科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

みえない「パラレルワールド」を求めて

2020年5月19日~2020年5月26日
カセイケン代表 榎木英介

 緊急事態宣言は全国で解除されました。

新型コロナウイルス感染症緊急事態解除宣言
https://corona.go.jp/news/pdf/kinkyujitaisengen_gaiyou0525.pdf

新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針
令和2年3月 28 日(令和2年5月 25 日変更) 新型コロナウイルス感染症対策本部決定
https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_h_0525.pdf

新型コロナウイルス感染症対策本部(第 36 回)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/sidai_r020525.pdf

移行期間における都道府県の対応について
https://corona.go.jp/news/pdf/ikoukikan_taiou_0525.pdf

安倍総理は第36回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202005/25corona.html

安倍総理は記者会見を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0525kaiken.html

 経済的にダメージを受けながらも、感染者が減りました。

 果たしてこの状況をどう考えればよいのか。世界も日本も考えあぐねているようです。

★日本はうまくいったのか 解除後もモヤモヤ続くわけ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59532670V20C20A5I00000/

★「日本は成功」海外メディア、新型コロナで手のひら返し
https://news.yahoo.co.jp/byline/inosehijiri/20200524-00180130/

★From near disaster to success story: how Japan has tackled coronavirus
https://www.theguardian.com/world/2020/may/22/from-near-disaster-to-success-story-how-japan-has-tackled-coronavirus

 「日本モデル」というべきものがあったのか、単なる偶然なのか。

 SARS-Xなる未知のウイルスが流行していたからなのか。BCGなのか。HLAなのか。

 理由がわからないので、もやもやするのは分かります。

 そして「うまくいった」のかさえ意見が一致しません。

 専門家のせいで感染により人が死んだのか、専門家のせいで経済問題で人が死んだのか。

★政治と科学、責任を取るのはどちらか?
https://bit.ly/2TFdNib

 ここに来て、経済にダメージを与えた西浦教授への厳しい批判、いや、非難とも呼べる意見が広がっています。曰くもっと早く緊急事態宣言は解除できたと。

 現段階でなぜこのような状況になっているか不明な段階で、対応が良かったのかも悪かったのかも分からないというのが正直なところでしょう。対応が異なった「パラレルワールド」は、現実には見ることができません。

 諸外国を「パラレルワールド」に見立てる方法もありますが、感染拡大国を「パラレルワールド」にするか、完全に押さえ込んだ国を「パラレルワールド」とするかで、全く違う判断が導けてしまいます。

 まだ事態は進行形であり、現状分析を進め、改めるべきは改めて、今後来るべき事態に備えないといけません。

 みえない「パラレルワールド」を見るために科学的な様々な手法があるわけです。是非それを駆使し、忌憚なき検証が行われることを期待します。ただ、個人の責任追及が問題の解決につながらないというのは、医療や航空機事故等でも言われてきたことです。

 この欄で繰り返し述べてきましたが、専門家会議やそれを含めた有志の会と政治との関係が曖昧で、政府に矢面に立たされて「盾」にされた感じがあります。自ら「盾」になった感じもあります。

★ 悩める新型コロナ専門家会議、情報の出し方模索
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59274980Z10C20A5I00000/

 政府に助言を与える専門家に政治的責任を負わせることは問題です。

 責任があるとして、どうやれば責任を取ることになるのでしょうか。西浦教授を排除したとして、よりよい対応ができるのか。西浦教授がいる世界、いない世界、「パラレルワールド」は見ることができません。

 ただ、この責任追及の動きを招いてしまったのは、人選含め、専門家と政府のやりとりが公開されていないことも一因だと思います。そのあたりがモヤモヤの原因でもあると思います。

★8割おじさん・西浦教授が語る「コロナ新事実」
アメリカが感染拡大の制御を止める可能性
https://toyokeizai.net/articles/-/352503

 その西浦教授。一国で感染を抑えても、アメリカの圧力が感染拡大に繋がる可能性を指摘。

★査読前論文、コロナで注目 信頼性確保がカギ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59532180V20C20A5XY0000/

Reasons to Worry Less About the Explosion of Preprints
https://absolutelymaybe.plos.org/2020/05/25/reasons-to-worry-less-about-the-explosion-of-preprints/

 プレプリント問題。査読や別の雑誌への再投稿の手間を考えれば利点もあるよ、という主張も。

★「PCR検査論争」が不毛な理由 同調圧力が支配する日本の感染症対策を考える
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-kentaro-iwata-1

★研究を再開する際に留意すべきこと
https://wps.itc.kansai-u.ac.jp/biocheng/2020/05/646/

 関西大片倉教授。

★日本国内におけるCOVID-19に関するアーカイブ活動調査のためのアンケート
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfMMCeSHTm1vfAof5eHmDOXUrPPZjgbY28pyHbjs0qdNL2A0Q/viewform

★現金給付、留学生は上位3割限定
文科省、成績で日本人学生と差
https://this.kiji.is/635796561105159265

留学生給付は上位3割のみ
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59435580S0A520C2CE0000/

新型コロナ 留学生給付、成績上位3割 文科省、大学に伝達
https://mainichi.jp/articles/20200522/ddm/012/040/041000c

 せっかく日本に来てくれた学生をがっかりさせるのではないかとの意見も。

医学生の7%が退学を検討
親の収入減、実習に不安も
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200521-00000128-kyodonews-soci

 開業医の経営難も影響を与えていると思われます。

★英ケンブリッジ大、講義はオンラインだけに 来年度
https://www.bbc.com/japanese/52734052

 名門大学だけに衝撃が広がりました。

★小学校の9月入学、2案提示 文科省「移行1年か5年」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59299790Z10C20A5EA2000/

9月入学なら法改正30超 来年導入想定し検討
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59323830Q0A520C2PP8000/

賛否渦巻く「9月入学」、今年度は「実質11カ月」案も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59244250Y0A510C2000000/

 9月入学問題。

★新型コロナ、日本独自戦略の背景に結核との闘い
対策の要「保健所」の歴史から見えるもの
https://this.kiji.is/636063326715642977

 新型コロナウイルスの最前線に立つ保健所。その歴史と背景、そして課題を知ることは重要です。

★Ten reasons why immunity passports are a bad idea
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01451-0

★Opinion: The Isolated Scientist
https://www.the-scientist.com/news-opinion/opinion-the-isolated-scientist-67544

★Tackle coronavirus in vulnerable communities
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01440-3

 これは世界共通の課題です。

★Are women publishing less during the pandemic? Here’s what the data say
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01294-9

★博士人材の多様なキャリアパス構築に向けて大阪大学キャリアセンターと文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が連携協力に関する覚書を締結
https://www.nistep.go.jp/archives/44326

NISTEP、大阪大学キャリアセンターと連携協力に関する覚書を締結
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=12060

★研究データ公開と論⽂のオープンアクセスに関する実態調査2018[調査資料-289]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/44300

★第73回WHO総会が開催されました(第2報)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11404.html

第73回WHO総会が開催されました
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11383.html

新型コロナウイルスに有効な界面活性剤を公表します(第一弾)
https://www.meti.go.jp/press/2020/05/20200522009/20200522009.html

★フィリピンから来日後に狂犬病を発症した患者(輸入感染症例)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11464.html

 14年ぶりに狂犬病が出ました。

★報告
地球惑星科学分野における 科学・夢ロードマップ(改訂) 2020
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-h200515.pdf

★提言
長期の温室効果ガス大幅排出削減に 向けたイノベーションの加速
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t289-1.pdf

★科学的根拠に基づいて「9月入学」を考える
https://drive.google.com/file/d/1wGoEJPGRlSzFjOrqlQ-p5wsCZJqRiKZf/view

★Open-access science funders announce price transparency rules for publishers
https://www.sciencemag.org/news/2020/05/open-access-science-funders-announce-price-transparency-rules-publishers

★Interview with JBC research integrity manager Kaoru Sakabe
https://forbetterscience.com/2020/05/19/interview-with-jbc-research-integrity-manager-kaoru-sakabe/

★刷新されたPubMedに対し一部の利用者がSNSで不満を吐露(記事紹介)
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=12063

They redesigned PubMed, a beloved website. It hasn’t gone over well
https://www.sciencemag.org/news/2020/05/they-redesigned-pubmed-beloved-website-it-hasn-t-gone-over-well

★Springer Nature社、DORAに署名
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=12055

★Will Trump White House tear down journal paywalls? Many anxiously await a decision
https://www.sciencemag.org/news/2020/05/will-trump-white-house-tear-down-journal-paywalls-many-anxiously-await-decision

★NIH Director Francis Collins honored for work to bridge science and religion
https://www.sciencemag.org/news/2020/05/francis-collins-honored-work-bridge-science-and-religion

★なぜ博士号をとったのに大学教員にならないのか
https://www.ki1tos.com/entry/2020/05/21/181426

 博士号は教員になるためだけのものではないと私は思いますが、そう思うまでに時間は必要だと思います。

修士・博士・ポスドクと専門性の高い人材を求める企業をマッチングするサービス「博士のキャリア」を開設―epiST
https://itjinzai-lab.jp/article/detail/2218

博士人材に高年収のチャンス!ジョブ型採用の新マッチングサイト
https://newswitch.jp/p/22291

新型コロナとラクイラ地震〜専門家の責任とは

2020年5月12日~2020年5月19日
カセイケン代表 榎木英介

 まずはご案内を。

緊急事態宣言による在宅勤務中の科学者・技術者の実態調査
担当:男女共同参画学協会連絡会 提言・要望委員会
締切は6月13日
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeh3BkCEI0fo0gpouW2rCHr-0ryLopnFGgHod-TjOCUUAJnuA/viewform

 在宅の研究者の様子は以下のような報道があります。

★図書館休館で「論文が間に合わない」 コロナ禍の「若手研究者」に降りかかる困難
https://news.yahoo.co.jp/articles/3448a182bf29ecdd3816e6e352af2b4e98878fd2

 図書館という拠点を失ったことの大きさが窺い知れます。

★Coronavirus shut-downs pose huge threat to Australian research jobs
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01407-4

 オーストラリアでは、研究者が研究費や職を失いかねない危機的な状況に直面しています。

★Amid the COVID-19 Pandemic, Some Scientists Bring the Bench Home
https://www.the-scientist.com/news-opinion/amid-the-covid-19-pandemic-some-scientists-bring-the-bench-home-67533

 DIYバイオ、バイオハッカーとの境界が曖昧になるような感じです。

★Impact of COVID-19 on academic mothers
https://science.sciencemag.org/content/368/6492/724.1

 在宅は女性研究者に大きな負担を強いているというジェンダー問題も発生しています。

★Opinion: Lab Work Under Isolation
https://www.the-scientist.com/news-opinion/opinion-lab-work-under-isolation-67398

★Learning to love virtual conferences in the coronavirus era
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01489-0

 オンライン会議に適応しつつある研究者もいます。

★As labs move to reopen, safety worries abound
https://science.sciencemag.org/content/368/6492/690.full

★Secretive Jasons to offer advice on how to reopen academic labs shut by pandemic
https://www.sciencemag.org/news/2020/05/secretive-jasons-have-advised-united-states-nuclear-war-next-how-reopen-labs-pandemic

 ロックダウンの解除にも問題があります。

 話は戻りますが、緊急事態宣言下の日本の研究者の情報発信がまだ足りないように思います。ぜひアンケートにお答えください。

 新型コロナ、政府の対応です。

 もう5日も経ってしまいましたが、緊急事態宣言が解除された地区が出ました。こういう時週刊メルマガでは遅すぎるという感じです。

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(令和 2 年 5 月 14 日)
https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/jyoukyou_bunseki_0514.pdf

業種別ガイドラインについて
https://corona.go.jp/prevention/pdf/guideline_20200514.pdf

新型コロナウイルス感染症対策本部(第 34 回)
https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/sidai_r020514.pdf

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(第 14 回)
https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/senmonka_sidai_r020514.pdf

緊急事態措置を実施すべき区域の変更等に伴う都道府県の対応について
https://corona.go.jp/news/pdf/kinkyujitai_kuikihenkou_0514.pdf

緊急事態措置を実施すべき区域の変更等に伴う都道府県の対応について
https://corona.go.jp/news/pdf/kinkyujitai_kuikihenkou_0514.pdf

新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の区域変更
https://corona.go.jp/news/pdf/kinkyujitaisengen_gaiyou0514.pdf

安倍総理は第34回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202005/14corona.html

安倍総理は記者会見を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0514kaiken.html

イベルメクチンなど3剤、有効性確認後に早期承認へ-安倍首相が表明
https://www.cbnews.jp/news/entry/20200515192634

 この緊急事態宣言の解除については、政府の対応が遅すぎるという意見と早すぎるという意見の二つから「挟撃」されています。

 遅すぎる派は、北大西浦教授を批判し、早すぎる派は「第2波」を懸念しています。

 ちょっと気になるのが、遅すぎる派に知事経験者がいることです。政治の責任の取り方を知っている人が、専門家の責任を追求しているわけで、これは知っていてあえてやっているのかどうか気になるところではあります。

 専門家の責任が問われた事態で思い出すのが、イタリアで発生したラクイラ地震です。

裁かれた科学者たち ラクイラ地震で有罪判決
https://facta.co.jp/article/201302018.html

地震予知できなかった科学者を殺人罪とする判決、一転無罪に:イタリア
https://wired.jp/2014/11/11/laquila-earthquake-ruling-overturned/

ラクイラ地震裁判
災害科学の不定性と科学者の責任
http://taro.eri.u-tokyo.ac.jp/saigai/published/koketsu_oki2015.pdf

 詳細は上記の記事、文章をお読みいただいのですが、イタリアのラクイラ地区で頻発していた地震の評価のために集められた専門家が、あたかも大地震が起きない「安全宣言」をしたかのように報道等されたことで、大地震が発生したのちに訴えられたというものです。

 一審では有罪となり、科学コミュニティを震撼させましたが、二審では無罪となりました。

 西浦教授や専門家委員会に対し、厳しい予測で人々を惑わせ、経済を破綻させたなどとして訴えられる、あるいはその逆に、誤った対策を助言したために死者が増えたとして訴えられる二つの可能性があるように思っています。

トロント大学准教授Phillip Lipscy氏による、「なぜ日本のコロナ対策は不評なのか?」に関する考察
https://togetter.com/li/1508916

「生ぬるい」対応の日本、なぜ欧米より死者が少ないか
https://note.com/gyamaguchi/n/ne2d2d72e75fc

日本のコロナ対策「奇妙な成功」 低い死亡率、米外交誌が論評
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200515-00000101-kyodonews-int

 日本の現状を「成功」と見るのか、そうでないと見るのかには、見解の違いがあります。どちらの見解からも政府に助言する専門家は批判を受けています。

 批判を甘んじて受けるのが専門家の責任だと言われればそれまでですが、科学的助言がどの程度責任を取るべきか、考えてしまいます。

★コロナ対策で助言必要 岸・前外相科技顧問に聞く
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58941490R10C20A5000000/

 外務省で科学顧問だった岸さんの言葉は重いです。

"「新型コロナ対策専門家会議は頑張っていると思うが、市民に合わせた説明をしているため学術的には説明が不十分に思うことがある。市民性は大事だが、科学的な根拠がしっかりわかる説明が求められている。また(STAP細胞事件後の)理化学研究所改革委員会の委員長を務めた経験から言えば、行政との距離の取り方が難しい。役所から独立していないと取り込まれてしまう。理研改革委の時は文部科学省理研の関係者には退出してもらってから議論をした」

「科学的な助言システムとして、各省庁に科学技術顧問がいて、災害など緊急時にすぐに専門家を結集できるネットワークを日ごろから維持していくのがよいと考える」"

 岸さんへのインタビューをした日経新聞の滝 順一編集委員は以下のような記事も書かれています。

★コロナ専門家会議の迷走、独立性なくあいまいな組織
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58852670Y0A500C2000000/

 ここでも、専門家の独立性について触れられています。

★U.K. government should not keep scientific advice secret, former chief adviser says
https://www.sciencemag.org/news/2020/05/uk-government-should-not-keep-scientific-advice-secret-former-chief-adviser-says

 科学的助言のもう一つの重要な点は透明性です。透明性を担保するためにも独立性は求められていると思います。

★第40回厚生科学審議会感染症部会(持ち回り開催)資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11288.html

安倍総理は第38回未来投資会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202005/14miraitoushi.html

安倍総理は令和2年第7回経済財政諮問会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202005/15keizaishimon.html

★政府、授業料減免の大学を助成へ 困窮の学生救済促す 新型コロナ
https://mainichi.jp/articles/20200516/k00/00m/040/213000c

★困窮学生に最大20万円給付、閣議決定 43万人対象
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59275740Z10C20A5MM0000/

 これは大きな決定です。

PCR検査は増やすべきなのか?
https://www.yushoukai.org/blog/pcr

★臨床検査医学会栁原氏、新型コロナのPCR検査が増えない3つの理由
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/05/12/06912/

★「自由」を危機にさらす「全員PCR検査論」の罠
「誰のためのPCR検査なのか」冷静に考えたい
https://toyokeizai.net/articles/-/350192

PCR検査をめぐる「5つの理論」を検討する
https://webronza.asahi.com/national/articles/2020051500010.html

 いまだPCR問題が論争になっています。

 私もちょっと勘違いしていた時期がありましたが、PCR検査の増強は、目一杯働いている臨床検査技師をさらに使い倒せというわけではないということです。

 また、「全員PCR」もごく一部でしか言われていません。

 誰も批判していないことを批判されていると思って反論する、いわゆる「藁人形」叩きが起きているようにも思います。

 要は必要な時に必要なPCRができる体制を作ることで、その方法として、民間検査センターと大学の活用があります。

★大学のPCR検査能力、文科省が調査 山中教授も提言
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200513-00000004-asahi-soci
https://www.asahi.com/articles/ASN5D7HZRN5DULBJ00J.html

 これには大学の研究者からかなり反発がありました。

 慈恵医大のように基礎研究者が自発的にやっているところもあります。これは成功事例だと思いますが、「ピペド」で持っている現場にいきなり持ってくるのは難しいのかもしれません。

 民間の衛生検査所の余力については、かなりあることが分かっています。

第9回遺伝子・染色体検査アンケート調査報告書の公表について
http://www.jrcla.or.jp/info/info/info_124.html

 4月の患者ピーク時のPCR検査が不足していたのは明らかで、次にこのような患者増が起こったときの備えはしておくべきです。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原検査キット 製造販売承認の取得について
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4544/tdnet/1827081/00.pdf

新型コロナ検査、新段階に 厚労省、抗原検査キットを13日に承認
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/review/2020/05/20200512_01.html

抗原検査キット承認へ 短時間で結果、救急患者にも活用
https://www.asahi.com/articles/ASN5D3V56N5DULBJ002.html

 富士レビオの抗原検査キットが承認されました。

★Coronavirus: How 'overreaction' made Vietnam a virus success
https://www.bbc.com/news/world-asia-52628283

 ローコストで感染を抑え込んだベトナム。徹底的な隔離と検査が肝のようです。

★COVID-19 死亡例における死後組織検体の検査について(2020年5月12日版)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2518-lab/9610-covid19-20.html

コロナ死亡例の組織検体の検査、針生検で検索可能-国立感染症研究所が見解
https://www.cbnews.jp/news/entry/20200515141846

 これは私の本業にとっては重要な見解です。

★オンライン教育、親が悲鳴
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59201570V10C20A5CR8000/

遠隔授業に四苦八苦 アクセス殺到、通信環境も課題
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59193790V10C20A5CN8000/

遠隔授業活用、6割「実施」 4割弱が「視野」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO58986310S0A510C2TCN000/

 私もオンライン授業を何度か行いましたが、課題は

学費支援 拡充の動き
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59099420U0A510C2PPD000/

★新型コロナウィルス感染パンデミック時における治療薬開発についての緊急提言
https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/1526

コロナ治療薬「特例的承認」に懸念 日本医師会有識者会議が声明
https://mainichi.jp/articles/20200519/k00/00m/040/089000c

 パンデミックならなんでもあり、ではいけません。

医療機関の経営危機への対応策を検討、厚労省-新型コロナ感染拡大で
https://www.cbnews.jp/news/entry/20200513190617

 患者が集中したのは一部の機関であり、この不均衡が日本の医療体制の問題です。

★Include the true value of nature when rebuilding economies after coronavirus
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01390-w

★Double epidemic could crash Latin America health systems
https://www.scidev.net/global/coronavirus/news/double-epidemic-could-crash-latin-america-health-systems.html

 デング熱と新型コロナのダブルパンチを受けています。

★How to report the science of COVID-19
https://www.scidev.net/global/script-practical-guide/how-to-report-the-science-of-covid-19.html

★Scientists are drowning in COVID-19 papers. Can new tools keep them afloat?
https://www.sciencemag.org/news/2020/05/scientists-are-drowning-covid-19-papers-can-new-tools-keep-them-afloat

 論文爆発をどう乗り切るか。

★COVID-19 / SARS-CoV-2 に関する研究の概況 [DISCUSSION PAPER No. 181]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/44297

 NISTEPのまとめです。

★An unequal blow
https://science.sciencemag.org/content/368/6492/700

 過去のパンデミックから学。

★今後10年の我が国の地球観測の実施方針のフォローアップ報告書(中間とりまとめ)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/097/houkoku/1422531_00001.htm

★研究データ公開と論文のオープンアクセスに関する実態調査2018[調査資料-289]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/44300

大学発ベンチャー実態調査とチームビルディング事例集を取りまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2020/05/20200515003/20200515003.html

★「今後の自然公園制度のあり方に関する提言」について
https://www.env.go.jp/press/107987.html

★報告
地球惑星科学分野における 科学・夢ロードマップ(改訂) 2020
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-h200515.pdf

★提言
長期の温室効果ガス大幅排出削減に 向けたイノベーションの加速
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t289-1.pdf

★Meet this super-spotter of duplicated images in science papers
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01363-z

注目の「ネカトハンター」エリザベス・ビク博士。

★Reproducibility: bypass animals for antibody production
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01474-7

★Publishers launch joint effort to tackle altered images in research papers
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01410-9

 重要な取り組みです。

立教大学総長退任予定および次期総長選出手続きについて
年内に総長選挙を実施、決定予定
https://www.rikkyo.ac.jp/news/2020/05/mknpps0000017joy.html

立教大教員が学生にセクハラ、懲戒解雇 被害対応誤り総長引責辞任
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200515-00000067-mai-soci

★元院生論文不正 指導教授を懲戒 徳島大 /徳島
https://mainichi.jp/articles/20200517/ddl/k36/040/257000c

教員の処分について
https://www.tokushima-u.ac.jp/docs/20318.html

★21年度の専攻医募集、「研究者枠」設定へ-日本専門医機構
https://www.cbnews.jp/news/entry/20200518153518

 絶滅危惧種MD-PhD問題。

★中国系研究者、米から助成金を不正受給か…FBI「中国政府が犯罪促している」
https://www.yomiuri.co.jp/world/20200516-OYT1T50151/

Fired Emory University neuroscientist with ties to China sentenced on tax charge
https://www.sciencemag.org/news/2020/05/fired-emory-university-neuroscientist-ties-china-sentenced-tax-charge

★米国務長官、中国系ハッカー集団のコロナ研究機関不正侵入を批判
http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKBN22Q38J.html

中国系ハッカー集団、新型コロナ研究機関に不正侵入=米当局
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-china-cyber-idJPKBN22P2RN

 中国とアメリカの対立は、現在開催中のWHO総会でも。

Seventy-third World Health Assembly
https://www.who.int/about/governance/world-health-assembly/seventy-third-world-health-assembly

★日本企業はもっと博士号取得者を採用して、先端的な知識や専門外の知見を活用すべき
https://hakushi.careers/column/chuo-univ-prof-taguchi/

プレプリントとオープンサイエンス

2020年5月5日~2020年5月12日
カセイケン代表 榎木英介

 最近新型コロナウイルスに関する未査読論文(プレプリント)がプレプリントサーバーに数多く掲載されています。

 こうしたプレプリントが報道されたり、あるいは政策の根拠になるといった事態が出てきています。

 もちろん、今は緊急事態ですから、査読を待っていては間に合わないというのもありますが、医学論文に関しては、まだプレプリントの利用は始まったばかりです。

 その辺りのことを日経メディカルに書きました。

プレプリントの隆盛は悪貨が良貨を駆逐するか
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/report/t344/202005/565491.html

 上記記事でも引用しましたが、プレプリントサーバー丸投げ状態の臨床研究論文には大きな問題があります。

★How swamped preprint servers are blocking bad coronavirus research
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01394-6

 プレプリントサーバーも質の担保をしてないわけではありませんが…。

 プレプリントの現状については、以下の記事が詳しいです。

ほらいずん
MedRxiv, ChemRxivにみるプレプリントファースト
への変化の兆しとオープンサイエンス時代の研究論文
https://www.nistep.go.jp/activities/sti-horizon%e8%aa%8c/vol-06no-01/stih00205

 プレプリントに関しては、以下のような動きも。

★preLightsの若手研究者、“covidpreprints.com”を立ち上げ
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=12018

★Why open science is critical to combatting COVID-19
https://www.oecd.org/coronavirus/policy-responses/why-open-science-is-critical-to-combatting-covid-19/#boxsection-d1e11

 オープンアクセスを含めたデータのシェア等も含むオープンサイエンスは、COVID-19に対峙するために非常に重要ですが、当然課題もあります。

★In pursuit of open science, open access is not enough
https://science.sciencemag.org/content/368/6491/574.full

 論文のみならず、様々なデータの統合的かつ寡占的なポータルサイトの出現の可能性に関して、懸念の声が上がっています。

 OECDが指摘するように、現在のCOVID-19におけるオープンサイエンスが果たして今後、学術情報のあり方にどのような影響を与えていくのか、オープンサイエンスをより良いものにするために、様々なプレイヤーがどのような取り組みをすべきか、考えていく必要があります。

★新型コロナ、「素人」の物理学者たちが声を上げる理由
https://ryomakom.myportfolio.com/corona-and-physicists

 物理学者の方々の「越境」的な取り組みは賛否両論あります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について。 No.15
https://note.com/prof_a_hill/n/n269c861b78be

 ここで紹介されているK値も、物理学者の方が考えたもので、プレプリントが出ています。

 私としては、領域を超えた「越境」はあって然るべきだと思っています。ただ、質に関する厳しい目を向けるのは当然です。

 最近プレプリントにもならないトンデモ自説をメディアに公表するなどする人も現れています。それは人々を惑わすものであり、研究倫理的に大きな問題です。

 オープンサイエンスにおける研究倫理は、今後も大きな課題と言えるでしょう。

OECD Policy Brief: Providing science advice to policy makers during COVID-19
https://read.oecd-ilibrary.org/view/?ref=132_132655-cbl92gnv49&title=Providing-science-advice-to-policy-makers-during-COVID-19

 科学的助言に関するOECDの文書です。科学的助言といえば、政府の専門家会議と政権の関係について、この欄でも懸念を書きました。

新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を公表しました
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html

新しい生活様式 介護では「ありえない」「根幹揺らぐ」
https://www.asahi.com/articles/ASN5956D8N58UTFL01G.html

 本来は専門家会議の仕事ではない生活のモデルまで提案させられている状況は、専門家に負荷をかけすぎです。

★新型コロナ、安倍政権と専門家会議の「いびつな関係」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72501

 カセイケンの春日理事の論考です。あたかも専門家会議が政策を決めているかのような演出が、政権の責任逃れにならないようにしなければなりません。

★Autopsy slowdown hinders quest to determine how coronavirus kills
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01355-z

 病理解剖がやりにくい現状は各国とも共通です。

★Coronavirus: share lessons on lifting lockdowns
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01311-x

 いわゆる「出口戦略」について、各国とも模索が続いています。

★The head of Sweden's no-lockdown coronavirus plan said the country's heavy death toll 'came as a surprise'
https://www.businessinsider.com.au/coronavirus-sweden-lockdown-chief-says-high-death-toll-was-surprise-2020-5

 スウェーデンのノーロックダウン戦略。分かってやっているのかと思っていましたが、高齢者施設の死者は想定外だったということです。

 正解などないわけですし、専門家の意見も異なるわけですから、どういう戦略をとるかは政治が決めるべきことということです。

★緊急事態宣言延長で問われる「日本モデル」その強みと弱み
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72367

★日本のコロナ対策、結局「何に成功し、何に成功していないのか」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72340

★#saveMLAK 都道府県立図書館の施設再開と資料の消毒問題
https://togetter.com/li/1506110

★大学サーバーダウンの投稿相次ぐ 遠隔授業開始の影響か
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020051101001544.html

★「学費減額」に慎重な検討が必要な理由と、今後求められる学生への支援
https://news.yahoo.co.jp/byline/murohashiyuki/20200506-00174541/

★Going viral: how to boost the spread of coronavirus science on social media
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01356-y

 ソーシャルメディアを使った戦略について。今日本でも、医師や識者がソーシャルメディアを使って正しい情報をつたえようと奮闘しています。上記記事も参考になるでしょう。

★Fact-checking Judy Mikovits, the controversial virologist attacking Anthony Fauci in a viral conspiracy video
https://www.sciencemag.org/news/2020/05/fact-checking-judy-mikovits-controversial-virologist-attacking-anthony-fauci-viral

 ソーシャルメディア上でトンデモ説を振りまく人もいます。

★Let COVID-19 expand awareness of disability tech
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01312-w

★‘It will not be easy.’ As labs begin to reopen, enormous challenges remain
https://www.sciencemag.org/news/2020/05/it-will-not-be-easy-labs-begin-reopen-enormous-challenges-remain

★NIH move to ax bat coronavirus grant draws fire
https://science.sciencemag.org/content/368/6491/561

 先週既報。

 以下その他のニュース、重要情報。

独立行政法人日本学生支援機構奨学金事業における保証制度の在り方についての中間報告まとめ
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/097/1406203_00001.htm

★東北メディカル・メガバンク計画の今後のあり方について
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/103/toushin/1420987_00001.htm

★-The Beyond Disciplines Collection- デジタルトランスフォーメーションに伴う科学技術・イノベーションの変容/CRDS-FY2020-RR-01
https://www.jst.go.jp/crds/report/report04/CRDS-FY2020-RR-01.html

CRDS報告書(電子書籍版):「-The Beyond Disciplines Collection- 異分野融合を促し,研究力向上を支える土壌を育む」(2019年7月発行)の電子書籍版(Amazon Kindle)を公開しました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B086C4DP5B

CRDS研究開発の俯瞰報告書(電子書籍版):「統合版(2019年)~俯瞰と潮流~」(2019年7月発行)の電子書籍版(Amazon Kindle)を公開しました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B086BS63NH

CRDS報告書(電子書籍版):「-The Beyond Disciplines Collection- 科学技術イノベーション政策における社会との関係深化に向けて 我が国におけるELSI/RRIの構築と定着」(2019年11月発行)の電子書籍版(Amazon Kindle)を公開しました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B086BQ2GM9

 JSTの報告書がKindleに大量に出てきました。なかなか良いアイディアかも。

★研究力ランキング、日本勢初のトップ10陥落…中国勢が躍進
https://www.yomiuri.co.jp/science/20200511-OYT1T50080/

 先週既報のNature index。
https://www.natureindex.com/annual-tables/2020/institution/all/all

 その研究力ですが、単純ではありません。

★研究力の測り方 ─「質」、「量」、そして「厚み」
https://note.com/amacrinecell/n/n2477e70c1f5d

★Paperwork mistakes ensnare health data expert
https://science.sciencemag.org/content/368/6491/567

 全米科学財団(NSF)の助成金の規則に従わなかった研究者が解雇の危機に。

富士通、「ジョブ型」人事制度を導入 幹部社員から
高度IT人材、年収2500万~3500万円想定
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58915330Z00C20A5EA5000/

 ジョブ型が広がりつつあります。

★コロナに負けずに研究に励む理系院生・博士・ポスドクたちへ 研究室の常識「キムワイプ」への感謝を集めた「#キムワイプありがとう」特設サイト公開!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000017667.html

★博士課程の人材育成後押し 北大大学院と24社連携
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200504-00010002-doshin-hok

 北大のウェブマガジン Ph.Discover
https://phdiscover.jp/phd/

専門家と政治と透明性

2020年4月28日~2020年5月5日
カセイケン代表 榎木英介

 緊急事態宣言は予想通り延長されました。

安倍総理は記者会見を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0504kaiken.html

新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の期間延長
https://corona.go.jp/news/pdf/kinkyujitaisengen_gaiyou0504.pdf

新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針
https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_h_0504.pdf

安倍総理は第33回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202005/04corona.html

新型コロナウイルス感染症対策本部(第 33 回)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/sidai_r020504.pdf

安倍総理は令和2年度補正予算成立及び緊急事態宣言の延長について会見を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202004/30bura.html

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議
https://corona.go.jp/expert-meeting/#expert-meeting

 会見の中で、諮問委員会の尾身会長がPCR検査について述べています。

その理由はいろいろありまして、大体6つぐらいありますが、保健所の業務の過多とか、それから入院先をしっかり示す仕組みがない、それからPCR検査を行う地方衛生研究所のリソースが極めて少ない。人員のカットなどもありますし、そういうことがあった。それから、検体採取及び実施体制のマスクや防護服、それから一般医療機関都道府県との契約をしないとこういう検査ができないという今までの仕組みがあった。それから、検体を取ったら運ぶということに、これに様々な障害がありました。そういうことでありまして、なかなか他の国よりは確かに少なかった。

★PCR検査数「他国より明らかに少ない」…政府の専門家会議、センター増設求める
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200504-OYT1T50108/

PCR検査、日本が少ない6つの理由は? 専門家会議が会見で説明
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5eb01659c5b63714a8ef9c9d

 PCR検査に関しては、いまだ論争があり、様々な意見が出ています。

★なぜ日本でPCR検査数が増えないのか。論点と解決策をわかりやすく整理する【連載】あたらしい意識高い系をはじめよう(2)
https://finders.me/articles.php?id=1902

★日本はPCR検査をもっとすべきなのか? 新型コロナの不安についてウイルス研究者に聞いた
https://wezz-y.com/archives/76433

★日本の新型ウイルス検査、少なさに疑問の声
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-52482946

PCR検査の現場で、職員が口にした不安「試薬や綿棒などモノが入ってこない」 国の“現状への理解”求める声も
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200501-00010006-sp_ctv-soci

PCR論争に寄せて─PCR検査を行っている立場から検査の飛躍的増大を求める声に
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/report/t344/202004/565349.html

 ある方が「PCRスンナ派」と「PCRシーヤ派」が争っているとおっしゃっていましたが、現場で十分という完全なスンナ派はいないと思います。シーヤ派にしても全国民対象にやれという人は一部であり、要は数の違いでしかないと思っています。

 だとするとPCR検査の拡大は多くの人たちに共通の課題です。

★山梨大でPCR一貫検査 検体採取はドライブスルー
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000183173.html

ドライブスルー方式のPCR 山梨大病院で医師らが体験
https://www.asahi.com/articles/ASN4Z3GB0N4XUZOB00J.html

 ドライブスルー形式は拡大が進んでおり、採取に関しては改善がなされています。問題はPCR検査自体です。

 PCR検査を行なっている主体は臨床検査技師ですが、現場では不足しています。臨床検査技師に関しては、Yahoo!ニュース個人に以下の記事を書きました。

臨床検査技師」と正しく言おう〜新型コロナと向き合う重要な人たちに心からの支援を
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20200503-00176584/

 地方衛生研究所がパンク状態という現状では、地方衛生研究所以外でPCR検査ができる体制を作ることが必要です。

 その一つは民間検査会社を積極的に活用することです。検査会社の方に話を聞くと、キャパシティはあるとのことではあります。

 また、大学の人材の活用ももっと使えると思います。

 慈恵医大の取り組みは注目に値します。基礎系の教員が新型コロナウイルスの検査に特化することで、病院の機能を守るというもので、医学部がある大学が参考になることだと思います。

「即日1件700〜800円」のPCR、驚愕の全貌
「上手い」「速い」「安い」の3拍子揃ったPCRが誕生するまで
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60385

 この動きの中心になった嘉糠洋陸教授は、私の東大時代の同学年にあたる方です。アカデミアからのこうした動きがもっと出て欲しいと思います。

★【核心】保健所のリアル
https://newspicks.com/news/4862985

 保健所のキャパオーバーも、別の経路(バイパスという方もいらっしゃいます)を作ってなんとかしなければなりません。

★前のめりの「専門家チーム」があぶりだす新型コロナへの安倍政権の未熟な対応
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020042900002.html

新型コロナ対策における専門家と政治の関係
https://globe.asahi.com/article/13334494

 これはかねがねこの欄で書いてきたことですが、専門家会議と政治の関わりの問題が指摘されています。

 北大西浦教授を政治家以上に批判する人が増えています。西浦教授のセキュリティは大丈夫か、心配になります。そこは早急に対処してもらいたいと思います。

 専門家会議が「新しい生活様式」を提案したことに反発も出ています。

「新しい生活様式」とは 専門家会議が具体例示す 新型コロナ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200504/k10012417741000.html

テレワーク、通販など推進を 「新しい生活様式」の例提示―新型コロナで専門家会議
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020050400125&g=soc

 報道を見るより、専門家会議の資料を見てみましょう。

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(第 12 回)議事次第
https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/senmonka_sidai_r020501.pdf

 で「新しい生活様式」が初登場しました。

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(第 13 回)
https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/senmonka_sidai_r020504.pdf

 では具体例が別添で示されています(9ページ)。

 三密を避ける、手洗いをすると行った妥当なことが書かれているわけですが、専門家が私的領域に干渉するのか、という反発があるわけです。

 これもコミュニケーションの問題だなあと思います。私権の制限ができない中、モデルを提示したということですが、表現が悪かったのかなと思います。

 科学的助言とは何か、という問題でもありますが、専門家会議が、政策決定や生活様式まで決めているというイメージが増幅されています。

 もちろん助言者が無謬でいられるわけではありませんが、あたかもラスプーチンかのような存在として認識されているとなると大きな問題です。

 専門家暗躍イメージを少しでも減らすには、情報をオープンにすること、透明化だと思います。

★Call for transparency of COVID-19 models
https://science.sciencemag.org/content/368/6490/482.2.full

 どうも透明化、オープン化を阻害する要因が政府内にあるようですが、そこはきっちりしてもらいたいと思います。

新型コロナウイルス感染症対策における市民の自発的な行動変容を促す取組(ナッジ等)の募集について
https://www.env.go.jp/press/108005.html

 行動変容に関しては、ナッジの役割も重要だと思います。お願いだけでは不十分です。

★新型コロナの収束シナリオとその後の世界(3)収束まで「3年から5年」が現実か
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/04/24/06847/

新型コロナ流行「1年半~2年続く可能性」 米ミネソタ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58757010S0A500C2000000/

 どうも長期化する可能性と、香港、マカオ、台湾、韓国、ニュージーランド、あるいは情報が正しいのなら中国のようにほぼ封じ込めた国との二極分化に向かう可能性があるように思います。封じ込められた国の多くが都市国家や小国である点は、留意が必要ですが、韓国のような大きな国でもできたわけですから、日本もこちら側になんとか入って欲しいと思います。

★感染拡大でも休校なし、休業なし「壮大な社会実験」のスウェーデン、人々は今。【新型コロナウイルス
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200429-00010002-huffpost-int

「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/post-93307.php

 ノーガードのスウェーデン。この道をいく社会的なコンセンサスは日本にはありません。

★新型コロナによるロックダウン中も生産的でいるための6つの方法
https://www.editage.jp/insights/6-ways-to-be-productive-during-the-covid-19-lockdown

新型コロナウイルスの影響下で今後を憂える研究者たち
https://www.editage.jp/insights/why-the-ongoing-covid-19-global-pandemic-is-worrying-researchers

★As COVID-19 forces conferences online, scientists discover upsides of virtual format
https://www.sciencemag.org/news/2020/04/covid-19-forces-conferences-online-scientists-discover-upsides-virtual-format

Scientists discover upsides of virtual meetings
https://science.sciencemag.org/content/368/6490/457

 常態化するコロナと共にある世界。適応していくことも重要です。

★Women academics seem to be submitting fewer papers during coronavirus. ‘Never seen anything like it,’ says one editor.
https://www.thelily.com/women-academics-seem-to-be-submitting-fewer-papers-during-coronavirus-never-seen-anything-like-it-says-one-editor/

 ウイルスが格差を拡大させています。この問題は早急に対処しなければなりません。

★Against pandemic research exceptionalism
https://science.sciencemag.org/content/368/6490/476.full

 新型コロナだからなんでもあり、ではいけません。

 査読前プレプリントの段階で報道されてしまうような、学術史において初めてという事態に直面しているわけです。

 社会との関係も含め、「新しい学術」「新しい科学コミュニケーション」を考えていく必要があります。

★航空機からの気象観測データ半数以下に 技術開発に遅れも
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200430/k10012411031000.html

 あまり指摘がありませんが、例えば検診などはほとんど止まっています。これが病気が早期で発見されることを阻害するのか、過剰な検診がなくなるので、大して変わらないのか、いずれ分かるとは思いますが、子宮がん検診などは早期になんらかの形で再開させるべきだと思います。

★いまなぜ「困窮学生」への支援が必要なのか
学生と大学経営の危機を乗り切るために
https://webronza.asahi.com/national/articles/2020050100003.html

学費減免など求める署名活動 160大学に広がる 新型コロナ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200429/k10012410931000.html

経済苦の大学生「学費を半分に」 ネット署名、5日間で9000件集まる
https://mainichi.jp/articles/20200428/k00/00m/040/130000c

政府に対して、学費無償化に向けて足を踏み出すことを求めます
https://bit.ly/2WrnS2N

コロナで困窮する大学生、国は救済してくれないのか
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60349

 大学生の困窮は厳しいものがあります。未来のためにこれはなんとかしなければなりません。

★<コラム>「俺の人生詰んだ」就職できなかった博士の叫びは日中共
https://www.recordchina.co.jp/b192124-s187-c60-d1187.html

 大学院生や若手研究者のおかれた状況も厳しいはずです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する提言
令和2年4月28日 

小川久雄 (国立研究開発法人国立循環器病研究センター理事長)
里見 進 (前東北大学総長)
土岐祐一郎(大阪大学医学部付属病院長)
中西宏明 (日本経済団体連合会会長)
濱口道成 (前名古屋大学総長)
平野俊夫 (前大阪大学総長)
松本 紘 (前京都大学総長)
松本正義 (関西経済連合会会長)
http://toshio-hirano.sakura.ne.jp/Hirano/Blog/entori/2020/4/28_you_zhiniyoruCOVID-19ni_duisurutsuno_ti_yan.html

 旧帝大の前学長を中心とする錚々たるメンバーの提言。こうした提言が政策を動かすのか、というと、なかなか厳しいものがあるように思っています。その問題意識が、私たちのような草の根の活動の原点でもあります。

★突然、性的画像が画面に…Zoom爆撃、香川大でも被害
https://www.asahi.com/articles/ASN4Y75MGN4WPTLC017.html

★試行錯誤の大学ネット授業 「PC、スマホ無い」学生も
https://www.asahi.com/articles/ASN4W74N3N4KOIPE03G.html

 試行錯誤するオンライン講義。

★感染者「虚偽申告」への「私刑」 行き過ぎた個人攻撃「非常時の想像力欠如」 -
https://mainichi.jp/articles/20200504/k00/00m/040/165000c

 次第に大きな課題になってきました。日本では、法的な強制より「私刑」が社会の抑止力になっています。

★消毒方法の有効性評価について、途中経過をお知らせします
https://www.meti.go.jp/press/2020/05/20200501002/20200501002.html

★Primatologists work to keep great apes safe from coronavirus
https://www.sciencemag.org/news/2020/05/primatologists-work-keep-great-apes-safe-coronavirus

 近い種であり、感染防止が大きな課題です。

 新型コロナウイルス以外の記事。

茨城県常総市内におけるヒアリの確認について
https://www.env.go.jp/press/108020.html

 ヒアリ発見のニュース。今年度初です。関心を失ってはいけません。

★知的財産を経営に生かす知財活用事例集「Rights」を刊行しました
https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200430004/20200430004.html

★CIP(技術研究組合)の設立・運営ガイドラインを改訂しました
https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200430002/20200430002.html

★NDBデータの目的外利用について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11147.html

医療データべース情報、製薬企業に無断提供 部長を処分
https://www.asahi.com/articles/ASN516TCDN51UTFL018.html

 非常に大きな問題。

★「筑波大は核実験やめろ」フェイクニュース地震で拡散
https://www.asahi.com/articles/ASN4X76R6N4WUJHB00M.html

 フェイクニュースが拡大しやすい環境にあるように思います。注意が必要です。

★Nature Index 2020 Annual Tables
https://www.nature.com/collections/chdeajdica

 重要記事。

Rising stars in life sciences 2020
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01234-7

Rising stars in Earth and environmental sciences 2020
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01237-4

Fast-rising research institutions 2020
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01232-9

Fastest movers since 2015
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01228-5

Leading research institutions 2020
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01230-x

Rising stars in chemistry 2020
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01235-6

A guide to the Nature Index
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01238-3

Measures of merit
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01226-7

Fast-rising academic institutions 2020
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01233-8

Ten countries with high-performing hubs of natural-sciences research
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01229-4

The ten leading countries in natural-sciences research
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01231-w

Rising stars in physical sciences 2020
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01236-5

★Why clocking my work hours shifted my work-life balance
https://www.sciencemag.org/careers/2020/04/why-clocking-my-work-hours-shifted-my-work-life-balance

Clocking your work
https://science.sciencemag.org/content/368/6490/542

★学術界にも悪徳な審査委員が存在するのか?
https://bit.ly/2WpOFwx

 査読問題。

★第 31 回「大人になったらなりたいもの」調査結果を発表
https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2020_010.pdf

 こどもの日。恒例の第一生命の調査。新型コロナウイルスの感染拡大を経て、今年度はどうなるでしょうか。