科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

博士減少と若手研究者支援

2019年12月3日~2019年12月10日

カセイケン代表 榎木英介

 このメルマガが扱う内容ではないのですが、アフガニスタン中村哲医師が狙撃され死亡した事件には大きな衝撃を受けました。

 医師としての仕事を超えて水路を作ったというその行動は、同じ医師として、医師の範囲を超えてこうしたメルマガを作っている私にとっても大いなる刺激をあたえてもらっていました。

 私の場合、そこまで大きなことはできませんが、科学技術が社会に役立つように、そして博士に代表される人材がより活躍する社会を目指して、それこそ水路に匹敵するものを作っていかなければならないと強く思っています。

★若手研究者に年700万円
700人選抜 政府、最長10年間支援
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52895540T01C19A2MM8000/

40歳までの研究者に年700万円 政府支援へ
https://www.asahi.com/articles/ASMD43HS7MD4ULBJ004.html

日本の研究力低下に危機感
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52930500T01C19A2EE8000/

 40歳未満の若手研究者の支援策が見えてきました。

 選抜された七百人の若手に700万を10年間あげて、じっくりと研究してもらうというものです。

 そして、北大では若手研究者の大抜擢も。

★北大、最短5年で教授に
新制度で若手育成、研究費には補助 准教授20人採用計画 有望な人材囲い込み
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO53005440V01C19A2L41000/

★最短5年で教授、北大の若手登用が「アンビシャス」に
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO53005440V01C19A2L41000

 ノーベル賞受賞者の多くが、だいたい40歳未満でノーベル賞の受賞対象となった研究をしていたというデータはありますし、40歳未満には合理性はあります。

 ただ、若手研究者の支援制度である「さきがけ」
https://www.jst.go.jp/kisoken/presto/index.html

 が「先崖」と言われるように、支援終了後に成果を出して羽ばたければよいですが、そうでない場合露頭に迷うことが懸念されます。

 そもそもポスドク制度が、オーバードクターにお金をあげて生活を安定させ、「武者修行」してもらいキャリアアップという趣旨で始まっているわけですから、これが何度目かの問題先送りにならないことを心より願います。

★「博士」生かせぬ日本企業 取得者10年で16%減
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53006550V01C19A2SHA000/

春秋
2019/12/7付
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO53075920X01C19A2MM8000/

 さきがけが「先崖」になってしまうのも、博士の就職難と呼ばれるものも、結局は企業や行政等との接続性が悪いことが原因の一つでしょう。

 企業にも合理性はあって、新卒一括採用や年功序列などの制度的な部分で、博士がイレギュラーな存在になってしまっています。

 つまり、博士が減ったのは極めて合理的で、日本企業が博士などいらない経営をしているからです。いらないならならない。単純なことだし、いらない人材が減ってだから何?という話です。

★なぜ外国人はすぐ辞めるのか? 彼らが日本企業をあきらめた、本当の理由。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/chiyo-watanabe-kamino_jp_5dccd694e4b0d43931cf2ca4

 博士だけでなく、外国人なども活用できていない日本企業の実態があります。

 しかし、だから何と言っていられなくなってきたようです。

 日経の記事で、博士が営業職になることをネガティブに捉える部分があり、気になりました。確かに博士が営業職になることは、決してネガティブに捉えるべきことではありません。

 ただ、逆は難しいわけです。逆というのは、営業職採用された人が、たとえば研究所などでその社の主力製品を開発するといったようなことです。

 テクノロジーが高度化し、現在では社員を配置転換させて数年で主力製品を開発できるほど甘いものではなありません。では日本以外ではどうするか、と言えば、人材を外から買ってくることになります。

 こうしたことが日本企業がグローバル市場で苦戦する原因の一つになっていると言われています。で、困った困った、じゃあ博士だ、ということになったわけで…。

 この話、いつも卵が先か鶏が先かになります。

★異見交論 第1回
自民党税調会長 甘利 明 氏
国立大学は「知識産業体」の自覚を
https://www.kyoikushinsha.co.jp/rensai/ikenkoron/001/index.html

 大学が悪いから企業業績が悪くなった…。

 博士人材が企業に合っていないから採用しない…。

 責任の擦り合いしている間に時はどんどんたってしまいます。

山中伸弥さんのiPS細胞研究所の一部事業助成打ち切り報道について
https://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/13241722.html

 やまもといちろうさんが私の書いた記事をしかるべき方々(どんな方々か分かりませんが)に見せて、日本の研究の危機について訴えているとのことです。やまもとさんには御礼申し上げます。

 とはいえ、希望が見えません。

 ハードランディングしかない、という話は結構聞きます。この数年以内に日本は財政破綻するから、その時が変えどきだと。

 しかし、日本の研究が焼け野原から立ち直ったとしても、今いる博士たちは生きていかなければならないのです。すでに40歳以上で、支援の対象からも外された人たちは、すでにハードランディングし、亡くなる人も出ています。

2019年12月22日放送
テレメンタリー7月クール優秀作品アンコール放送
 さまよう博士」
https://www.tv-asahi.co.jp/telementary/

 私が取材協力した番組が最優秀賞を受賞したとのことで、22日に再放送されます。

 まだ見ていない方は是非ご覧ください。

 政府や大学にはもはや何も期待できないこの世代の人たちのために何ができるか。 

 一つのかぎは徹底的に生き残る方法を提示していくことだと思っています。

★東大研究者が一本釣り漁師に転身 衰退著しい漁業を盛り上げるブルーツーリズムとは
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1911/29/news025.html

 一本釣り漁師はかなりイレギュラーですが、こうした転身された方々の生き方のなかに、ハードランディングを生き抜く術がみえてくるのではないか。

 まずはそこからやっていきます。

 ただ、それだけでは中村哲さんの水路にはなりません。

 人材を雇用し、社会に役立てカネを生み出していく…。

 リバネスのような企業は博士人材を雇っているわけで、敬服します。

 なんとかしろと政府や既存の企業に言うだけでなく、自らなんとかできないか…。

 中村哲さんの遺志をこの分野で継ぐとしたら、何をすべきか、考えなければならないと自ら言い聞かせています。

★研究力どう立て直す?科学技術計画「第6期」策定へ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52947890U9A201C1TJN000/

<キーワード> 科学技術基本法
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52998490V01C19A2TJN000/

イノベーション」連呼の先 基礎研究の軽視回避を
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53114370Z01C19A2XY0000/

 自民党の甘利さんの発言は、国立大学を企業のためのものにせよ、というものでした。

 それは一つのアイディアですが、基礎研究とイノベーションをごったに考えているから問題があるようにも思います。 上記記事中で、基礎研究の基本計画とイノベーションの基本計画を分けろという話が出ています。それもありかなと思います。

★iPS備蓄支援 科技相「当初予定通り」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53035490W9A201C1EAF000/

iPS備蓄、国の支援を継続 山中氏の批判を受け決定
https://www.asahi.com/articles/ASMD63SMCMD6ULBJ002.html

東浩紀「iPSなど再生医療の現実は、社会の欲望の受け皿にもなっていた」〈AERA
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191204-00000025-sasahi-sctch

再生医療実用化へ協働を 中辻憲夫氏
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53112200Z01C19A2SHE000/

 やまもとさんが言及していた「iPS備蓄」問題。iPSも基礎研究とイノベーション、産業政策が混ざってしまい混乱が生じているように思います。

安倍総理は令和元年第13回経済財政諮問会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201912/05keizaishimon.html

令和元年第13回経済財政諮問会議
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/1205/agenda.html

議事

(1) 経済再生・財政健全化の一体的な推進強化5(社会保障2)
(2) 令和2年度予算編成の基本方針

安心と成長の未来を拓く総合経済対策(令和元年12月5日閣議決定
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/1205/20191205_taisaku.pdf

令和2年度予算編成の基本方針(令和元年12月5日閣議決定
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/1205/r2_yosanhensei.pdf

 Society5.0、SDGs、そして就職氷河期世代支援。

★研究現場の閉塞感を打破するには: エビデンスベースの政策立案の前提条件の共有に向けて ― NISTEP定点調査ワークショップ2019より ― [調査資料-286]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/43333

★「AI・データの利用に関する契約ガイドライン 1.1版」を策定しました
https://www.meti.go.jp/press/2019/12/20191209001/20191209001.html

東京都府中市内におけるヒアリの確認について
https://www.env.go.jp/press/107531.html

 コンテナの中なので、定着したわけではありませんが、注意してみていく必要があります。

OECD生徒の学習到達度調査(PISA2018)
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html#PISA2018

OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)の結果公表を受けての萩生田文部科学大臣コメント
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/sonota/detail/1422960.htm

★萩生田文部科学大臣コメント(生徒の学習到達度調査(PISA)の調査結果)
http://www.mext.go.jphttp://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/sonota/detail/1422960.htm

 非常に大きく報道されました。

日本の15歳「読解力」15位に後退 デジタル活用進まず
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52905290T01C19A2CC1000/

デジタル活用、世界に遅れ OECD学習到達度18年調査
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52912410T01C19A2M13700/

科学的応用力、記述力は改善
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52912600T01C19A2M13700/

クローズアップ:国際学力テスト 読解力急落 「PISAショック」再び
https://mainichi.jp/articles/20191204/ddm/003/100/107000c

★論文不正調査、京都府医大と関西医大が6年後に報告書
https://www.asahi.com/articles/ASMD35WF3MD3PLBJ00C.html

関西医大が論文不正調査報告放置
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20191203/2000023024.html

 研究不正調査は時間もカネもかかるので、研究機関にとってはやりたくないということがよく分かります。

★総額2億円近く 京大 霊長類研究所で研究費不正か
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191206/k10012205511000.html

京都大霊長類研究所で巨額不正経理か 同大が調査
https://www.sankei.com/west/news/191206/wst1912060009-n1.html

京大霊長研で研究費不正か 飼育施設工事、大学調査
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019120601002022.html

 次第にその様子が明らかになってきました。

★Archaeology society votes to let board ban sexual harassers from meetings
https://www.sciencemag.org/news/2019/12/archaeology-society-votes-let-board-ban-sexual-harassers-meetings

Society for American Archaeology Can Ban Harassers from Meetings
https://www.the-scientist.com/news-opinion/society-for-american-archaeology-can-ban-harassers-from-meetings-66809

 アメリカ考古学会の取り組み。

サモア、はしか大流行で62人死亡 政府機関を閉鎖
https://www.asahi.com/articles/ASMD43WFHMD4UHBI01J.html

Samoa measles: Unvaccinated families told to hang red flag on door
https://bbc.in/2rSXKlW

50 Children Dead from Measles Outbreak in Samoa
https://www.the-scientist.com/news-opinion/50-children-dead-from-measles-outbreak-in-samoa-66805

はしかで年14万人超が死亡 WHO、ワクチン接種呼び掛け
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019120601001085.html

 世界中でアウトブレイクが続く麻疹。反ワクチン運動が拡大し、非常に厳しい状況です。

The US must act now to help stop the global measles surge
https://thehill.com/opinion/healthcare/473257-the-us-must-act-now-to-help-stop-the-global-measles-surge

Anti-vaccine groups take dangerous online harassment into the real world
https://www.nbcnews.com/health/kids-health/anti-vaccine-groups-take-dangerous-harassment-offline-real-world-n1096461

 もっとも成功した運動とされる反ワクチン運動にどう対峙していくか。医療関係者としては頭がいたい問題です。

★日本の再生医療政策がもたらすもの
https://go.nature.com/2P5DeYw

 Natureの批判的記事。

★The Bio-Hacker From the Garage Next Door
https://www.calcalistech.com/ctech/articles/0,7340,L-3775257,00.html

ソフトバンク、東大とAI研究所開設へ 200億円提供
https://www.asahi.com/articles/ASMD653PPMD6ULFA018.html

東大とソフトバンクがAI研究所 後発日本で孫氏「人材や資金回る仕組みを」
https://mainichi.jp/articles/20191206/k00/00m/020/262000c

ソフトバンク、AI開発で東大と連携 200億円支援
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53039790W9A201C1000000/

ソフトバンクG孫氏「基礎研究だけでは続かない」 東大学長と対談
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53049880W9A201C1000000/

★Harvard Graduate Students on Strike
https://www.the-scientist.com/news-opinion/harvard-graduate-students-on-strike-66816

 ハーバード大学の院生がストライキ

★Getting the EPA back on track
https://science.sciencemag.org/content/366/6470/1173

Joint statement on EPA proposed rule and public availability of data (2019)
https://science.sciencemag.org/content/366/6470/eaba3197

 EPAの問題続報。

★Chinese universities with military ties classed as ‘risky’ collaborators
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03726-7

★Science publishers review ethics of research on Chinese minority groups
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03775-y

 中国の研究に関する懸念。

★Italy set to create e300 million research funding agency
https://science.sciencemag.org/content/366/6470/1178

Can Italy’s new science funding agency overcome a thin budget and worries over political meddling?
https://www.sciencemag.org/news/2019/12/can-italy-s-new-science-funding-agency-overcome-thin-budget-and-worries-over-political

 イタリアで新しいファンディングエージェンシーができますが、懸念も。

★At Japan’s Most Elite University, Just 1 in 5 Students Is a Woman
https://www.nytimes.com/2019/12/08/world/asia/tokyo-university-women-japan.html

 ニューヨークタイムズの記事。直視しなければならない問題です。

★A mother's guilt
https://science.sciencemag.org/
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03688-w

Women from some under-represented minorities are given too few talks at world’s largest Earth-science conference
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03688-w

ノーベル財団
https://www.nobelprize.org/

「ノーベル週間」始まる
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO53039400W9A201C1CR0000/

「研究不正と歪んだ科学」発刊記念シンポジウムのお知らせ

 好評発売中の新刊「研究不正と歪んだ科学 STAP細胞事件を超えて」
日本評論社 税込 2,530円
https://nippyo.co.jp/shop/book/8178.html
https://amzn.to/2NEWFVR

 ですが、出版記念のシンポジウムを開催することになりました。

【イベント告知】 国際競争時代の研究公正 『研究不正と歪んだ科学: STAP細胞事件を超えて』出版記念シンポジウム
https://www.kaseiken.org/20190112sympo/

 以下概要です。

 2014年に起こったSTAP細胞事件は、日本社会に大きな衝撃を巻き起こしました。しかし、この事件は首謀者の特異なキャラクターによるものとして消費され、科学研究をめぐる国際的な動向の中で考えるという視点はほぼなかったように思われます。また、研究不正問題に関しては、国内外から、日本の社会や研究機関の持っている特殊な文化の影響を指摘されることもあります。事件から時間が経って、一般社会の関心が風化している今こそ、もう一度研究不正の問題に着目し、日本が科学研究の国際競争時代に、科学技術創造立国としてふさわしい振る舞いと体制を整えるにはどうしたらいいのか、未来志向で考えてみる機会を作れないでしょうか。
 今回は、『研究不正と歪んだ科学: STAP細胞事件を超えて』(日本評論社)の出版を記念して、こうした機会の一助にすべく、シンポジウムを開催したいと思います。科学研究の専門家のみならず、こうした問題に関心をお持ちの一般の方々にもご参加いただければ幸いです。


日程: 2020年1月12日(日)
時間: 13:30 〜16:30
会場:大阪大学 中之島センター 講義室302
   アクセス情報:http://www.onc.osaka-u.ac.jp/others/map/
京阪中之島線 中之島駅より 徒歩約5分, JR環状線 福島駅より 徒歩約12分等
参加費: 無料(当初、500円とご案内していましたが、無料に切り替えます。お気軽にご参加ください)

主催:一般社団法人カセイケン(科学・技術と政策研究室)
共催:公共圏における科学技術・教育研究拠点(STiPS)

講演: 榎木英介(一般社団法人カセイケン)
   粥川準二県立広島大学
   中村征樹(大阪大学全学教育推進機構)
コメンテーター:
   田中智之(京都薬科大学

 どなたでもご参加いただけます。
  申し込みは必須ではありませんが、会場の都合上、メールないしFacebook(イベントページ)でお申し込みいただければ幸いです。
https://www.facebook.com/events/530159121047420/

連絡先: 一般社団法人カセイケン
   Mail: info@kaseiken.org
https://www.facebook.com/kaseikenorg/

長期的思考を養う、「iPS備蓄」の論点、氷河期世代のロールモデル募集

2019年11月26日~2019年12月3日

 2019年も最後の月になりました。当メルマガは発行開始から16年。ひたすらニュースクリップを続けていますが、2020年も変わることなく続けていきます。

STAP細胞事件が覆い隠した科学技術立国ニッポンの「ヤバい現実」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68646

 カセイケン代表榎木が初めて現代ビジネスに書いた記事。今までYahoo!ニュース個人で書いてきたことの総まとめのような記事ですが、あまり知られていないようで、フェースブックで4000シェア近くいただきました。

 「研究不正と歪んだ科学」
https://amzn.to/2NEWFVR

 でも書きましたが、一つの研究不正をスキャンダルとして消費するのではなく、振り返った上で教訓を得て次に生かしていくことが必要です。STAP細胞事件に関しては、5年経ってそれができる時期に来ています。

★岐路に立つiPS細胞備蓄事業、政府が支援縮小を検討
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00428/

山中教授インタビュー「iPS備蓄に支援継続を」 予算削減に危機感
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52753530Y9A121C1EA1000/

iPS細胞による医療 具体性欠く国の戦略https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52730070Y9A121C1EA1000/

国産iPSの海外進出、京大が支援へ ガラパゴス化回避
https://www.asahi.com/articles/ASMCW6W77MCWULBJ012.html

 iPS細胞備蓄計画の是非。

 NewsPicksが真相をえぐる連載を掲載しています。有料記事ですが、この連載で有料購読開始した人も多いようです。

【核心】日本のiPSは、何を間違えたのか?
https://newspicks.com/news/4426921/body/

 八代嘉美さんインタビュー。

 単純に「日本終わった」などと考えるのではなく、冷静な議論が必要です。それはSTAP細胞事件と研究不正対策と似ているようにも思います。

廃炉・汚染水対策チーム会合(第5回)
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/osensui_team/2019/20191202_01.html

資料1 中長期ロードマップ改訂案について(PDF形式:1,059KB)
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/osensui_team/2019/pdf/01c.pdf

福島第一、核燃料デブリ取り出し「2号機から」…21年内に開始へ
https://www.yomiuri.co.jp/science/20191202-OYT1T50064/

溶け落ちた核燃料、2号機から取り出しへ 福島第一原発
https://www.asahi.com/articles/ASMCY5WZ9MCYULBJ00L.html

 世代を超えて果てしなく続く廃炉作業。ロードマップが改訂されました。

★COP25

UN Climate Change Conference - December 2019
https://unfccc.int/cop25

 そしてCOP25が開催中です。

★温暖化により「破壊的影響」とUNEP警告 日本は温室効果ガス削減続くも目標には不十分
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/11/20191129_01.html

パリ協定の「気温上昇1.5度」達成には… 年7.6%の温室ガス削減 国連環境計画公表
https://mainichi.jp/articles/20191128/ddm/012/040/090000c

温室効果ガス濃度が観測史上最高に WMOが深刻な温暖化を警告
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/11/20191126_01.html

世界の主要温室効果ガス濃度は観測史上最高を更新 ~「WMO温室効果ガス年報第15号」の公表~
http://www.jma.go.jp/jma/press/1911/25a/GHG_Bulletin_15%20.html

 気候変動関する調査報告書がだされ、

★気候変動すぐ対策を
世界158カ国2400都市で行動
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-12-01/2019120101_03_1.html

「気候変えるな」 150カ国で訴え
https://mainichi.jp/articles/20191130/ddm/012/040/033000c

Hundreds of thousands of students join global climate strikes
https://www.theguardian.com/environment/2019/nov/29/hundreds-of-thousands-of-students-join-global-climate-strikes

「私には、選挙権がないから」 16歳の女子高校生が世界で、街で、声を上げる理由
https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/global-climate-strike-11

 世界中の都市で人々が立ち上がりました。

 福島第一原発廃炉も、環境問題も、世代を超えて長期的に考えていかなければなりません。

 しかし、こうした長期的なことは、数年単位の選挙では救いとれるものではなく、今の世代が次の世代のために不利益を覚悟で行動するということがなかなかできません。

 ではどうすればよいのか。

★未来に責任をもつ“長期的思考”は、どうすれば身に付けられるか
https://wired.jp/membership/2019/12/03/how-to-practice-long-term-thinking/

 最近

The Optimist's Telescope: Thinking Ahead in a Reckless Age
https://amzn.to/2RaHfw5

 を出版したビナ・ヴェンカタラマン氏へのインタビュー。

 難しい問題ですが、考えていかなければなりません。

安倍総理は令和元年第12回経済財政諮問会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201911/27keizaishimon.html

令和元年第12回経済財政諮問会議
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/1127/agenda.html

議事

(1) 令和2年度予算編成の基本方針(案)
(2) 就職氷河期世代支援プログラムの実行に向けて
(3) 次世代型行政サービスの推進強化

 就職氷河期世代支援プログラムが議論されています。

安倍総理は第1回就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォームに出席しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201911/26hyogaki.html

第1回 就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォーム
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_hyogaki_shien/suishin_platform/dai1/gijisidai.html

 やはり思ってしまうのが、今回のプログラムの対象になっていない45歳から49歳までの無業者が、他の世代より多い(26万人)という状況をなんとかしなければ、といいうことです。

就職氷河期世代」限定の採用、2カ月で正規雇用16人
https://www.asahi.com/articles/ASMCY46TKMCYULFA01F.html

就職氷河期「自己責任」ではない 耐え難い閉塞感と社会リスク
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20191129/pol/00m/010/010000c

 私の関心は、研究歴のあるこの世代の人たちの支援で、常々何かできないかと考えてきました。

 一ついま動き出したのが、ある出版社さんとともに、主に理工系ですが、博士号取得後に様々な多様な職を得ていらっしゃる方々のインタビューを掲載するというものです。

 ベンチャー企業立ち上げました、作家になりました、という成功例だけではなく、とにもかくにもなんとかやっていますという、いわばストラグル、サバイブしている例を積極的に取り上げようと思っています。

 いわゆるロールモデルの提示です。

 ロールモデルになってもよいという理工系博士号取得者の方がいらっしゃいましたら、enoki@kaseiken.org までご一報頂けますと幸いです。

量子計算機「実用20年後」 政府、技術開発で工程表
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019112701001903.html

量子計算機を「20年後実用化」 政府有識者会議
https://mainichi.jp/articles/20191128/ddm/012/040/093000c

★第2回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/20191202/agenda.html

1.当面の重点事項について
2.規制改革ホットラインの運営について

デジタル活用前面に 規制改革推進会議、重点テーマ提示
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52849610S9A201C1PP8000/

★健康成人を対象とした治験における死亡例発生事案に係る調査結果の公表について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08131.html

「治験薬と被験者 A で生じた有害事象との因果関係は否定できない」とのことです。

東京港青海ふ頭におけるヒアリの確認について
https://www.env.go.jp/press/107505.html

ヒアリ500匹超、また東京港で 小泉環境相「定着の証拠は確認されず」
https://mainichi.jp/articles/20191129/k00/00m/040/078000c

 ヒアリがまた発見されました。

★強毒ヒアリ定着を食い止めろ 港湾で駆除作戦
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52814200Z21C19A1SHB000/

 定着を阻止するため、関係者の皆さんには頑張って頂かなければなりません。そのためにも我々も関心を失わないようにしていきましょう。

★ヘリウム不足に研究者悲鳴 価格が倍増、実験中止も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52785190Z21C19A1TJM000/

 何度か記事になっていますが、深刻な絵鏡が出ています。

★Chinese ministry investigates duplications in papers by university president
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03599-w

Top Chinese scientist faces questions about publications
https://science.sciencemag.org/content/366/6469/1060

★Academics should not need to live in fear for the pursuit of their science
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03626-w

 先週ご紹介した、学者が殺害などの迫害を受けているという事例。

 日本でも学問の自由が脅かされる事態がこないようにしなければなりません。

Quintet of study retractions rocks criminology community
https://www.sciencemag.org/news/2019/11/quintet-study-retractions-rocks-criminology-community

★Archaeology society votes to let board ban sexual harassers from meetings
https://www.sciencemag.org/news/2019/12/archaeology-society-votes-let-board-ban-sexual-harassers-meetings

★Universities move to stop passing the harasser
https://science.sciencemag.org/content/366/6469/1057

 日本ではハラスメント規制法が成立しましたが、研究現場におけるハラスメント対策が十分か、よく考えてみる必要があります。

★‘It Was Unmistakably A Directed Attack’: 4 Ebola Workers Killed In Congo
https://www.npr.org/2019/11/28/783582331/it-was-unmistakably-a-directed-attack-4-ebola-workers-killed-in-congo

Ebola responders killed as violence flares
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03667-1

 コンゴ民主共和国で、エボラ出血熱に関わる人々が殺害されるという悲しい事件が相次いでいます。非常に厳しい状況です。

★Vaccines
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03635-9

 Natureの特集はワクチン。

★Don’t demonize parents who are hesitant to vaccinate - discuss their worries instead
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03641-x

 反ワクチン運動が激化するなか、どうすればよいのか…示唆に富む記事です。

★世界で初めてヒト胚に遺伝子編集を行った中国の科学者が行方不明に、赤ちゃんの所在も不明
https://gigazine.net/news/20191127-china-scientist-missing/

1 year later, mystery surrounds China’s gene-edited babies
https://apnews.com/86e4e98f7db64d0a9448e621a298ca58

1 year later, here's what we know about the mystery surrounding China’s gene-edited babies
https://journaltimes.com/news/national/year-later-here-s-what-we-know-about-the-mystery/collection_c94c24e0-7a94-5fc7-944f-0a46dffc961c.html

Opinion: Don’t Ban the Use of CRISPR in Embryos
http://bit.ly/37VcAc7

 あの大事件から1年。謎が深まっていますが…。

★科学政策の意思決定の指針となる「研究の研究」プロジェクト
https://www.editage.jp/insights/new-research-on-research-project-to-guide-decision-makers-on-research-and-science-policy

Research on Research Institute(RoRI)について。

★In unpublished paper, former White House climate adviser calls methane ‘irrelevant’ to climate
https://www.sciencemag.org/news/2019/11/unpublished-paper-former-white-house-climate-adviser-calls-methane-irrelevant-climate

★Joint statement on EPA proposed rule and public availability of data (2019)
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03664-4

★Major journal editors blast EPA’s ‘secret science’ rule, again
https://www.sciencemag.org/news/2019/11/major-journal-editors-blast-epa-s-secret-science-rule-again

 EPAをめぐる情勢が議論を読んでいます。

★U.K. parties stake out science stances in ‘Brexit election’
https://science.sciencemag.org/content/366/6469/1058

 選挙が迫ってきています。

★PhD students in China report misery and hope
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03631-z

 中国の大学院生の実態。

★Power of connection: why the Russia-Europe gas trade is strangely untouched by politics
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03694-y

★「研究者と家族の抱える問題」実態調査
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfObAPrSBuwG-EvBt267BMp31FTE5ZCrtMCyd4UHxoQDT1RGQ/viewform

 転々と職場をかえていく研究者と家族の問題は大きな問題です。実態を知ることは重要です。

人種差別、国際共同研究、学者への攻撃

2019年11月19日~2019年11月26日

研究不正と歪んだ科学
STAP細胞事件を超えて
日本評論社 税込 2,530円
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8178.html

 Amazonからご購入の場合はこちらを。
https://amzn.to/2NEWFVR

 某ウェブ媒体に、この本をなぜ書いたのか、その意図を解説する記事を書きました。明日公開予定です。

 なぜいまSTAP細胞事件なのか…。その理由がお分かりいただけると思います。

 さて、今週のニュースピックアップです。まずこれです。

★「中国人は採用しません」 東大特任准教授がツイート
https://www.asahi.com/articles/ASMCS7QVPMCSUTIL023.html

東大大学院特任准教授が中国人差別ツイート 大学謝罪、企業は寄付停止表明も本人は反論
https://mainichi.jp/articles/20191126/k00/00m/040/003000c

 まず最初に言っておきます。この発言はまったくアウトです。どこにも擁護する余地はありません。

東大情報学環大澤昇平氏の差別発言について
https://researchmap.jp/jo34y74lc-1820559/

 上記記事に詳しく解説されています。

 東大やマネックスグループの動きは当然ですし、それ以外の選択肢はありません。

学環・学府特任准教授の不適切な書き込みに関する見解
A message about inappropriate writings by a part-time project faculty of III/GSII
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/news/2019112411004

寄付講座担当特任准教授の不適切な書き込みに関する見解
https://www.monexgroup.jp/jp/news_release/news_release/news_release-20191124/main/00/link/20191124_release.pdf

「中国人は採用しません」投稿をした東大特任准教授の講座に寄付停止へ。マネックスグループが発表
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191125-00010002-huffpost-soci

 場外乱闘?もありました。

東大発「ヘイト書き込み」への心からのお詫び
教養の欠如、人材育成の偏りへの大反省
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58352

 当該発言者を東大の学部出身者ではないからという理由で批判したり、教授会に出られない本当の教員でないという理由で批判する人もあらわれました。

 それもある種の属性による偏見なわけで、批判が出てしかるべきです。

学歴ロンダリング、と言われて
https://note.com/ogiuechiki/n/n42ef8782d3b9

 ただ、容認できない人種差別発言とからめて、中国への警戒を口にする人はいます。

 中国の人権問題(ウイグルチベット、そして今は香港)に関しては、私達の価値観とは大いに異なるのは事実です。

★香港デモ、籠城なお100人 遺書したためる学生も
https://www.asahi.com/articles/ASMCM5CTKMCMUHBI01C.html

Violent campus clashes between protesters and police stir fears for Hong Kong universities
https://www.sciencemag.org/news/2019/11/violent-campus-clashes-between-protesters-and-police-stir-fears-hong-kong-universities

Violent clashes at Hong Kong universities disrupt research
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03515-2

Hong Kong protests hit universities
https://science.sciencemag.org/content/366/6468/935.full

Research Interrupted in Hong Kong Amid Protests
https://www.the-scientist.com/news-opinion/research-interrupted-in-hong-kong-amid-protests-66771

 香港のデモは研究にも大きな影響を与えています。

 トランプ政権発足以来のアメリカでも、中国を念頭に置いた外国の影響力排除の傾向が強まっているのは、これまでお伝えしてきたとおりです。今週もこれに関するニュースがありました。

★U.S. Senate panel sees a standard grant application as defense against foreign influence
https://www.sciencemag.org/news/2019/11/us-senate-panel-sees-standard-grant-application-defense-against-foreign-influence

Chinese infiltration of US labs caught science agencies off guard
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03584-3

 アメリカ上院の委員会が、中国の人材勧誘プログラムが、アメリカの研究予算や技術が中国の軍事技術や経済に使われていると警告を発する報告書を発表しました。

Threats to the U.S. Research Enterprise: China’s Talent Recruitment Plans
https://www.hsgac.senate.gov/imo/media/doc/2019-11-18%20PSI%20Staff%20Report%20-%20China's%20Talent%20Recruitment%20Plans.pdf

 もちろん、これと先の人種差別発言を結びつけることはできません。明確に区別するべきです。

 Nature Indexは、コラボレーションについての特集記事を公表しています。

★Nature Index 2019 Collaboration and Big Science
https://www.nature.com/collections/fcdggfefid

Despite political turmoil, global scientific collaboration continues to flourish
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03540-1

A guide to the Nature Index
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03545-w

★US-China science weathers political ill wind
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03541-0

 科学はオープンであるべきで、「科学に国境はない」のです。

 一方で「科学者に国籍はある」というのもシビアな現実で、理想と現実の間でやっていくしかありません。しかし、理想の旗を下ろしてはいけません。

Brexit shadow hangs over EU partnerships
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03543-y

 イギリスが直面する問題も、まさに科学者の国境問題です。

★Attacks on scholars worldwide raise concern
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03582-5

 世界中で研究者、学者、そして学生が、政府などから暴力を含めた攻撃を受けています。

 アメリカの特定国への入国規制も挙げられています。

就職氷河期世代の叫び ~女子学生は今
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191120/amp/k10012183971000.html

「3年で30万人」は絵空事か 就職氷河期世代の雇用対策に欠けた、深刻な視点
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191122-00000029-zdn_mkt-bus_all

 就職氷河期世代の問題は、研究歴のある方々が直面している問題であり、また、私自身が同世代でもあり、常にアンテナを貼っています。

 研究者の場合、大学院重点化等で増えた博士号取得者を、ポスドクや任期付き教員として研究機関が採用しました。企業でいう正社員、任期なし教員等は減っているわけではないのですが、それ以上に博士号取得者が増えました。

 1991年から2000年までに博士課程の大学院生は倍増していますが、任期なし常勤ポストが倍増したわけではありません。

 しかし、研究以外の職は就職氷河期だったわけで、任期付きポストを転々としたり、非常勤講師を専業にして生計を立てる人がその生活を抜け出すことができなくなっています。

★揺らぐ高校の役割 人間関係築く教育を
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52519250S9A121C1CK8000/

 研究者の困難の一つは「地元」に足場がないことだと思っています。

 多くの研究者は大学進学時に高校の学区や高校が含まれる市町村を離れているわけです。そこで人間関係が立ち切れてしまいます。その後もポストを求めて転々とするわけですから、いわば根無草のようなものです。

 あるいは中学進学時に地元公立中学には行かない人も多いでしょうから、その前から「地元」とは関係が希薄化してしまいます。

 もっというと、親世代も「地元」に根差した人ではないかもしれないので、地縁、血縁というセーフティネットを失った状態にある人が多いのではないかと思います。

 うまく行っている時はいいのですが、困難に直面したときに、頼れるセーフティネットがないことが、困難をより悪化させる可能性があるのではないかと思います。

 だとすると、地縁、血縁に変わるセーフティネットネットが必要ということになります。

 もちろん、最後は公的なセーフティネット生活保護等があるわけですが、その前の段階で、研究歴のある方々のコミュニティのようなものを作る必要があるのではないかと思います。

 コミュニティ?そういえば「科学コミュニティ」があったな、と思いますが、このコミュニティは科学界の外側に出ようとしている人たちには冷淡(というか関心がない)なのが現状です。

 SNSなどのサイバースペース上でなんとかならないかと思って試行錯誤はしていますが、これが解決策だ、というものはまだ見つけていません。

 ただ、試行錯誤のなかで、ある試みをしようとしています。詳細がわかればまたお伝えしていきます。

★研究現場は今:第1部 博士/7 企業勤務も一長一短 景気悪化で変わる形態 /京都
https://mainichi.jp/articles/20191119/ddl/k26/040/339000c

 論文博士号。企業研究は景気に左右されるという、当たり前といえば当たり前の現実です。

★Natureによる博士課程の学生向けの調査から、メンタルヘルス、ハラスメント、学生ローンの問題が浮き彫りに
https://www.natureasia.com/ja-jp/info/press-releases/detail/8749

 日本と現状が異なっているという指摘もありますが、重要な調査です。

★なぜいま「在野研究者」なのか
『在野研究ビギナーズ』編著者・荒木優太氏インタビュー
https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/interview/%e8%8d%92%e6%9c%a8%e5%84%aa%e5%a4%aa%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%93%e3%83%a5%e3%83%bc/7408

 在野研究者に注目している昨今。ブーム?の火付け役のインタビュー。

★「研究力低下のほんとうの理由」文科省要請でのスピーチ〜全院協の要請行動2019に参加しました〜
https://note.mu/mkepasince2019/n/n74ab97fed44f

 動く当事者を応援したいです。

内閣府オープンイノベーションチャレンジ2019の公募開始について
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20191121openinnovation.html

★レビュー「人間中心の政策に転換 第6期科学技術基本計画策定作業進む」
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/review/2019/11/20191122_01.html

 第6期科学技術基本計画に向けて提言なども各方面から出始めました。

 提言の影響力などない、という話も聞いたことがありますが、ウォッチを続けていきたいと思います。

★論文の引用・共著関係からみる我が国の研究活動の国際展開に関する分析[調査資料-285]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/43160

★提言「歴史的思考力を育てる大学入試のあり方について」
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t283-2.pdf

提言のポイント
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-24-t283-2-abstract.html

★令和2年10月の日本学術会議会員・連携会員の半数改選に向けて
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/senko/25senkou.html

男女共同参画に携わる研究者等との懇談
https://www.cao.go.jp/minister/1909_e_imai/photo/2019_008.html

★科学のワクワクを感性に訴える 京大初・研究のイラストレーター活躍
https://mainichi.jp/articles/20191122/k00/00m/040/042000c

 日本では新しい活躍の場ですね。

★PC1人1台へ4千億円
情報通信技術化、小5~中3に
https://this.kiji.is/570529499008664673?c=113147194022725109

 大きな決定です。

★How to manage a multi-author megapaper
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03544-x

 複数著者がいる論文の調整。

WIPO、“World Intellectual Property Report 2019”を公開
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=11635

★医者と製薬会社の「悪しき慣習」
新薬販促のため製薬会社は多額の金銭を医師にバラまき、国や保険者、患者に余計な負担を強いる。
https://facta.co.jp/article/201912027.html

★製薬会社からのギフトは処方に影響するか?
フランスではギフトを受け取ったGPのジェネリック処方率が低い
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/bmj/201911/563146.html

 製薬会社と医師の関係。ある種の共依存、悪い言葉では「タカリ」でもあります。

★Jeffrey Epstein and the Decadence of Science
https://blogs.scientificamerican.com/cross-check/jeffrey-epstein-and-the-decadence-of-science/

 故エプスタイン氏の問題が投げかけた課題は大きいです。

★Researchers sound alarm on European data law
https://science.sciencemag.org/content/366/6468/936.full

European data law is impeding studies on diabetes and Alzheimer’s, researchers warn
https://www.sciencemag.org/news/2019/11/european-data-law-impeding-studies-diabetes-and-alzheimer-s-researchers-warn

 General Data Protection Regulation (GDPR) について。いろいろなウェブサイトで、ポップアップがたくさん出てきますが、研究への悪影響も懸念されています。

★The science institutions hiring integrity inspectors to vet their papers
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03529-w

★【ドキュメント】日本のiPS細胞は、なぜガラパゴス化したのか?
https://newspicks.com/news/4406530

日本終焉レベルの大問題。iPS細胞10億円支援打ち切りという愚行
https://www.mag2.com/p/news/425347

 iPS細胞研究への支援打ち切りに関して、単純に問題だと叫ぶだけで終わってはいけません。

★「ニセ医療」情報の拡散防止、プラットフォーマー各社の対策進む ツイッター、note、はてな
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191124-00000001-jct-sci

 医療に関しては偽情報が生命に直結する可能性があります。 シビアな攻防が続いています。

無印良品が“昆虫食”参戦、「コオロギせんべい」発売へ
https://news.livedoor.com/lite/article_detail/17414645/

食用コオロギを使った「せんべい」来春発売 徳島大発ベンチャーのグリラス(徳島市)事業拡大へ
https://www.topics.or.jp/articles/-/287847

「食用コオロギ」商品化へ 研究施設が試行錯誤
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191123-00000010-kobenext-soci

 昆虫食が拡大しつつあります。

★Human germline editing needs one message
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03525-0

★Global 5G wireless deal threatens weather forecasts
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03609-x

New deal won’t prevent 5G communication networks from interfering with weather forecasts
https://www.sciencemag.org/news/2019/11/new-deal-won-t-prevent-5g-communication-networks-interfering-weather-forecasts

★Science funders gamble on grant lotteries
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03572-7

★Physics, life sciences, genetics: three big players and their top partners
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03542-z

★Researchers must unite against US environment agency’s attack on scientific evidence
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03526-z

★US academic-science mentoring falls short of best practices, say National Academies
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03598-x

★Experi-mentoring: Where to turn when your PI can’t help
https://www.sciencemag.org/careers/2019/11/experi-mentoring-where-turn-when-your-pi-can-t-help

 メンター問題。日本ではアメリカ以上にあまり話題にならないのは、メンターとして頑張っても、評価の対象にならないからなのでしょう。

★University to Students on Medicaid: Buy Private Coverage, or Drop Out
https://www.nytimes.com/2019/11/24/us/medicaid-students-brigham-young.html

★科学工学指標2020:米国における科学技術労働力の状況
https://crds.jst.go.jp/dw/20191119/2019111921609/

★Double dip
By Charles Piller
Science22 Nov 2019 : 941-943 Full Access
An NIH program pays school debt to keep scientists in academia. Many break the rules by also taking industry money.
https://science.sciencemag.org/content/366/6468/941

Financial Aid Recipients Breaking Funding Rules: Investigation
http://bit.ly/2QOnc6o

 NIHから経済支援(借金返済)を受けている研究者がルールを破って企業からお金をもらっているとの指摘。

★科学・社会科学分野における世界最高峰の研究者を選出した高被引用論文著者リスト2019年版発表
https://kyodonewsprwire.jp/release/201911193682