審査部会で、早速取り上げられています。

資料11-2 研究活動における特定不正行為とJANP Studyについて(大阪大学医学部附属病院
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000660920.pdf

申請医療機関からの報告 (大阪大学医学部附属病院)
[参考論文における研究不正行為による研究実施計画の変更について]
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000660921.pdf

 撤回された論文の一つは、hANPが肺がんの転移抑制に効果があるかを調べていた臨床研究のJANP Studyの参考論文となっており、JANP Study自体の妥当性に大きな疑問が投げかけられています。

「医師が論文5本で捏造や改ざん」 阪大と国循が発表
https://www.asahi.com/articles/ASN8L6J5VN8LPLBJ006.html

 有料部分で恐縮ですが、カセイケン榎木がコメントしています。コメントでは、患者さんに薬が投与された臨床研究の根拠が揺らいでいるということは、医療倫理としても大きな問題があるのではないかと述べました。

肺がん治療で論文5編に不正 大阪大、元医員を処分
https://www.chunichi.co.jp/article/106485

「先進医療の中止も想定」 阪大の研究不正で国審査部会
https://www.asahi.com/articles/ASN8N7FQ9N8NULBJ004.html

 そもそもの根拠となったPNAS論文は、「メガコレクション」(大規模修正)があったとして、以前から問題視されていました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%87%8F%E8%A8%82%E6%AD%A3_(%E8%AB%96%E6%96%87)

国内のミスコンダクト事例とその背景
https://drive.google.com/file/d/1L-JwzfhXGaPac1mjJq7Tl-HsD72Fjmr2/view

A 2015 PNAS paper is six pages long. Its correction is four pages long.
https://retractionwatch.com/2018/08/07/a-2015-pnas-paper-is-six-pages-long-its-correction-is-four-pages-long/

Pubpeerでも議論されています。
https://blog.pubpeer.com/publications/C4D85860F12DA1F1B0F4A6D39A9F0D

 今後このPNAS論文も調査対象になるとのことですが、研究不正が認定されれば、国費が投入された先進医療の研究が意味なくなるわけで、重大な問題です。

 気になるのは、健康被害の有無です。

第79回先進医療技術審査部会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000211852_00008.html

の資料7
https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000452801.pdf

でこの試験のことが書かれていますが、

本試験のハンプ投与群で 4 例の脳梗塞が発症したことがあり

 と気になる文章が出ています。「独立安全性モニタリ ング委員会では左上葉切除など術式が大きな原因と考察されている」とのことですが、精査していただきたいと思います。

 今回の研究不正では、筆頭著者のみが責任を負うことになりましたが、それでよかったのかも含め、しっかりとみていく必要があります。

 筆頭著者の方は2017年に日経新聞に取り上げられていました(元サイトが消えたのでアーカイブをリンクします)
http://web.archive.org/web/20191102213043/https://www.nikkei.com/article/DGXMZO16400660V10C17A5X13000/

 サクセスストーリーが美しく語られていますが、素手でマイクロピペットを持った写真があるなど、ややちぐはぐな感じもしています。記事の最後には

 「ハンプ」はその先頭集団。がん転移抑制剤として脚光を浴びる日は来るのか。答えは3年後だ。

 と書かれていますが、3年後のいま、こうして取り上げられることを予想していたのでしょうか。

 話は変わって新型コロナウイルスですが、ピークが過ぎたのではないかと言われています。果たして「第2波」はこのまま収束するのか、安心はできません。

新型コロナウイルス感染症対策分科会
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/yusikisyakaigi.html#3

第6回資料
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona6.pdf

新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種に関する分科会の現時点での考え方(PDF/153KB)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/vaccine_kangae.pdf

第7回資料
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona7.pdf

大都市の歓楽街に対する迅速な感染拡大防止と中長期的な感染防止を目的とした提言(PDF/114KB)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/kanrakugai_kansenboushi.pdf

 日本の新型コロナウイルス対策に関しては、BMJの巻頭言で考察されれています。

Resurgence of covid-19 in Japan
https://www.bmj.com/content/370/bmj.m3221

 コミュニケーションの問題や政府の透明性の問題が課題として挙げられています。

★【独自】新型コロナ専門家会議の発言録入手 “検証”阻む黒塗りの壁
https://this.kiji.is/669379030982689889

 検証もできない情報公開では不信感が増すばかりです。

★コロナ専門家への情報隠し批判 適切な発信が不安緩和
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62897800R20C20A8X90000/

 田中幹人さんのインタビュー。

★科学的根拠が明示されない日本の感染症対策の咎
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61732

★大学のキャンパス再開が難しい理由と、政府に求められる大学支援
https://news.yahoo.co.jp/byline/murohashiyuki/20200821-00191226/

★外国人留学生の入国、月内にも緩和 再入国は全面解禁へ
https://www.asahi.com/articles/ASN8P7648N8PUTFK008.html

 関係機関は学生が厳しい状況に直面している問題に早急に対応してほしいと思います。

 学生の苦境は日本だけではありません。

★COVID-19 Outbreaks Occur as Students Return to Campus
https://www.the-scientist.com/news-opinion/covid-19-outbreaks-occur-as-students-return-to-campus-67830

★Pandemic harms Canadian grad students’ research and mental health
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02441-y

★Signs of depression and anxiety soar among US graduate students during pandemic
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02439-6

★Pandemic on campus: tell us how your institution is coping
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02452-9

★Millions of students are returning to US universities in a vast unplanned pandemic experiment
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02419-w

★Grad students challenge university-mandated COVID-19 agreements
https://www.sciencemag.org/news/2020/08/grad-students-challenge-university-mandated-covid-19-agreements

★How schools can reopen safely during the pandemic
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02403-4

★「記者は気持ちいいかもしれないが…」新型コロナの速報合戦、専門家分科会メンバーが批判
https://www.buzzfeed.com/jp/yutochiba/covid-19-media

★問われる科学と政治の距離 コロナ禍「透明性こそ重要」
https://www.asahi.com/articles/ASN8M3RS1N8CUPQJ00D.html

★INSDCの参加機関およびNLM、科学コミュティーSARS-CoV-2配列データの共有を促す声明を発表
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=12234

★‘It’s absurd’: Coronavirus researcher shut down by US funding agency vents frustrations
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02473-4

★A dangerous rush for vaccines
https://science.sciencemag.org/content/369/6506/885

Knowledge transfer for large-scale vaccine manufacturing
https://science.sciencemag.org/content/369/6506/912.full

 ワクチン開発の前のめりな姿勢に懸念の声が出ています。

★第5回「新型コロナ対策のための全国調査」からわかったことをお知らせします。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13101.html

感染防止に配慮したつながり支援等の事例集を公表します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13142.html

新型コロナウイルス感染症対策における市民の自発的な行動変容を促す取組(ナッジ等)の募集について(結果)
https://www.env.go.jp/press/108269.html

 ナッジに関してはかねがね注目してきました。ここで取り上げられたのは、香川の小中学校の例でソーシャルディスタンスをブリで表すというものです。

 そのほか
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/COVID-19_r.pdf

 に様々な事例が紹介されています

 人の意欲に頼るだけではなかなか行動変容はできません。ナッジと組み合わせ、好事例が多く出ることを願っています。

★大雨特別警報と警戒レベルの関係を分かりやすくします(気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/press/2008/21a/20200821_tokubetsukeihou_kaizen.html?833

 警報と避難行動。分かりやすいことが一番です。

★Scientists worried the pandemic would cause malaria deaths to soar. So far, it hasn’t happened
https://www.sciencemag.org/news/2020/08/scientists-worried-pandemic-would-cause-malaria-deaths-soar-so-far-it-hasnt-happened

 COVID-19の蔓延でマラリアの死者が増加するのではないかと言われていましたが、そうならなかった、それはなぜかという記事です。

東京大学コンサルティング会社を立ち上げた理由
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00006/081700103/

東大、40年債で200億円 国立大初の市場調達
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62883610R20C20A8000000/

 東大が大学債を発行したり、コンサルティング会社を作ったりと攻めに出ています。

★ 提言「「人口縮小社会」という未来-持続可能な幸福社会をつくる-」(PDF形式:747KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t296-1.pdf

記録「研究データに関する北京宣言」(PDF形式:787KB)
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kiroku/3-20200629.pdf

提言「大学入試における英語試験のあり方についての提言」(PDF形式:755KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t292-6.pdf

報告「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準 教育学分野」(PDF形式:608KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-h200818.pdf

★From ACTH to DNA: the rise of acronyms in research
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02466-3

 1950年以来の論文に使われている略語調査。使われているのは一部と。

 分野により異なる略語は悩みの一つです…。

★「女性優遇は非生産的」 掲載の独化学誌、批判浴び謝罪
https://www.asahi.com/articles/ASN8L5TWSN8HUBQU00M.html

★Black scientists matter
https://science.sciencemag.org/content/369/6506/884

★Author declaration: have you considered equity, diversity and inclusion?
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02429-8

私たちは、科学雑誌が論文を投稿する際に、著者に研究の実施が多様性、公平性、包摂性を考慮しているかどうかを宣言するように求めることで、このようなバイアスの例を克服することができると提案しています。

 日本では残念ながら無意識も、有意識もバイアス偏見だらけです。なんとかしなければなりません。

★名和豊春・北大前総長が沈黙を破った!「私が解任された本当の理由」
https://hre-net.com/syakai/kyoiku/46985/

★China’s research-misconduct rules target ‘paper mills’ that churn out fake studies
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02445-8

★片っ端からDNA 協力しないと知らぬ間に親類の所へ
https://www.asahi.com/articles/ASN8Q11CQN7ZULFA011.html

犬探して貼り紙…それだけでDNA「一生、容疑者扱い」
https://www.asahi.com/articles/ASN8Q119KN8PULFA027.html

容疑者の多くからDNA採取 DBに130万件と判明
https://www.asahi.com/articles/ASN8P6Q8HN7QULFA012.html

★750 Million GM Mosquitoes Will Be Released in the Florida Keys
https://www.the-scientist.com/news-opinion/750-million-gm-mosquitoes-will-be-released-in-the-florida-keys-67855

★ヒト受精卵に対するゲノム編集の臨床利用に関する意識調査
https://k5.net-research.jp/e/1141901/login.php?cid=1

ノーベル賞最有力候補「ゲノム編集」が本命とは言えない理由
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/74679
https://news.yahoo.co.jp/articles/09a390ccb689dcc922168893a552dd7f01ebfcf1

★次世代の遺伝的介入(ゲノム編集やエピゲノム編集など)の是非を分析するための倫理的枠組みについて
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/200820-140000.html

Destination, Mars! Pictures celebrate the launch of three bold missions
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01966-6

 火星がホットスポットになっています。

★New U.S. ethics board rejects most human fetal tissue research proposals
https://www.sciencemag.org/news/2020/08/new-us-ethics-board-rejects-most-human-fetal-tissue-research-proposals

★California Wildfires Threaten UC Campus, Telescopes
https://www.the-scientist.com/news-opinion/california-wildfires-threaten-uc-campus-telescopes-67854

 多発する森林火災の影響は大学や研究に及びます。

★‘You can’t imagine the disaster we’re living in’: Lebanon’s researchers struggle to cope with explosion aftermath
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02437-8

 あの大爆発の影響は想像以上。

★「保護」から「共有」へ大転換、EUの新データ戦略は何を意味するか
https://www.technologyreview.jp/s/215976/the-eu-is-launching-a-market-for-personal-data-heres-what-that-means-for-privacy/

 EUの戦略は我々にも影響を与えます。

★My first grad school adviser made life miserable. Choose yours wisely
https://www.sciencemag.org/careers/2020/08/my-first-grad-school-adviser-made-life—iserable-choose-yours-wisely

Choose your adviser wisely
https://science.sciencemag.org/content/369/6506/1026

 指導教員の選び方。間違うと悲惨なことになるのは洋の東西を問いません。

大学院は、忍耐と忍耐力を必要とする大変で長い道のりです。自分と相性の良い研究室を見つけることは非常に重要です。私は、研究室に入る前に、私の失敗から学び、十分な注意を払って研究室に入ることをお勧めします。多くの質問をし、多様な意見を求めてください。

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.884 2020年8月25日号 巻頭言
【発行者】一般社団法人科学・政策と社会研究室(担当 榎木英介)
【編集者】Science Communication News編集部
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